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ゾンビVRゲーム(?)7

 数日前


 ゲームでの動きを鏡花とリリーと話し合っている時。


 私は両手を顔の前で組み言った。


「男になりたい」


「あ、もしもし整形外科ですか? 性転換手術を……あ、今から出来ます? じゃあすぐに伺います」


「早い早い早い! 鏡花ちょっと待ってくれ! そういう意味で言ったんじゃない」


 危うく美容院感覚で男になるところだった。


「私が言いたいのはつまり、ゲーム内で男性キャラになれるんじゃないかって事だ」


「なるほど……」


「あ、そっかー」


 二人は納得のいったように声を上げる。


「想像してみてくれ。何もしなくても攻一の方から言い寄ってくるんだ。笑い掛けてきたりデートに誘われるかもしれん」


「半年以上かけて一度として達成できなかった事が遂に」


「いつも私が何か言ったらゴミを見るような目で見るのに」


 言ってて悲しくなってきた。


「私達の主な目的の一つである異性に目覚めさせる、とは少し外れるが……私はやってみたい。どうだろうか?」


「私は賛成だよー! ちょっとは攻一とイチャイチャしたいしー」


「私もです。今回のゲームでの主目的にも何か良い作用があるかもしれません。……ですが異性に目覚めさせる、から外れているのもまた事実。ですので……」


 鏡花は一呼吸溜め、言う。


「私の方で少しだけ攻一さんの好みから外した見た目に設定しておきます」


※ ※  ※


 時は戻り現在。


 そう、攻一の前に現れた二人のボブは私――朔夜とリリーだ。


 ゾンビの姿の時になぜバレたのか、それは解らないがその対策として今は会話や行動の全てをシステムに任せ全自動となっている。


 私達はボブの視界でゲームを見て、自分の意思で行動したい時だけ操作する。


 流石の攻一もこれでは私達だと気付けないだろう。


 ――しかしだ。


 何だこの見た目は……?


 鏡花の言っていた、少しだけ攻一の好みから外した見た目に設定しておく、という言葉の通りなのだろうが。


 これは本当に攻一の好みから少し外れた姿なのだろうか。


 それとも鏡花の天然から生まれた姿なのだろうか。


 ……どちらもあり得るな。


「お、着いたぞ」


 前を歩く攻一が足を止める。


 どうやら目的地に着いたようだ。


※ ※  ※


 二日目の目的は武器を手に入れる事だ。


 だが二つ目の目的地に武器があるかどうかは解らない。


「ほー……なるほどな」


 後ろのボブが顎に手を当て納得したように呟く。


「警察署か……考えたな少年」


 そう、俺が二つ目の目的地に選んだのは警察署だ。


 ゾンビもののゲームといえば武器は銃。


 だがこのゲームはあくまで日本を舞台に現実に則した作りになっている。


 銃なんてものは通常手に入らない。


 ――でも警察署になら保管されているんじゃないか?


 そう思ってここを二つ目の目的地に設定した。


 まぁダメで元々だ。


 銃は無くても警棒のような武器や噛まれても肌まで貫通しない防護服のようなものがあるんじゃないか?


「よし早速入るか」


「そうだな少年」


「大胸筋も行こうと言っている」


 後ろの二人が喋る度にやる気が削がれていくんだが?


 やめろ、大胸筋を左右交互にビクンビクンさせるな。


 ……なんだろう男キャラなのにこの残念感。


 もうちょっと……こう、他にいなかったんだろうか。


「どうした少年。何か気になる事があるのか?」


「腹が減ったならプロテインならあるぞ」


「ズボンの中から取り出した物をこっちに近付けるな。いいから静かに中に入るぞ」


 正面の入り口から慎重に中に入っていく。


 複合施設やホームセンターと同じように電気は通っているようだ。


 中は明るく自動ドアも動いている。


「第一目的はやはり銃だが……あるとしたらどのあたりなんだ?」


 当然、警察署の中なんて散策した事はない。


 まぁ怪しそうな場所を順々に回っていくしかないか。


『攻一さん警察署の中は防犯という意味合いから現実とは明らかに違う造りにしています』


「ん? そうなのか」


『はい、流石に現実に寄せて作るのはまずいという意見が上がりましたので。近くの柱に館内マップがありますのでまずご覧になってみてください』


 促されて見ると確かにマップらしきものが掛かっている。


 まず館内マップなんてものがある時点で現実とは違うよな。


 そう思いつつ俺はマップを覗き込んだ。


「んー……これは確かに普通じゃないな」


 まず地下が10階まである。ダンジョンかよ。


 次にこの警察署は4階建てなんだが2階から4階の部屋は全て会議室だ。


 どれだけ会議するんだよ。事件は会議室で起きてるんじゃないんだぞ。


「しかしこのマップ、地上のフロアは細かく記載されてるけど地下はフロア数以外何も書かれてないな」


 10階まであるという事以外何も解らない。


『地下はちょっとした遊び心で開発されたらしく解りづらい構造と有益な物資が配置されているとの事です』


「やっぱりダンジョンじゃねぇか」


 ミニゲーム……現実に寄せたこのゲームの遊び要素みたいなものか?


 まぁ有益な物資がある事が確定したんだ。早速地下へ降りて探索しよう。


「さて、地下は……こっちか」


「大腿四頭筋はこっち」


「僧帽筋はこっちだぜ少年」


 マッスルポーズのボブ×2は無視した。


小ネタ

「しかし性転換手術の手際の良さが半端なかったね……鏡花まさか……」

「シッ!」


※ ※ ※


読んでくださりありがとうございます。

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