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ゾンビVRゲーム(?)6

 武器が必要だとそう思った。


 何しろ現状俺は素手だ。


 噛み殺そうとしてくる相手に流石に素手はきつい。


 加えてゲーム内の俺は並みの身体能力しかないだろう。


 現実でなら数人を相手にする事は出来てもゲームでなら抵抗している間に囲まれ嚙み付かれて終わりだ。


 背後から一撃で倒す事が出来る武器、もしくは距離をあけながら戦う事が出来る武器が欲しい。


 そう思って朝にマップを確認している時に目に留まったのはホームセンターだ。


 ここならそのまま武器に使える物や工作して手に入れる事が出来るのではないだろうか。


 拠点と今日もう一つ行きたい場所に結構近いというのも理由の一つだ。


 片道で30分かかる場所なら往復するだけで一日が終わるからな……。


 やっぱり一日一時間で経過というのは改善点だろう。


 開発段階で気付かなかったのか……?


 ……いや、もしかしたら車やバイクといった移動手段を手に入れるまでの行動範囲を狭める為の措置の可能性もあるか。


「……ん、おっと」


 そうこう考えている内に目的のホームセンターに着いた。


 まぁそんな深く考える事でもないな。


 そんな事より早速探索だ。


 俺は警戒しつつホームセンターの中へ踏み入っていく。


 そこまで広くはない。


 中は荒らされた様子もなく置かれている商品も棚にそのままになっている。


 ……これが現実だったら使えそうな物はもう持っていかれてるんだろうな。


 俺は安全確認がてらざっと見て回る。


 店内を一周するのに数分、幸いな事にゾンビの姿は無かった。


 次に俺は電源ブレーカーを探し、出入口の辺りの電源を落とす。


 そして動かなくなった自動ドアを手動で閉めた。


 これでゾンビが入ってきたら分かるし店内の安全性も確保できる。


「さてと……」


 早速武器の確保に移ろう。


 見て回ったところでは武器に使えそうなのはハンマーやノコギリ、包丁なんかもあったが……。


 ノコギリや包丁なんかはそのまま武器として使うのは厳しいだろうな。


 ノコギリは切り付けてもダメージは少ないし切断するにはその物をある程度固定する必要がある。


 包丁は突き刺せばそれなりのダメージにはなるだろうが、頭に突き刺してもゾンビが倒せなかったり刺した包丁が抜けなければ複数を相手にしている時に致命的だ。


使うなら木材に巻き付けて最悪使い捨ての槍のようにって感じか?


とりあえず俺は一番大きなハンマーをリュックに放り込み、一本だけ包丁の槍を作成する。


 斧とかチェーンソーなんかあったら嬉しかったが……小さな店だからか見当たらなかった。


 ……いやチェーンソーはあっても重いし爆音でゾンビが寄ってきそうだし起動にも手間がかかるからあっても結局使わなかったか。


 俺は木材に簡単に穴を空けると包丁を埋め込み接着剤とテープで固定した。


 電動の釘打ち機で釘を銃のように撃っているのをよくゾンビ映画や漫画では見るが……あれはどう作ったらいいか解らない。


 この槍くらいシンプルな物でとりあえずは十分か。


「よし次の場所に行こう」


 立ち上がり歩き出す。と――


 ゴンゴンゴン!


 出入口の方から何か叩く音が響いた。


 すぐに商品棚に身を隠す。


 何だ……? ゾンビか?


 早速武器の出番かと慎重に移動して物陰から出入口を覗き込んで見る。


「おーい、居るんだろうー? 出てきてくれよー」


 自動ドアの先から野太い声で呼ぶ声がする。


 その姿はガラスがスモークガラスになっていてよく見えない。


「NPCか?」


 というか人間のプレイヤーが俺しかいない以上それしかないか。


 俺は出入口である自動ドアへ歩み寄る。


「開ける前に聞きたいんだがゾンビ化し始めてたり噛まれている訳でもないよな?」


「もちろんだ。俺達は健康そのものだぜ!」


 俺‘達’?


 よく見れば人影は二つある。


 二人組だったのか……。


「解った、今から開ける。だけど一応少し自動ドアから離れてくれないか?」


「解った解った。しょうがない子猫ちゃんだ」


 子猫ちゃん?


 怪訝になりながらも自動ドアのカギを外す。


 念の為、槍やハンマーは手元に取り出した。


「……よし、待たせたな。開けたぞ――」


「うんんんん! ありがとう少年!!」


「うーんんん! 可愛い顔をしているじゃないか少年!!」


 開けた自動ドアの先にはゆうに2メートルを超える上半身半裸のマッチョメンが二人、マッチョなポーズを取りながら立っていた。


「……やべぇ」


 率直な感想が口から出た。


『レアNPCキャラのボブ兄弟ですね』


「えっこれレアキャラなの?!」


『出現確率は8192分の1です』


「えぇ……あー……うん……そっかぁ」


『念願の男キャラですね』


「いや念願の男キャラはもうアキラ君ってのが居たんだけどな。今は元気に女キャラやってるけど」


「少年! 私の好きな言葉は裸子植物だ!」


「少年! 私の趣味は上半身半裸にサスペンダーを付けてバチンバチン体に打ち付けて感触を楽しむ事だぞ!」


「ありえないくらいクセが強い」


「名乗っておこうか……私の名前はボブ・リノルリーだ」


「私はボブ・クサヤノフだ」


「兄弟なのにファミリーネームが違うあたり何か無駄な闇を感じるな」


 そんでどっちもボブなのな。違う名前を付けてくれ。


 ……あれ、もしかしなくてもこの二人と一緒に行動するの?


 ……まじ?


小ネタ

次回皆が気になるボブ達の詳細が明らかに。


※ ※ ※


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