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ゾンビVRゲーム(?)4

 俺は改めてフロアマップを確認する。


「2階にはスーパーとフードコート、3階は衣類に雑貨、4階はアクセサリー、靴、美容室、5階はゲームセンターに映画館、6階はレストラン系統……」


 大型の複合施設なだけあって流石に店舗が多いな……。


『攻一さん、あと30分と少しで一日目が終わります』


「ああ」


 細かく確認しながら周る時間は無いな。


 残り時間や物資の事を考えると当然、拠点はここにしたい。


 だが拠点にするとなると安全確認は必須。


 全フロアをざっと見て回った方がいいだろう。


 先ほど、鏡花が言っていた事を思い出した。


 ゾンビがどこか一か所に集まっているのかもしれない。


 それがこの施設のどこか、という可能性だってある。


「とりあえず周りつつ、拠点にできそうなちょうど良い部屋でも探すか」


 残り時間を見つつ、早速歩き出す。


 2階のスーパーで食料に出来そうな物を軽く流し見て、同じフロアのフードコートでは設備と安全を確認する。


 3階以降もそれぞれ今回使える物資がありそうな施設ならそれと安全を軽く確認。


 使わないだろう施設なら安全の確認だけを行った。


 6階を全て確認した段階で1日目の残り時間は15分ほど。


「んー……1日目でやる事が多いからっていうのもあるが、1日の時間はもう少し長くても良いかもな」


『そうですね……開発の方に伝えておきます』


 移動の時間も現実と同じように流れるなら一日の半分以上は移動になってしまうだろう。


 ゾンビに襲われるようになれば尚更だ。


「さて、拠点だがどうするか……」


 いよいよ残り時間も少なくなってきた。


 一応使えそうな場所はいくつか見つけてはいるが……。


「――ん?」


 考え事をする中、ふと違和感のような何かを感じた。


 勘違いかもしれないが……今、何か音がした……?


 ゾンビか? ……何にしても確かめる必要があるな。


 俺は音がした方へ慎重に歩き出す。


 ゾンビだとしたら排除出来たら一番だが……。


 今、武器も何も無いんだよな。


 ゾンビって素手でどうやって倒したらいいんだ?


 考えつつ、物陰に身を隠しながら覗き込む。


「……………………えっ?」


 そこにいたのはゾンビではなくごく普通の成人男性だった。


 周りを不安気に見回している。


 現状、プレイヤーは俺と朔夜とリリーの三人だけ。


 つまり目の前にいるのは……。


「もしかしてNPCか?」


『そうです。一般男性タイプのNPCですね』


 NPCだと言われても半ば信じる事が出来なかった。


 感情の見える挙動や、意思を感じさせる視線などどう見ても人間にしか見えない。


『ゲームを始める前に言いましたがNPCとは協力関係を結ぶ事が出来ます。序盤で出会う特殊な技能を持たないNPCとはある程度簡単に協力関係になれますよ』


「おいおい……まじか」


 男性は20代前半くらいで体型は細身。


 おしゃれな服装に顔立ちはアイドルのようなイケメンだった。


 顔立ちはアイドルのようなイケメン!(とても大事)


「よしナンパ――あいや協力関係を結ぼう。話し掛ければ良いのか?」


 鏡花の返答が返ってくる前に俺は歩き出していた。


「なぁ、あんた」


「うわっ! ――えっ?! き、君もしかして生存者かい?! 噛まれてもいない?」


「あ、ああ」


「す。すごい! 久し振りに会えたよ!」


 すごいと思ったのはこちらもだ。


 ほとんど現実の人間と話しているのと変わらない。


 どれだけすごいAIを積んでいるんだ?


「なぁ良かったら、僕と協力し合わないかい? こんな時代だ。仲間は居た方が良いと思うんだが」


 序盤でかつ鏡花の言っていた特殊な技能を持たないNPCだからなのか、こちらから話を振る前に誘いを掛けてきた。


「ああ、こちらこそぜひお願いしたい」


 当然、誘いを受ける。


 NPCである彼は朗らかに笑いながら良かったと呟いた。


 最初の不安な表情や今の安心した表情と……その時の感情に合わせてコロコロと変わる。


 俺は思わず無遠慮に彼の顔を左右から眺めた。


「ちょ、そんなにじろじろと見ないでくれ。恥ずかしいよ」


「えっ推せる」


 なにその反応。まじで萌えるんだが。


 このイケメンと後二日間過ごすのか?


 おいおい神ゲーかよ。


「俺の名前は佐藤攻一っていうんだがお前の名前は?」


「僕の名前は鈴木アキラだ、よろ――」


 ――ブツッ


 そんな音と共にいきなり画面が暗転した。


 ――ブンッ


 と、思ったら再び画面が映し出される。


「何なんだ? まぁいいか、アキラ早速一緒に――」


「私の名前は鈴木アキ子よ、よろしく!」


 アキラは数瞬の内に性転換をしていた。


「おいいいいい!! これ、ちょ……絶対鏡花の仕業だろ!」


『おかしいですね。不具合の波がこんなところにも来ましたか』


「おっま……! もしかしてこれ以外にも準備してたりするんじゃないだろうな?」


『………………あ、すみません。不具合で聞こえませんでした』


「絶対嘘だろ!」


「鏡花さんって綺麗よね、リリーちゃんはかわいいし」


「おい! なんかアキ子が露骨なアピールしてくるんだけど! 何だこれ?!」


『開発陣の茶目っ気でしょうか』


「開発陣イカれてる」


 そして朔夜だけなんで何も言われてないの? 放置?


 ――ガシャーン!


 突然ガラスが割れたかのような音が鳴り響く。


「今度は何だ!」


 音がした方を見るとゾンビが二体こちらへ向かってくる。


小ネタ

「朔夜……ですか?」

「アキ子……」

「あーあの家畜カテゴリの」

「アキ子……!」


※ ※ ※


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