異世界転移4
その後、10分ほど歩いているとそれらしい建物が見つかった。
周りにある民家よりも二回りほど大きく、正面には両開きの大きな扉がある。
扉の上には魔物か何かのシルエットを背景に冒険者ギルドと書かれた看板がかかっている。
「よし、入るぞ」
俺は三人に告げると扉をゆっくりと開けた。
中へ入って行き、三人も後に続く。
冒険者ギルドは思ったよりも簡素な作りになっていた。
部屋の中心に小さな円形のテーブルに椅子がいくつも並び、奥にはカウンターがあるだけだ。
冒険者なのか数人の男達がテーブルで談笑している。
カウンターには職員なのか若い女の子が一人立っていた。
色々と話を聞くならば職員に聞いた方が良いだろうな。
俺はカウンターの方へ足を進めた。
「何かご依頼ですか?」
ニコリと笑い、女の子が聞いてくる。
「済まない、冒険者なんだが最近この辺りに来たばかりで色々と聞きたい事があるんだ」
「あ、冒険者の方でしたか。聞きたい事とは何でしょうか?」
「まずは魔王軍に関して詳しく教えてくれないか?」
「魔王軍についてですか? 少し長くなりますがよろしいですか?」
「ああ」
「おいおいおい兄ちゃん! 今魔王軍について知りたいって言ったか?」
と、そこでテーブルに座っていた冒険者らしき男達が近付いて来た。
モヒカンにアフロにスキンヘッドの三人で服装もどこの世紀末から来たんだって感じの服を着ている。
「女の子を大勢引き連れて魔王軍と戦うつもりかい?」
ニヤニヤと笑いながら俺達を見てくる男達。
「そうだとして、何か悪いか?」
警戒し、男達の前に出る。
結構いい筋肉してるからって絡んできやがって……全く大胸筋もいい具合じゃないか……。
男達は互いに目配せし合った後、
「ククク、俺達が言いたいのはあまり無茶な事をしているとケガしちゃうぞって事だよ」
「武器とか防具とかアイテムは足りてるのか?」
「おい、紅茶やお菓子を準備するから座って話したらどうだ?」
いかつい雰囲気はそのままにそう話す。
いや、いい人達なのかよ。
「こら! また人を怖がらせて!」
職員の女の子が叱るような口調で声を上げた。
「本当に毎回毎回……何でそんな事するの?」
「ククク……すいません姐さん」
「怖がらせているつもりはないんですが……へへへ」
「お菓子、姐さんも食べますかい?」
「もう! ほらいつもの罰だよ! 悪いことをしたらデコピン!」
そう言って女の子は男達一人一人にデコピンをしていった。
男達はデコピンをされて嬉しそうに笑っている。
……いや、デコピンとかそういう感じで構ってほしいから男達は人に絡んだり悪そうにしてるんじゃないのか?
「攻一、私にもいつでもデコピンしていいからな?」
「ああ解った」
朔夜、なぜしていいと言いながら四つん這いになって尻をこちらに向けるんだ?
「……………………………………」
「……………………………………」
「攻一、していいんだぞ?」
「ああ解ってる」
「……………………………………」
「……………………………………」
「やれと言ってるんだ!」
「うるせぇえええ!!」
異世界でも変態行為やってんじゃねぇ!
委縮してないなって安心した俺の気持ちを返せ。
「すみません話の途中でしたね。魔王軍についてですが……」
「ああ」
「魔王の他に、特に脅威となっている四人の幹部がいます」
「四人の幹部……」
「幹部はそれぞれが手柄を取り合うように支配地域を拡大しようとしていて、現状人類は一進一退攻防を繰り広げています」
「なるほど……」
「一進一退の攻防……私達と攻一さんの関係みたいですね」
「私達が来たからにはこれからの人類には勝利しかないけどね!」
「私達の攻防も将来そうなるだろうな」
人類救う代わりに誰か俺を救ってくれ。
と、その時――
ドンッッ!!
と、地震のような揺れと共に爆発音が鳴り響いた。
「え、何何? 何の音ー?」
「外からだ!」
「まさか……」
呟いた女の子は急いで外へ駆け出す。
俺達も後に続いた。
外に出ると、住民も何事かと大勢が外に出てきている。
その住民の中心――少し開けた広場のような場所に炎が燃えていた。
あれがさっきの爆発音の原因か?
爆発物・・・いやまさか魔王軍の攻撃の可能性も……。
そう思って炎を見ていると、ゆらりと炎が動き人の形に変わっていく。
「何だ……?」
やがて炎は一人の女性へと完全に姿を変えた。
黒のビキニとパンツの水着に膝を覆うブーツのみを履いていてやたらと露出度が高い。
肌の色は褐色。髪は燃えるような赤色で風にたゆたっている。
「先程話した魔王軍幹部の一人です……!」
「魔王軍幹部だと?」
田舎の街に魔王軍の幹部?
なろう小説みたいな展開だな!
小ネタ
『異世界転移したけど魔王軍よりも仲間の変態美少女の方が非常に厄介です』
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