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クルージング、からの遭難、3

 とりあえず現状の確認をしよう。


 時刻は15時をわずかに過ぎたところ。


 陸地から出港して数十分の沖合で船のエンジンが停止。


 食料になるものはほとんど無いが昼食を食べてあまり時間が経っていないから今のところ腹は満たされている。


 水は2リットル程度。


 船に積んである無線等の連絡機器はなぜか電源が入らなかった。


「ふむ・・・」


 少し心を落ち着かせて考える。


 俺達が今日、クルージングに出掛けているのは鏡花の家の人達は知っているだろう。


 つまり夜遅くなっても帰らなければ誰かが異常に気付いて捜索が始まるはず。


 遅くても明後日には救助がくるだろう。


 だが問題は・・・。


 とりあえず三人に状況について説明する。


「そっかー明後日には救助来るんだーちょっとホッとしたよー」


「ああ」


 リリーが安心したように話す。


 飽くまで目安ではあるんだが・・・まぁわざわざ不安にさせるような事を言う必要はないだろう。


「問題は食料や水だな」


「ああ俺もそう思う」


 朔夜に同意する。


「一日くらいなら飲まず食わずでやっていけるだろうが、それ以上となると体調を崩すし、正常な判断も下せなくなってくるだろう」


 冷静に朔夜が話す。


 そう、問題は食料や水だ。


 救助は明後日というのが目安でしかない以上、食料や水の確保は必須だろう。


 さて、どうしたものか・・・。


「ねぇ攻一」


 考え込んでいるとリリーが袖を引っ張ってくる。


「どうした?」


「食料や水が必要なら、あそこの島に行くのはどう?」


 リリーが指さす方を見てみる。


 遠く離れた先に小さな島があるのが見えた。


「よくあそこに島があるって気付いたな」


「遊んでる時に見つけてたの」


「ふむ・・・攻一、あの島にどうにかして向かえそうか?」


「ああ、潮の関係で近くまでは行けそうだ。後はゴムボートで上陸しよう。島で使えそうな物を準備してもらってもいいか?」


 了解した、わかったー、という返事とともに二人はすぐに動き出した。


 鏡花もそれに続くように歩き出す。


「・・・大丈夫か?」


「・・・すみません、大丈夫です。ご心配をお掛けして申し訳ありません」


 少し微笑んでそう返してくる。


「いや、こんな状況だ。多少気分が落ち込むのしょうがないだろ」


 加えてその前から何か調子が悪そうだったしな。


「何かあったら俺じゃなくてもいいから朔夜かリリーに言ってくれ」


「解りました。ありがとうございます」


 そう言うと鏡花は朔夜とリリーの元へ歩いていった。


※ ※  ※


 島の近くに船を停泊させ、上陸する。


 やはりそこまで大きい島ではない。


 島を一周するのにそう時間はかからないくらいの大きさだ。


 とはいえ食料や水、火を起こすには申し分ない。


 島の中心部分は木々が生い茂っているので火種に出来そうな物があるだろうし食料も見つかるかもしれない。


 俺は三人に向き直った。 


「最初に一つ、お前たちに言っておきたいことがある」


「何だ?」


「なになにー?」


 俺は息を一つ吸い、意を決して口を開いた。


「いいか、いつものような奇行やふざけた行動は絶対禁止だ。いいな絶対だぞ? 絶対やるなよ?」


 二人は一瞬きょとんとした顔をすると笑い出した。


「当たり前だ解ってるさ。こんな状況だしな」


「あはは、攻一の言い方何それーフリみたいだよ?」


「そうだよな、悪い」


小ネタ

「いいか? やるなよ絶対にやるなよ?! 絶対だぞ!」


※ ※ ※


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