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底辺配信者、ギルド対抗戦に参加する。15

「ふんっ!」と言って不機嫌そうにそっぽを向いた美柑にビビりつつも、俺は龍馬さんを見る。


「お待たせしました」


「気にするな」


 俺は律儀に待ってくれた龍馬さんに一声かける。


 何故か俺と美柑が騒ぎ始めた辺りから周りもシーンとなっていたが、俺たちの準備が整ったのを確認すると、愛菜さんたちも目の前の敵と戦い始める。


「いいか、美柑。後で俺にできることなら何でもしてやるから、今は我慢しろ」


 俺は真っ赤になって怒っているであろう美柑に一言かける。


 すると、目線を逸らしていた美柑が俺の方を向く。


「何でもしてくれるのね?」


「あぁ。俺にできることなら」


「そう。別に怒ってはないけど、裕哉が何でもしてくれるって言うなら何かしてもらうわ」


「えっ!怒ってないの!?」


「だから裕哉にお姫様抱っこされるのは嫌ってわけじゃないって言ってる………って!そ、そんなことどーでもいいでしょ!」


 先程と同様に顔を真っ赤にして否定する。


「待て!どーでもよくねぇぞ!」


「う、うるさい!とにかく、裕哉にはギルド対抗戦が終わったら私のお願いを聞いてもらうわよ!」


「……りょ、了解」


 俺は美柑の迫力に負け、ギルド対抗戦が終わったら美柑からのお願いを聞くことにする。


 すると、龍馬さんが呆れた声で俺たちに一言かける。


「なぁ、お前ら。イチャイチャするなら後にしてくれないか」


「イチャイチャなんかしてねぇ!」


「イ、イチャイチャなんかしてないわよ!」


〈いや羨ましいくらいイチャイチャしてたわ〉


〈裕哉を殴り殺したいくらいイチャイチャしてたぞ〉


〈周り見渡してみろよ。愛菜ちゃんたち戦ってるからな。呑気に夫婦漫才をしてる場合じゃないからな〉


「そうか。なら攻撃してもいいってことだな」


 そう言って俺との距離を詰める龍馬さん。


 そして持っていた斧を振る。


「裕哉っ!」


「美柑!絶対、動くなよ!」


 俺は美柑に一声かけ、後方にジャンプして龍馬さんの攻撃を回避する。


 そんな俺に龍馬さんは休まず追撃してくる。


〈はやいっ!さすが『牙狼』ギルドでトップの実力を誇ってる龍馬さん!一瞬で裕哉ちゃんとの距離を詰めたぞ!〉


〈美柑ちゃんをお姫様抱っこしてるから裕哉ちゃんも避けるだけになってるな〉


〈さすがの裕哉ちゃんも反撃は難しいか〉


 美柑に負担がかからないよう配慮しつつ龍馬さんの攻撃をかわし続ける。


〈裕哉ちゃんの攻撃を喰らえば龍馬さんは気絶じゃ済まないだろう。だから裕哉ちゃんは直接龍馬さんに攻撃を加えることはできないはず〉


〈だろうな。だから裕哉ちゃんは斬撃を地面に当てることで敵を気絶させてきた〉


〈だが、今は美柑ちゃんをお姫様抱っこしてるから剣は握ってない。さぁ、どうする裕哉ちゃん。どうやって龍馬さんを倒すんだ〉


 俺は美柑のことを考えて回避し続けるも、このままでは状況が改善されないため…


「美柑。少しの間、口を開くなよ。怪我するからな」


「わかったわ」


 俺は龍馬さんの攻撃を回避しつつ、美柑の返答を聞く。


 そして行動に移る。


「ふっ!」


 龍馬さんの攻撃をかわすと同時に真上にジャンプする。


 その高さは約10メートル。


 そこから、俺は右脚を伸ばして左脚を曲げる。


 そして某アニメのライダーさんのようなキックを見舞う。


「ライ⚪︎ーキック!」


 俺は龍馬さんが立っている地面目掛けてライダーさんの必殺技を繰り出す。


「まずいっ!」


 龍馬さんの焦った声とともに“ドゴっ!”という地響きと爆風が起こる。


〈いやライ⚪︎ーキックの次元を超えとるww〉


〈もはや災害ww〉


〈こんな威力を仮⚪︎ライダーが繰り出したら怪人じゃなくて仮⚪︎ライダーに街を滅ぼされるわww〉


 俺は地面にライ⚪︎ーキックを見舞い、綺麗に跳ね返って着地する。


「これなら愛菜さんから文句は言われないだろ。直接攻撃はしてないし。そう思うだろ?美柑?」


 俺は腕の中にいる美柑に問いかける。


「え、えぇ。大丈夫だと思うわ」


 すると何故か引き気味に美柑が答える。


「じゃあ、俺は千春さんの援護に回るから千春さんがフリーになった時に回復してもら……」


 そう言って千春さんのもとへ向かおうとすると…


「ガハハハっ!久々に死ぬかと思ったぞ!」


 そんな声が聞こえてくる。


「う、嘘でしょ。あの攻撃を喰らってリタイアしてないなんて」


 そこにはボロボロの服で所々に痛々しい怪我を負った龍馬さんがいた。


〈凄すぎ。アレを直に喰らって生きてるんかよ〉


〈さすが『牙狼』ギルド1の実力者。並大抵の冒険者じゃないな〉


「もう終わりか?」


「裕哉!もう一回裕哉キックよ!」


「違う!ライ⚪︎ーキックだ!」


「名前なんてどうでもいいわよ!」


〈アイツ、あれがライ⚪︎ーキックと思ってんのかよww〉


〈完全に別物だよ!裕哉キックの方が正しいわ!〉


「させるか!」


 俺がライ⚪︎ーキックを見舞うことを察した龍馬さんが距離を詰める。


 しかし、ジャンプするだけで攻撃に移れるライ⚪︎ーキックを龍馬さんは止めることができず、俺はその場でジャンプして空中でライ⚪︎ーキックの構えを取る。


「ライ⚪︎ーキック!」


 そして龍馬さんの地面目掛けて急降下する。


「くっ!」


 俺がどんな攻撃をするか分かっていても防ぐ術がなかったため、“ドゴっ!”という音と爆風とともに龍馬さんが吹き飛ぶ。


 そして「『牙狼』ギルド1名の気絶を確認。リタイアします」というアナウンスを聞く。


「よしっ!」


 俺は無事に龍馬さんをリタイアさせることに成功した。

【お知らせ】


 作品を読んでいただきありがとうございます。


 作者は先日、新作の異世界ファンタジーを投稿しました。


〜タイトル〜

『スライム10,000体討伐から始まる逆転劇』


https://ncode.syosetu.com/n5937ij/1/


 スライムを10,000体討伐して最強になった主人公が、今までイジメてきた奴らに“ざまぁ”する物語です。


 この作品も更新し続けて参りますので、新作の方もよろしくお願いします<(_ _)>

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