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プロローグ
しんしんと降り続く雪はガス灯の灯りを滲ませ、石畳の往来を白く染めて行く。それがどんなに幻想的で綺麗な様相を呈していても、年の瀬の忙しさに追われた人々は気にも留めない。だから、そこで幼い少女が一人凍え死にそうになっていても誰も気づかない。
可哀想に、少女は暖を取るためにとうとう売り物のマッチマッチに火を灯した。もちろん、か細く頼りないマッチの火などすぐに消えてしまう。
それを見た少女は慌てて次のマッチに火をつける、しかしすぐ消える、そしてまた点ける、やはりすぐ消える。いくらかそんな事を繰り返した後、少女は手持ちのマッチを全て燃やしつくしてしまった。
そして少女は全てを諦めたかのように眠りに着く。そうして悲しい物語は幕を閉じる….ハズだった。
突如男が少女にかけより、叫ぶ
「ああ、なんて事….。エレン、全てオレが悪かったのだ。死なないでくれ」