快速列車の煙
慌てて快速列車に乗り込む客
彼が最後の客となり
扉は閉まって速度が上がる
彼は私の隣の席を買っていた
煙草を吸って良いか聞いてきた
どうぞ、と頷いた時には火がついていた
煙漂う快速列車になる
窓の隙間から灰色の煙が流れる
後ろの席の景色は醜くなっているだろう
しかしそもそも景色を見ていなければ
煙草の煙などどうでも良いだろう
きっと後ろは眠っている
前も眠っている
私も眠りそうだ
彼はもう煙で隠れている
快速列車は煙が尾を引いて
もうすぐトンネルの中だ