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転寝

とある陽気の下、その温室にも似た温かい教室で少女は机の上で腕を組んで、それを枕代わりにして惰眠を貪っている。


今日はなんて気持ちのいい日なんだろう。...あと8時間くらいこうして眠っていたい。

という少女の儚い願いはもう一人の少女によって簡単に打ち崩される。


 

「ハスキー!!」


 

「.........」


 

「起きてってば!もう!お昼休み終わるよ!!」



「...うるさいよ、キツネ。」


 

ハスキーと呼ばれた少女は腕を組みなおして反対側に顔を向ける。

キツネと呼ばれた少女はハスキーの頬を指でツンツンとつく。


「おーきてってばぁ!!もう!どーせ夜更かししたんでしょ?」


「昨日は..9時に寝て、今日は7時に起きた。」


「は!?めっちゃ寝てる!お婆ちゃんじゃん!」


「でも....眠い」


そういってまた深く眠りにつこうとする。


「もー!!起きてってばぁ!先生きちゃうよ!」


キツネはハスキーの体を揺さぶる。


「おーい、授業始めるぞぉ。」


そこに初老の教員が入ってくる。


「ほら!来ちゃった!」


「...まだ、チャイムなってないのに。」


ハスキーは不機嫌そうに体を起こす。

キツネもハスキーの隣の席に着く。


「授業中、眠っちゃダメだよ。大塚っち居眠りには厳しいんだからね。」


「大丈夫。私には秘策がある。」


「秘策ぅ?」


そうコソコソと話したところでチャイムが鳴った。



―――――――


「....で、あるからして」


(うー、古文の授業なんてツマンないなぁ。ハスキーじゃなくても眠くなっちゃう。)


(....そういえば、ハスキー大丈夫かな?)


そう思ってキツネはハスキーのほうを見る。


そこには姿勢を立てている彼女の姿があった。


(おお、ちゃんと起きてるじゃん。感心....ん?


それはどこか違和感を感じさせる。


(んー?姿勢は起きてるけど....体が微妙に前後して...目が....超薄目...。)


(え、もしかして寝てんのこれ!?ええ!!秘策ってこれ!?)


キツネは目を丸くする。


すっと先生のほうを見ると...意外に気づかれていない。


(姿勢を立てたまま、しかも目を完全に閉じることなく眠ってる..。すっごい眠り根性。もはや芸術だぁ。)


「じゃあ、蓮木(はすき)!ここ訳せるか?


その言葉に彼女はピクっと反応して起き、ぱっと目を見開いた。


(おっと、これはハスキーぴーんち。どうする...?)


「........」


(.....あ、これ詰んでるやつだ。)


どうやらこの秘策も完璧とはいかないようだった。


 

人物紹介


蓮木 鈴(はすき すず)

あだ名はハスキー。三度の飯より寝るのが好きな女の子。その苗字から安易なあだ名で呼ばれている。不愛想でめんどくさがり屋だが、人付き合いは割といいほうらしい。実際にハスキー犬を飼っている。ジト目のおでこちゃん。



木塚 寧々(こづか ねね)

あだ名はキツネ。明るく活発的な女の子。木塚こづかという苗字だが初見で「きつか」と呼ばれることが多いらしく、その間違いとねねという名前が合わさってキツネというあだ名になっているらしい。そのことを犬好きな本人は割と気に入っているそうだ。ショートのお眼目ぱっちり系。


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