第01話:邂逅
書いちゃいました。
よろしくお願いいたします。
秋の桜子さん、タイトルバナーありがとうございます!!
数年前。
一人の男がいた。
現代を生きる執事服のサムライによって、首元に刃を突きつけられ。そして己の血で濡れた、コンクリートの床の上に片膝をついた男が。
目の前のサムライよってつけられた、男の全身の裂傷から、とめどなく血が流れ出る。そのままにしておけば失血死を起こしかねない勢いだ。
しかし男は、慌てない。
いやそれどころか、己の得物の一つであるコルト・パイソンを床へと落とし……さらには両手を上げて降参のポーズをした。
「負けたよ。まさか、次世代にこんな強者がいるとはな」
苦笑まじりに、男は目の前のサムライに言った。
「だが、俺もプロだ。負けはしたが……依頼はこなさせてもらったよ」
その言葉を聞き、サムライはハッとする。
男への警戒を緩めずに、目だけを、男の標的だった者を確保している同僚に向け……目を疑った。
男の標的であった、肘川市内に潜伏していた殺人鬼は……その心臓を、男の弾丸で撃ち抜かれていた。
サムライの同僚は、思わず目を見張った。
彼でも気づかない内に撃ち抜かれていたというのか。
するとサムライは、そこでハッとする。
あの時、男がガムシャラに撃った一発の弾丸。
まさかあれは、男の言った通り無駄撃ちではなく……標的を狙ったモノであったのか。
「ほら。どうした」
男は苦笑いしながらサムライに言う。
「俺を殺すんだろう? 分かっているさ。長年殺し屋もしてきたんだ。いつかは、その報いを受けるのは当然だ。その覚悟もしている。だから、遠慮するな」
「…………勘違いしているようですが」
殺人鬼が殺されていた事を知り驚愕していた、サムライの同僚の男が口を挟む。
「俺達の今回の任務は、この殺人鬼、そしてあなたの生け捕りです」
「…………は?」
今度は、男が目を見張る番だった。
サムライの同僚の男が何を言っているのか、男にはまったく理解できなかった。
彼らは裏社会の人間ではないのか。そして自分は、今まで殺してきた犯罪者の関係者からの依頼によって消されるのではないのか。
「できれば殺人鬼の方も生け捕りにしたかったですが……まぁ放っておいても死刑判決を受けていただろうし、政府も納得してくれるかな? でも、あなたは違う」
サムライこと、如月の同僚である男・普津沢堕理雄は、拳銃使いの殺し屋へと、まっすぐな視線を向けながら言った。
「調べによると、あなたは今まで……悪人しか殺していない。ようは政府にとっても、あなたはある意味重宝されるべき存在。でもフリーランスなため、うまい具合にコントロールできない」
「……つまり、俺を政府の組織に組み込もうってのか」
二度も政府という単語が出てくると、さすがに男もある程度事情を察した。
相手がいったいどういう組織で、そしてなぜ自分とこうして……殺し合いというイレギュラーこそあったが、接触したのかと。
「はい。というワケで……田井中堅斗さん。俺達と一緒に仕事をしませんか?」
不定期連載です。