第16話 ~私は感謝していますよ~
第16話 ~私は感謝していますよ~
帰宅後、夕食を作ってご飯を食べながら、お父様とお母様と兄様と美琴さんに今日の出来事をお話しました。
「何だよ、高校でもまたか?」
と兄様。ええまあ、実にまたなのです。中学校の時も似たようなことさんざんやられましたからね。
「絢姉、高校デビューくらいしなさいよ。結局去年とぜんっぜん変わっていないじゃない。」
美琴さんの評価もなかなか辛辣です。いえ、私も多少は成長しているつもりですよ? それに高校デビューなんて私には無理ですってば。そんなに私が急激に変われるわけがないではないですか。
「それにしても頼もしいお友達ができたのね、そこまでしてくれるなんて。」
と、お母様が嬉しそうにしていてくださいます。中学校時代はそこまで親身にしてくださる友人というのはいなかったですからね。
「ええ、良い友人たちですよ。いつも賑やかですし、私の事を心配してくださいますし。気持ちの良い人達です。」
頭の中で早島さんが『あの駄犬どものどこが良い人達よ。人間未満の駄犬どもだわ。』とおっしゃっていますが、まあそれはそっとしておきましょう。いえ、現実の早島さんならもっと辛辣な評価をなさるでしょうか。
「良い友人は人生の宝だからな。大事にしておけよ。もしかしたら将来の婿になってくれるかもしれんしな。」
お父様がそんな事をおっしゃいます。婿ですって…気が早すぎますってば。私まだ女子として通学すらしていないのですよ?
「絢姉、顔真っ赤。」
美琴さんがそう指摘してきました。あう、顔に出てしまいましたか。
「何だ、好きな相手でもいるのか? それならなおさら大事にしておけよ、他の女子にさらわれるなよ?」
兄様までそうおっしゃいます。いえ、その…。
「…そ、そんな事はありませんよ。皆さん良い友人でそれ以上ではありませんよ。」
大体まだ入学して2週間ですよ、好きな人なんてできる訳がないではありませんか。早すぎますし無節操というものです…。既に2回女子に告白して玉砕した友人もいますけれども、私にそこまでの勇気と行動力はありません。そもそもまだ恋愛対象も好みもはっきりしていませんしね。私のそういった感情の発現はだいぶ遅れている様子です。もう高校生ですからそういった感情を抱いても不思議は無いのですけれどね…。ああでも、昨日木島さんに抱き留められた時には少々きゅんとしてしまいました。とてもご本人には申せませんけれどね。
「ところで絢子、いい娘がいたら紹介してくれよ。工学部、女子いなくて出逢いが無いんだよ。」
兄様がそうおっしゃいます。そうすると将来の義姉様ですか。知り合いの中なら私としては早島さんに義姉様になって頂きたいですね。なんだか頼りがいがありそうですし、意外に私を大事にしてくれそうな気が致します。もっとも、兄様と早島さんでは兄様の方が釣り合いが取れませんし、一言も言わないうちに撃破されて終わると思いますが。
「兄さん、いくら餓えてるからって妹に頼らないでよ。」
「何なら美琴が紹介してくれても良いんだぞ?」
「中学校一年生に手を出す大学生ってどうなのよ。私、通報するよ?」
「そいつは勘弁願いたいな。」
どういうやり取りですかまったくもう…。でも、確かに大学生が中学生に手を出したら問題でしょうか。それとも清いお付き合いなら許されるのでしょうか。難しいところですね。兄様も人並みの男子ですから、どこまで我慢できるのか私には解らないのですが…。
「ひとまず手が後ろに回る様な恋愛はしないでね?」
と、お母様も釘を刺していらっしゃいます。まあ、それはそうですよね…。
翌日、今日は雨模様なのでバスで通学です。ですので早めに家を出ます。バスに乗ること自体は嫌いではないのですが、混雑するバスは少々苦手です…。まあ、致し方ないですよね。泉中央駅で乗り換えて、学校方面に向かうバスに乗車です。時間が時間ですから同じ高校に向かう生徒ばかりです。同級生も先輩方もごちゃまぜのすし詰めです。やはり自転車通学の方が気楽ですね…。雨が降るというのも面倒なものです。まったく降らないとそれはそれで困るのですけれどね。仙台市はダムが多数あって水瓶には困らない方なので、滅多に渇水にはなりませんが…。
やれやれ、何とか無事に教室までたどり着きました。
「おう、おはよう姫。」
先に来ていた木島さんがあいさつをしてくだしました。
「おはようございます、木島さん。昨日はありがとうございました。」
私はそう笑顔で笑いかけ、頭を下げます。
「よせやい、大したことはしてねぇよ。あのくらい当たり前だろ?」
いやいや、なかなかどうして凄い事をされたと思いますよ、ピンチにヒーローのように現れた木島さんは格好良かったです。『そうは行かねえんだな。』なんてセリフ、一生に何度聞けるのでしょうか。思わずきゅんとしてしまいましたよ…表には出せませんが。
「おはよう、姫、木島。今日は何事もない様子だな。」
工藤さんもやってらっしゃいました。
「雨で鬱陶しいねえ、おはよう、みんな。」
「天候というものは如何ともしがたいな。おはよう。」
毛野さんと柿沼さんもやってきて、みんなそろった感じです。
「そういえば昨日何で木島はあんなに早く対応できたんだ?」
工藤さんがとても不思議そうに聞いています。そういえばそうですよね、どうしてあんなに都合よく現場に居合わせたのでしょうか。
「いやあ、朝の日課のかわいい娘探しをしていたらなんか不穏な雰囲気があるじゃねえか、こいつはよくねえなと思って見ていたら案の上でな、危ういところで間に合って良かったぜ。」
…えっと、そんな日課があったのですか。工藤さんが頭を抱えていますよ、木島さん。
「…今回に限っては姫を救った功績に免じて締めることは許してやろう。」
工藤さんがそう渋い顔をして言っていらっしゃいます。
「明日から止めてよね、その日課。ますます木島君の評判が落ちるよ?」
「俺の生き甲斐を止めろというのか?」
毛野さんの言葉にそう反論する木島さんです。それが生き甲斐というのもどうなのでしょうか。まあ、恋愛は確かに大きなエネルギー源にはなるとは思いますが。
「少しは他の生き甲斐を探せ、お前は…。女の事以外考える事は無いのか。」
工藤さんが渋い顔でツッコんでいます。まあ、あまり否定はできないご意見ですね。
「無い!」
断言しないでください木島さん。もっといろいろ考えましょうよ。
「昨日上がった株価が暴落したな。」
と柿沼さん。昨日はストップ高並に上がったのではないでしょうか。
「俺の株は一体どうなってるんだよ!」
「入学時から暴落を続けて、昨日一時的に上がったけれどまた上場廃止寸前まで下がったというところかしら。ああ、でも200人も節操なしの駄犬の株を買う人がいるとは思えないから、マザーズにも上場できないわね。非公開株止まりで終わりね。市場取引なんて夢のまた夢よ。」
いつの間にか早島さんがやって来ていました。そしてやって来て早々、今度は経済ネタでの毒舌です。本当に早島さんはどこからそういう知識を仕入れてくるのでしょうか。
「…とりあえず私は多少なら買いますよ? 私は感謝していますから。」
「姫、この駄犬の株なんか買ったらあなた名実ともに駄犬の所有者になってしまうわよ? そんな事はお止めなさいな、いくら有限責任だからと言って変なリスクを背負い込む事は無いわ。利害関係者というだけでも迷惑なのに。」
フォローしたつもりがまた早島さんに粉砕されました。口ではとてもかないませんね。
「早々にM&Aされてもっとまともな経営者がつくことを期待する。」
柿沼さんもひどい言い様です。木島さんが木島さんを運営するのではだめだという事でしょうか。決して悪い方ではありませんのに。
「俺の経営陣は清廉潔白だぜ? それにどうせするなら俺好みのかわいい女の子と対等合併したいんだぜ?」
そうまじめな顔で言う木島さんですが、果たしてどこまで信じてもらえますかどうか。
「経営方針に問題があると言っているのよ。早いところ取引先から社外取締役をいれてもらって経営方針を転換なさい。さもないと評判が地に堕ちるわよ、もう手遅れかもしれないけれど。それにあんたの資産内容で対等合併なんかできる訳ないでしょう、負債総額いくらになっていると思っているのよ。事業譲渡先が現れたら幸運だと思いなさい。」
木島さんの取引先ってどこになるのでしょうね。私達でしょうか。しかし私達の意見を木島さんが聞いてくれるかというと、少々心許ないのですけれども。それにしても木島さん負債持ち扱いですか…。しかも事業譲渡先ってもう倒産が前提ですか?
「積極的な営業は企業経営の基本だろう?」
「その営業で悪印象ばかりもたれている駄犬が言う言葉ではないわね。」
木島さんも精一杯の反論を試みますが、早島さんにはかないません。でもなんだか最近このお二人、結構良いコンビになっている気がするのですが、気のせいでしょうか。もっともそんな事を言ったらお二人ともさぞ嫌な顔をなさる事と思いますが。
「相変わらず早島女史は手厳しい。」
「駄犬どもがろくな事を言わないからよ。まともな事を言えばきちんと応対するわよ?」
柿沼さんの言葉に早島さんがそうおっしゃいますが…早島さん基準のまともな事というのもあまりまともな事ではないような気が致します。
「あ、姫ちゃん! 昨日は大変だったんだって? もう大丈夫なの?」
登校してきた松川さんが話しかけてきてくれました。
「私も聞いたわ、ろくでもない事に巻き込まれたって。この学校にも悪い生徒はいるのね。」
一緒にやって来た松山さんもそうおっしゃっています。
「ええ、昨日木島さんを始めここにいらっしゃる皆さんのおかげで助けられましたから…。とりあえず今朝のところは復讐に来る気配もないですし、もう大丈夫なのではないでしょうか。」
私は笑顔で答えます…が、一体どうしてこうも早くお二人が知っているのでしょうか?
「ところで、どうしてもうご存知なのですか?」
私は首をかしげます。お話が広まるにしましても、少々早すぎますよね。
「中里部長から一年生で事件があったから気をつけなさいって連絡をもらったんだよ!」
「かなり具体的な内容だったから、被害者も加害者もすぐに特定できたわ。まったく姫ちゃんもとんだ災難だったわね。」
何と、早いですね…。…これはもしかして、浮田部長さんから手芸部の中里部長さんにお話が行ったという事でしょうか。浮田部長さん、絶対に許さんという表情を昨日していらっしゃいましたけれど、本気で行動に移しているご様子ですね…。味方でいる分には良いですけれど、敵に回すと恐ろしいですね。まあ私、かわいがられているご様子ですから大丈夫だとは思いますけれども…。
「何かあったら私達にも言ってね、加勢するからね!」
「ええ、こんなろくでもない事は放置できないわ。いつでも呼びなさいね。」
松川さんも松山さんも、知り合ったばかりだと言いますのに…気の良い方々ですね。
「…あなた達とは気が合いそうね。改めてよろしく頼むわね。」
あら、早島さんが珍しくちょっと照れた表情をされていますよ。
「菜々子ちゃんももう友達だよ!」
「この間は随分よくして頂いたからね、こちらこそよ。」
お二人ともそう返していらっしゃいます。
「早島さんが照れてる…⁉」
「雨を通り越して暴風雨になるんじゃないか…⁉」
毛野さん、工藤さん、聞こえていますってば。その発言は失礼ですよ。
「…そこの駄犬どもはそんなに私の制裁を喰らいたいのかしら?」
「いえ、遠慮します。」
「止めて頂けるとありがたい。」
「それなら口を慎みなさい。口は禍の元よ?」
ほら、早島さんのお叱りを受けたではないですか…。もう、皆さん素直と申しますか、何と申しますか。
でも朝から賑やかで、好きですよ、私はこの雰囲気。小中学校時代にはなかったものです。
休み時間、お手洗いに行こうとしたのです…が…。
「姫、なんだ、便所か?」
木島さんに聞かれました。
「ええ、まあ、御不浄に…。」
「ごふじょう?」
あ…まあ、今時使う人いませんよね。要するにお手洗いの事なのですが。
「それはともかく俺も連れて行け。また何かあっても困る。」
「木島だけに任せられん、俺も行く。」
「二人だけじゃ不安だから僕も行くよ。」
「同行しよう。」
という事で、みんなで行くことになってしまいました。なんだかもう、私すっかり要保護対象扱いですね。まあ、昨日の今日では仕方がないでしょうか…。
あら、昨日の三人の女子が廊下にいますね…。こちらを見て、舌打ちしていますよ。木島さんが睨み返しています。
「どうも連中、もうクラスに居場所がないみたいだな。」
通り過ぎた後で、工藤さんが口を開きます。
「そうみたいだね、わざわざ休み時間に廊下で駄弁っているところを見ると。」
毛野さんも同意見のご様子。なんだかそれもそれで哀れではありますけれども、さすがに私が同情するところではありませんよね、これは…。
「致し方あるまい、昨日の件はもう学年中に広まっている。」
と、柿沼さん。あら、ずいぶんとまた広まるの早いですね…? 何かおかしい気が…。
「一体どうしてそんなに広まったのです?」
さすがに不思議に感じて、たずねてみます。話が広まるにしても早すぎますよ?
「俺たち全員違う部だけどよ、昨日のうちに全員部長から1年生向けに注意喚起のメッセージが来たぜ?」
と、木島さん。え、この学校実は結構怖いのでは…。情報のソースはどこでしょうか、一体。生徒会の方でしょうか。まさか浮田部長さんの手回しではないですよね。
「信賞必罰勧善懲悪、結構な事だ。」
柿沼さんがそう言っていますが…一歩間違うととんでもない誤情報もあっという間に広まりそうなのですが、これ…。一体どうなっているのでしょうか…。
放課後になり、いつものお茶会です。もういつもの、という感覚ですね。
「あら姫ちゃん、効果はあった?」
調理室に入って早々、浮田部長さんがたずねてきてくださいます。何と申しましょうか、上級生の皆様も『姫』で定着してしまったご様子ですね。
「ええと、効きすぎて恐ろしいくらいです。部長さんは一体何をされたのですか?」
まさかすべての部活の部長さん達にコネクションをお持ちだとか、そんな事は無いですよね。
「生徒会にちょっとお願いをして、全部長宛てに注意喚起してもらっただけよ? たいした事はしていないわ。」
充分大したことになっていますよ、部長さん…。一年生はその話題で持ちきりでしたよ。
「まあよくあることだから、気にしないでね~。もう捜査も終わって事実関係も解明されていた事だから、生徒会の方も事実の公表にやぶさかではなかったですからね~。」
どうやら赤松副部長さんも一枚噛んでいらしたご様子です。
「ええ、生徒会の方も一年生の引き締めにいい機会だと乗り気だったわ。こういった事案は絶対に許さないという姿勢を改めて示す良い機会ですね、って会長も言っていたし。」
浮田部長さんがそうおっしゃいます。生徒会の方もそこは織り込み済みだったのですか…。なんだか私、うまく出汁にされたみたいです。
「例年学期始めはこういう事案が多いですからね、油断ならないのよ~。姫ちゃんが無事に過ごせそうなら何よりだわ~。」
そう微笑んでくださる赤松副部長さんです。
「連中、部活でもこってり絞られたはずよ。問題を起こした部は厳重注意を受けるからね。結構うちの学校厳しいのよ。…あなた達もくれぐれも問題起こさないでね?」
後半は皆さんの方を向いて、浮田部長さんがおっしゃいます。皆さん、はい、もちろんです、と答えていらっしゃいます。
「特に早島さん、気を付けてね~。あなたこの間クラスメイトを殴打したでしょう~?」
あら、知られていたのですね…。赤松副部長さんも抜け目のないお方ですね。
「あれは揉み消すのに苦労したわ。入学早々部員に処分者を出す訳にはいかなかったから、ちょっと会長によく事情を説明して了解してもらったけどね。」
浮田部長さんが笑顔でおっしゃいますが、何か黒いものを感じます。気のせいでしょうか。一体何をどう説明したのだろうかと気になるような、気にしてはいけないところのような…。
「あ、あれはその…宇野さんに手を出そうとした木島君が悪いんですよ。」
早島さん、珍しく歯切れが悪いですね。まあ、たしなめられているところでは仕方がないでしょうか。珍しくちゃんと名前で呼んでいますし。
「手出しは駄目よ? あなたなら言論でばっさり切り捨てるくらいお手の物でしょう?」
笑顔のままおっしゃる浮田部長さんです。結構容赦のない事をおっしゃいますね。
「…それはいつもやっていましたから、それ以上の制裁を加えないといけないと思いまして。でもまさか部長や副部長のお手を煩わせているとは思いませんでした…。以降気を付けます。」
神妙におっしゃる早島さんでした。
何か色々と私の思惑を離れて事態は動いていたご様子ですが、まあ悪い事にはなっていない様子です。
終わり良ければ総て良し、でしょうか。
一回株が上がったと思ったらまた暴落した木島さんです。
せっかく良いところを見せたのに…。
でも姫はきちんと感謝している様子です。良い事ですね。
そして浮田部長の手回しの良さは怖い程ですね。生徒会の対応も中々ですが。
校内の綱紀粛正にとうまく事件を利用されてしまった様子です。
※ストップ高
株式市場で制限値幅の上限まで株価が上昇することです。
値幅制限の一つで、証券取引所の役割である適正な株価の形成と、不測の損害からの投資家保護という目的のもと制定されています。
※マザーズ
東京証券取引所が開設する新興企業向けの株式市場で、上場条件が比較的緩いのです。
「market of the high-growth and emerging stocks」に由来する名称です。
※非公開株
株式公開、つまりは株式市場に上場していないしていない株式のことです。
意外に有名企業でも未上場で非公開株という事はあったりします。
※ストックホルダー
要するに株主の事です。
株主は会社の所有者とされていますから、木島さんの株を買えば姫は名実ともに所有者という訳になります。
既に早島さんは姫の事を「駄犬の飼い主」扱いしていますから、「名実ともに所有者に」というお話になっているのですね。
※有限責任
ある事業体についてその帰属主体や出資者・拠出者などが限定された範囲の財産でのみ責任、つまりは債務との関係で財産がその引当てになることを言います。
要するに破産したら出資したお金は債務返済に回されて手元に返ってこないという事です。
これに対して、破産した際に負債全額の責任を負わされることを無限責任と言います。
※ステークホルダー
企業・行政・NPO等の利害と行動に直接・間接的な利害関係を有する者を指します。
日本語では利害関係者と言います。
具体的には、顧客、従業員、株主、債権者、仕入先、得意先、地域社会、行政機関など。
姫や他の四馬鹿、早島さんやクラスメイトも木島さんの利害関係者になるでしょうか。
声を掛けられる女子達も含まれると思いますが、害はあっても利はない気が…。
※M&A
「Mergers and Acquisitions」の略です。日本語だと「買収合併」になります。
ごく典型的なケースでは株式買収による経営権の掌握が行われます。
木島さんを買い取る人が出るとは思えませんが。
※社外取締役
株式会社の取締役であり、外部の視点により企業経営のチェック機能を果たす役割を持っています。
要するに会社のお目付け役です。木島さんのお目付け役って誰になるのでしょうね。
※対等合併
合併の当事者となる会社の合併比率が同一になるような合併のことを指します。
建前上、旧会社間に優劣は生じないまま新会社が発足します。
対義語は吸収合併で、こちらの場合は吸収する会社が存続会社となり、吸収される会社は消滅します。
木島さんはたぶん、好みの女の子と対等な立場で付き合いたいという希望を述べたものと思われます。
※事業譲渡
ある会社が行っている事業を他の会社に譲渡する事を言います。
大抵は破産した場合の引継ぎや、事業不振のため売却をする際に行われます。
早島さんの中では木島さんはもう既にすっかり業績不振の赤字経営扱いらしいです。