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「お疲れ様でしたー」
「はい、お疲れ様です」
「ごめんね、仕事押し付けちゃって」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「いやー、君がいてくれてよかったよ。仕事が捗る捗る!いつもありがとうね」
「いえいえ、こちらこそ。部長のおかけで仕事がしやすくなりましたよ。」
「はっはっはっ!そうかそうか。ではこれからも励んでくれたまえ」
「はい。お疲れ様です」
私は他人の要求することを飲んできた。
容姿、性格、頭の良さ、運動神経などから、他人からは天使と呼ばれた。
天使のような美しい容姿、天使のように優しい性格、天使のように完璧な頭の良さと運動神経。自らの命が危険でも他人を助ける心。
妬まれ、疎まれても天使と呼ばれた。
天使のように優しく、他人の要求を飲み、逆らえない。
そんな都合のいい天使。
笑って要求を飲むと、蔑まれた目、哀れんだ目をされる
気づいても笑ってた。
仕事が終わりふと時計を見ると11時を指していた。
帰ろうか。荷物をまとめ会社を出る。暗い夜道を歩いていく。
また。
酔っ払っている男の人が道路をフラフラと歩いている。後ろからトラックが来ていた。
また、助ける。
男の人を引っ張り、反動で自分が前に出される。
ドンッと音がして、はね飛ばされて、地面に叩きつけられて。
「お、おい、お嬢ちゃん?」と焦った男の人の声が聞こえて。
あぁ、やっと。今度こそ。
見えなくなればいいのにな。
最後にそう思って私は意識を失った。