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魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ  作者: 伏(龍)
第3章

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待ち伏せ

「いないな…」


 タワーウルフの3匹組を瞬殺し、桜とシスティナが魔石の回収をしている間に思わず呟く。


「今日もいるとは限らぬしな。取りあえず『3階層』を全てチェックしたら1階層ずつ虱潰しにしてみよう」

「了解」


 そう言って俺達は蛍さんの指示で『3階層』を進んでいく。


 そう、3階層である。スパルタな蛍さんを擁する俺達が何故楽に突破したはずの3階層をまた探索しているのか。その理由は1時間程前にさかのぼる。




「未帰還者…ですか?」


 初めての夜間の見張りを終えた俺達は遅めの朝食を摂った後、塔の探索に行くべく俺達は屋敷を出た。

 そのついでに盗賊の情報が新しく入っていれば聞こうと思って寄った冒険者ギルド。そこで再び案内された部屋でウィルさんの話を聞いた後の俺の第一声がこれだった。


 なんだかすっかりギルドマスター的な位置付けになりつつあるウィルさんが俺の言葉に頷く。


「はい。と言っても塔探索は危険なものですから未帰還者が出るのはもちろんあり得ることなんですが……今回は3階層に向かった冒険者達が何人か戻ってきてないのです」

「3階層と言えば初心者に毛が生えた程度の冒険者達がいる辺りだな?」

「そうですね。ザチルの塔は塔に入る探索者が多い塔な上に未だに最終層がどのくらい上かも分からない程の高層塔です。そのため低層の敵の強さはさほどでもありません。

 装備と人数をなんとかすれば3~5層は比較的入りやすい安全な層なのです。実際ここ数十日は5階層以下で死んだという話は全くありませんでした」


 それでも引き際をミスったりとか仲間割れをしたとかちょっとしたことで未帰還者の仲間入りをすることはありえそうな気がするけど。


「フジノミヤ様の考えられていることは分かります。ですが未帰還者は昨日だけで3パーティ11人です。ちょっと多すぎるのです」

「それは…確かに多いですね」

「はい…それでここからが今回の本題なのですが」


 ウィルさんはそう言うと一枚の紙を取り出して机に置いた。そこにはインクで書かれたミと○が組み合わさったような模様が描いてある。


「これは?」

「3階層で他の探索者に襲われたと報告をしてきた冒険者の話を聞いて作成したものです」

「どういうことですか?塔の中で盗賊のようなことをしている者がいるということですか?」

「はい。残念ながらそう言った事件は度々報告されています。危険な魔物を倒して得た魔石よりもそこそこの装備を身に付けた探索者を騙し討ちにして身ぐるみを剥がした方が儲かると考える人がいます」


 なるほど、確かに1個2000マール程の魔石をちまちま稼ぐよりも探索者達を襲って所持金や戦利品や装備を売り払った方が短時間で高額な利益が出るだろう。だがそんなことをずっと続けていく訳にはいかないんじゃないだろうか。

 そんな強盗殺人をやっていたらすぐに噂になってもっと強い相手が討伐に来る可能性が上がる。現に今回だって翌日には情報が漏れている訳で…


「塔の死体は時間が経つと塔に吸収されます。荷物さえ持ち去ってしまえば証拠は残りません。なので1人も逃さないようにすればその犯行はかなり長い時間発覚しないことになります」

「え?でも今回の件は昨日の話ですよね」

「その相手は冒険者達を塔の外周部で襲って来たそうです」

「ほう…そういうことか」


 ウィルさんの言葉に蛍さんが何かに気が付いたらしく不敵な笑みを浮かべている。


「蛍さん、どういうこと?」

「分からぬかソウジロウ。塔に入るものなら常識だぞ……塔からの脱出方法はな」

「あ!」


 そうか!塔から出る時はただ窓から飛び降りるだけでいい。だから目撃者を残したくないのなら襲撃場所は外周部ではなくある程度内部に入り込んだ場所じゃなきゃダメなんだ。迂闊に窓の近くで襲ったところで飛び降りられたら逃げられてしまうんだから。

 確認してみたら逃げてきた冒険者も仲間が襲われている間に窓から飛び降りられたので死なずにすんだらしい。仲間を見捨てて逃げたことについてはもやっとする部分はあるがそのおかげでそういう奴らがいるという情報を持ち帰れたのだから一概には責められない。


「つまり犯人は塔で強盗行為をしているくせに塔のことを知らないってことか…」

「はい。そのおかげでなんとかその冒険者は窓から逃げ出すことが出来たそうです。そして襲ったグループの中のリーダーらしき男の右肩にこの絵の模様が刻まれていたそうです」

「そっか!これってよく見れば流れ星っぽいよねソウ様」

「!!…赤い…流星。そう言うことか」


 ウィルさんの言いたいことが理解できた。つまりウィルさんはコロニ村を襲った後北上した赤い流星、その一部が塔に入り込んでいるのではないか。そう言いたいらしい。


「襲って来た奴らは20名程度だったようです」

「…つまり副頭目のうちの1人が配下を全部連れて来てるってことか」

「ソウジロウ。これが本当なら考えようによっては好機かも知れんぞ」

「そうだね~20人くらいなら塔の中で不意を突けば私達で殲滅出来るんじゃないかな」


 なるほど……相手の強みは決まったアジトを持たないことと大所帯であること。それなのにあっちがわざわざ狩場を固定した上に戦力を小出しにしてくれるなら叩いておくに越したことはない。しかも塔の通路なら大人数で囲みにくい。

 頭数を少しでも減らしておけばそれだけ俺の屋敷や、街が襲われる危険が減る。


「ソウジロウ様。ちょっとよろしいですか?」

「ん?何システィナ」


 俺に話しかけてきたシスティナの表情に僅かな焦燥を感じる。なんだろう?


「あの……盗賊がいたのって3階層ですよね。もしかしたらなんですけどフレイさん達のパーティも昨日辺りその辺にいたのではないかと」

「あ!」


 まずい!2階層までを楽に踏破できるようになっていたフレイ達が5階層までの許可を出した翌日に3階層に挑む可能性はかなり高い!


「ウィルさん!剣聖の弟子は今日はギルドに顔をだしましたか!」

「え?あ、はい…確か朝一番でお見えになったと思いますが」

「本当ですか!……はぁ」


 思わず乗り出していた身体から力が抜けソファに崩れ落ちる。


「っもう!ソウ様ったらツンデレぇ」


 くっ!しまった。つい過剰に反応してしまった。だがあの村の惨状を見ればフレイやアーリがあいつらに捕まった時にどんな扱いをされるのかなんてわかり切っている。それは正直見たくないし許せない。……あ~別にトォルはどうでもいい。


「ウィル。奴らが今日ギルドからの依頼を受けていたかどうか分かるか?」

「いえ、確認はされていましたが依頼は受けていなかったと思いますが」

「まずいな…ソウジロウ。安心している場合ではなさそうだぞ」

「え?」

「依頼を受けずにギルドを出たということは今日も午前中は塔で稼ぎ、午後から依頼という流れをしようとしているはずじゃ」


 あ!じゃあ、今まさに絶賛塔攻略中ってことか!


「すいませんウィルさん!私達はこれで失礼します。また新しい情報がありましたら教えてください」


 慌ただしくウィルさんに別れを告げると俺達は塔へと走る。3人を出来る限り鍛えて貰ったが所詮は一週間の付け焼刃であり20名近くに囲まれたら凌ぎきれない可能性はある。

 

 言葉も交わさずにひたすら走り続けて塔に辿りついた俺達はロビーに入る前に一度立ち止まるが乱れた息を僅かに整える時間すら惜しんですぐさまロビーに入ろうと足を踏み出す。


「おう!ソウジじゃねぇか!昨日は見なかったけどなにしてたんだ?」


 へ?……


 どっかで聞いたような声にそちらを振り向くと後ろにフレイとアーリを連れたトォルが暢気に手を振っていた。


 ………なんかムカついたので取りあえず鞘付きの葵で一発トォルを殴った。




「いってぇな!俺が何したって言うんだよ。何度も言うがな、俺の方が年上なんだからな!」

「反省はしてる。だが後悔はしていない」

「お前な…はぁ、なんだかもう…いいよ」


 トォルとの話が付いたところでフレイ達に話を聞いてみるとどうやらやっぱり3階層には入っていたらしい。だが3層に行くとすぐにフレイの音響索敵に23人という不自然な数の反応があったので警戒をして近寄らなかったとのことだった。

 しかも聞こえてきた会話の一部から強盗らしいことはすぐに分かったらしい。


「それでいなくなったら3階層に挑戦するつもりで、昨日もまた1階層から2階層を繰り返していたんだがいつまでたってもいなくなる気配がなくてな。その内ギルドの依頼を受ける時間が来てしまったので昨日は切り上げたんだ」


 フレイの話を聞いて納得した。確かにフレイの聴力をもってすれば危険を察知することが出来てもおかしくない。


「良かった。フレイさん達が無事で…フレイさんのおかげですね」


 俺は内心で胸を撫で下ろしながら殊勲の平耳をなでなでしてあげた。


「ひゃん!…あ、あの…フジノミヤ殿、うんっ!…はぁ…」


 なんだがフレイの顔が赤いがモフモフが気持ちいいので取りあえず無視しておこう。


「今日も1階層から順に上がって行ったのですが、先ほど3階層に上がったところやはり同じように……ただし今回の場所は階層の中心近くになってました。

 そんなところで囲まれるとマズいので今日も無理せず一旦戻って来たところでした」


 リーダーのアーリの決断だったらしいが賢明な判断だったと言える。盗賊達も前回の反省を生かして外周部での狩りをやめていたようなので下手に近づいていたら危なかっただろう。


「あ、あの!ふ、フジノミヤ…殿ふんっ…はぁ、やつ…かい…が、ん!」


 ゴン!


「いい加減にやめんか!フレイの話が聞けぬ」


 つっっ…すいません調子に乗りました。あんまりにも気持ちよかったもので。


「すいません蛍殿。助かりました。耳は普段隠しているせいか刺激に敏感で…触られても平気なようになるべく慣らしておくのでフジノミヤ殿もしばし待っていてくれ…」


 やばっ!顔を赤くしつつも触ること自体は駄目って言わないフレイ、可愛いかも。


「その辺は後でソウジロウと打ち合わせておけ。儂が聞きたいのは賊のことじゃ」

「あ、あぁ。先ほど3階層から出る時に聞こえたんだが、3階層じゃ稼ぎが悪いからもう少し上に行くか?的なことを話していたようだった」

「なるほどな…奴らは3階層から上の階層のどこかで網を張っているという訳か…」


 蛍さんが獰猛な笑みを浮かべている。こうなったらもう俺には止められないし、今回は止めるつもりはない。こいつらは今まで俺が知っている中でも最大級の悪人だ。処分出来るチャンスがあるなら躊躇するつもりはない。


「よし、山狩りならぬ塔狩りだ」





 という訳で3階層から塔に入ってフレイに聞いた場所まで来てみたのだが盗賊らしき気配は無かった。

 蛍さんの言うとおりに3階層内を気配察知で虱潰しにして、いないことが確認出来てから3階層の主を倒して4階層に上がる。


 4階層に上がってからも全ての場所を探っていくが数人程度の探索者には遭遇するが20人を超えるような団体は見つけられなかった。


「さらに上か…それとも今日はもう引き上げたか?」

「引き上げているのならまた明日くればよいだけのことじゃ。それよりもフレイの話では階層をあげるというようなことも言っていたらしいからな。

 5階層も様子を見ていこう」


 そう言って蛍さんは無造作に上り階段のある広間へと進んでいく。階段のある広間…はい、つまりボス部屋です。

 ただ3階層の時もそうだったが、広間に主の姿が見えない。姿が見えないということは直前に主を倒して上に上がった人達がいるということだ。奴らが上にいる可能性は高いかもしれない。


 4階層のボスは前回来た時も倒してはいるが、毎回同じ魔物とは限らないしやっぱり主戦は緊張する。前のパーティが主を倒した後は一定時間経過後に新たなパーティが入ることで新しい主がポップする。

 今回も蛍さんの侵入に合わせて階段下から魔物が湧き上がってくる。すぐに湧くということは俺達の前にここに来たパーティが主を倒してからそれなりの時間が経っているということだろう。


 湧き上がってきたのは『小隊長ゴブリン(4階層) ランク:F』とその取り巻きのゴブリンで『足軽ゴブリン(4階層) ランク:H』が2体と『弓兵ゴブリン(4階層) ランク:H』が2体だった。前回はビッグスコルピオという大きめの蠍の魔物だったが今回は小隊編成で合わせてボスということらしい。

 それにしても前に見たゴブリンは持っている武器に合わせた名前だったのに、今回は兵種で区分けされているみたいだ。指揮官クラスのゴブリンの指揮下に入ると名前が変わるのだろうか。まぁ、ぶっちゃけゴブリンの種別の基準とかどうでもいいので別にいいか。

 ただ、そのうち中隊長とか大隊長とかも出てきそうなのが嫌だけどね。


 っと!そんなこと考えている間にゴブリンたちの陣形が整ったのか小隊長ゴブリンが足軽2匹を従えて距離を詰めてくる。弓兵ゴブリンはその名の通り弓を装備していて後方で射線を取れるように陣取っている。足軽の2匹は銅製っぽい長槍を構えながら2匹の間隔2メートル程を維持しつつ近づいてきていて、小隊長はその2匹真ん中やや後ろ俺達の正面で長剣を構えつつ間合いを詰めてきている。


 弓で俺達を牽制しつつ槍2本で攻撃をして隙を見て小隊長が突っ込んでくるつもりなのだろうが初心者パーティならともかく俺達新撰組を相手にするならあまあまである。


「桜!弓を頼む。システィナ!俺と蛍さんで槍を抑えるから主を頼む。蛍さんは右の槍をよろしく」

「まっかしといて!」

「はい!」

「うむ」


 女性陣の頼もしい返事を聞きながら俺も左のゴブリンに向かって走る。ゴブリンはギギッと歪な声を漏らしながら槍を俺めがけて突き出してくる。お?想像以上にしっかり槍が使えてるっぽい。なかなかの突きが俺の胸の中央めがけて突き出される。

 俺は槍が当たる直前に足を止め左肩を引くことで僅かに半身になるとゴブリンの槍が目の前を通り過ぎていく。その槍の中程を右手に持った葵で上から叩きつける。


 スパ


 思ったよりも柔い槍だったのか葵の斬れ味が良かったのかゴブリンの槍は中程から綺麗に真っ二つになった。槍が斬られたことに驚愕し一瞬硬直したゴブリンの首を左手の閃斬がこれまた綺麗に斬り飛ばした。


 よし!とりあえず俺の役目は終わり。他は…

 

 さっと視線を巡らせると既に蛍さんはゴブリンを頭頂から真っ二つにした後だったようですぐさま桜が向かった方とは別の弓兵に向けて駆けだしている。桜も距離の違いを感じさせないほどに時を同じくして弓兵の背後を取り首を掻き斬っている。

 そしてシスティナがゴブリン小隊長と接敵し、3合ほど打ち合った後に魔断の斧部分が小隊長の長剣を持つ手を断ち割る。そして腕を失った痛みでうずくまりかけた小隊長の上からシスティナの魔断の槌部分が頭上に………うぁ、グロい。

 まぁどうせすぐ塔に吸収されるからいいけど。



「よし、魔石を回収したら5階層へ上がる」


 最後の一匹をさくっと仕留めた蛍さんが刀を身体に戻しながら凛々しく宣言する。どうみてもリーダーは蛍さんだよなぁ、格好良すぎる。


「それとソウジロウ。今の指揮はなかなか良かったぞ」


 それに男を『立てる』のもうまい。蛍さんに誉められるだけでテンションが上がってしまう。


「ご主人様。魔石は回収しました」

「ありがとうシスティナ。じゃあ行こうか」


 皆を促して5階層への階段を上がると小さな部屋に出る。これはどの階層へ上がっても変わらないらしい。もう一つ共通するのはこの部屋には必ず外壁側に扉が1枚あることである。この普通に空ければ外に飛び出してしまいそうな謎扉が1階のロビーの扉と繋がっているので1階から5階層に来る人達もここからスタートになる。


 ちなみに5階層は左右と正面に通路が伸びているが、始まりの部屋からどちらの方向に通路が伸びているかはその階層ごとに違うらしい。ついでに言うとこの部屋と安地部屋だけは何故か魔物が入ってこないということだった。確かにこの部屋で魔物に待ち伏せされると探索者的には詰んでしまう可能性もある。そんな噂が広まると塔に人が来なくなってしまうため塔自身も飢えてしまうことを理解しているのかもしれない。


 上がってきた5階層始まりの部屋には俺達しかいなかった。とりあえずこの場所から分かる範囲全てを蛍さんと桜の気配察知で索敵してもらうのでここで一旦休憩するのが今日の流れである。

 背負い袋から水筒を取り出すとぐいぐいと喉を潤し、システィナに渡す。今更間接キッスくらいでどうこう言う間柄でもないのでシスティナも普通に受け取って口を付ける。水筒自体はシスティナも持っているのだがまたすぐ動き出す予定なので二人して荷を下ろす必要はない。


「ありがとうございました。ご主人様」


 システィナから受け取った水筒を背負い袋に入れ再び背負う。蛍さんと桜は必ずしも水分補給が必要ではないので塔にいるときは求められた時だけ水筒を渡すことにしている。


「いるな」

「うん、いるね」


 荷物を背負い、武器の確認をして軽く屈伸をしていると蛍さんと桜がぽつりと呟く。


「人数は分かる?」

「もう少し近づけばはっきりと分かるだろうが…正確には無理だな」

「それにあいつら二手に分かれてるっぽいんだよね」

「わかった。とりあえずもう少し近づいてみようか。案内して」


 蛍さんは頷くと気配に集中しながら正面の通路へと踏み出す。どうやら中心部に近いところに網を張っているようだ。

 

「そう言えば葵は探知系のスキルは無いんだよね」

「こやつは安全な所に飾られてばかりだったからの。危険に対する認識が鈍いのだろうよ。戦乱を生きていない桜でさえ気配察知を覚えておるのにのぉ」

『うるさいわよ!山猿!そんなスキル無くたってわたくしにはあなたたちも持っていないユニークスキルがあるんですのよ!つまりはエリートですわ!』


 う~ん。確かにその通りではあるんだけど…その肝心のユニークスキルの使い方が全く分からないんだよなぁ。

 簡易鑑定じゃステータス画面の項目は鑑定できないしな。葵の武具鑑定結果は…


葵(日光助真) ランク:C+

錬成値 21

吸精値  0

技能:

共感

意思疎通

威圧

高飛車

魔力操作

適性(闇)


特殊技能:

唯我独尊



「システィナ『唯我独尊』の意味を教えてくれる?」

「はい。………『自分ほど偉いものはいないとうぬぼれること。この世の中で自分より尊いものはいないという意味』こんな感じですね」

「だよねぇ…」


 システィナの叡智の書庫なら地球の言葉の意味もすぐ調べられる。それに最近分かったことだけど叡智の書庫に進化してから検索ワードが2語まで設定出来るようになったらしい。

 どういうことかというと叡智の書の時は【カレー】【作り方】と聞くとカレーの定義と作り方という言葉の意味が別々に流れ込んできてカレーの作り方は全く分からなかったが、今は同じワードでも材料から調理手順まで分かるようになったらしい。これによりシスティナの知識は加速度的に増大しており日頃の食事のメニューの中にも地球食に近いものがちらほら出てくるようになっていて俺の郷愁を刺激してくれる。まあ帰りたいとはあまり思わないが。


 っと話がそれた。結局葵が高飛車で傲慢だからってそれがどうなんだって話だ。ただ俺が思うに威圧、高飛車辺りは敵対する生物の動きに働きかける効果があるんじゃないかと考えている。威圧は相手の動きを止める。高飛車は挑発してタゲを取る。みたいな?

 試してみたい気もするけど刀状態の葵のスキルを俺が使うとかなり劣化するから高飛車とか使っといてなんの効果もなかったらかなり痛い子なので、出来れば葵が人化してから葵に使ってもらいたい。唯我独尊もこの辺りのスキルと関連した能力なんじゃないかとなんとなく推測してるんだけど結局確認はまだ先の話になりそうだ。



「さて、馬鹿のたわごとはほっとくぞ。ソウジロウ。どうやら近いようだ」


 蛍さんが足を止めて気配を探る。


「う~ん…手前に10人いて」

「奥に5…10、13人か。フレイの言っていた人数とも合うな」

「その手前の10人がいるという場所はもしかして安全地帯の部屋でしょうか」

「多分、そうかも。ここに来るまでの間もそこには魔物が寄り付く気配がなかったしね」


 なるほど…つまり5階層突破を目指すパーティは主の間の近くにある安地部屋にかなりの高確率で寄って最後の休憩と諸々の最終確認をする。

 そこで相手の装備や人員構成を確認しておいて先に送りだせばその先には本隊が待ち構えている。後は後ろを追いかけて退路を断てば後は嬲り殺しにするだけということか。

 理には適っているのかもしれないが正直胸糞悪い。


「さて、どうしてくれようか」

「先に手前の10人をやっちゃおうか?ソウ様」

「あの…それはちょっと。まだ盗賊かどうかが確定した訳でもありませんし」


 正直桜の案が一番確実なんだが…確かにまだ何もしてない相手を問答無用で斬るのはちょっとやりすぎか。まあ簡易鑑定を使えば職から盗賊かどうかは一目瞭然なんだけどそれにしたって今現在進行形かと言われると微妙なところだ。


 俺は別に昔盗賊でも心を入れ替えて真面目に頑張ってる人までをも悪人だとは思わない。もちろんそれなりに悪いことをした以上死にもの狂いでやり直してないと認めるつもりはないが。


「挟まれてからひっくり返せるかな?」

「我らなら問題ないだろう。まあ桜の魔法の力は使う必要はあるかもしれんがな」

「桜におっまかせ~!がんがん燃やしちゃうよ」


 そっか。そういや魔法があったな。桜の魔法で相手をかき回せばなんとか行けそうだな。


「よし。なら、もし奴らが罠を仕掛けた盗賊だったら正面から食い破ろう。

いざ挟まれたら後ろの10人は蛍さんと俺がやる。桜は前の団体に火魔法をがんがん打ち込んで混乱に乗じて敵の数を減らして。システィナは俺と蛍さんが後ろを片付けるまで前線を支えて欲しい。

 後ろが片付いたら攻勢に転じよう」


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