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魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ  作者: 伏(龍)
第1章

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24/203

裏付け捜査

「ん…ここ…は?」


 どうやら寝ていたらしい。目を開けた俺の視界に見えたのは見慣れない木の天井だった。

 あれ?どこだここ…確か階層主と戦って…


「ご主人様!」

「あ,システィナ。おはよう」

「はい,おはようございます。…ってそうじゃなくて!」


 どこで覚えたのかなめらかなのり突っ込みを披露したシスティナはちょっぴり涙ぐんでいる。


「もうっ!

 …ご主人様はもう2日も意識が戻らなかったんですよ。すっごく心配したんですから」

「そっか…2日も寝たきりだったのか。ありがとうシスティナ。迷惑かけちゃったね」


 2日も寝たきりだった俺の看病をきっと寝る間を惜しんでしてくれたのだろう。僅かに見て取れるシスティナの目の下に浮いたくまがそれを証明している。


「…本当に怒りますよ。迷惑だなんて思うわけありません」

 

 ぷうっ と頬を膨らませるシスティナがあまりにも可愛くて思わず手を引っ張って抱き締める。柔らかい感触と暖かい温もり落ち着く香りに心身ともに癒されていく気がする。なんだろうこの万能薬,素晴らしすぎる。

 抱き締められたシスティナもその瞬間こそ小さく声を上げたがすぐに力が抜けて全てを預けてくれた。


「システィナが無事で良かった」

「はい…ご主人様が無事で良かったです」

「蛍さんと桜ちゃんは?」

「お二人ともかなり傷ついていまして,蛍さんが『武具修復』で治療していますがしばらく眠るとおっしゃってそこに」


 システィナの視線を追うとテーブルの上に蛍丸と桜が鞘に納まった状態で置いてあった。


「たまに起きられてご主人様の様子を確認されていましたが先ほどまた…」

「そっか…」


 やっぱりあの戦いはそれぞれに厳しい戦いだったのだろう。それでも全員生きて戻れたのだからそれでいい。加えてそれぞれが曲げたくないものを曲げずに済んだのだから大成功と言ってもいいくらいだ。それはさておき…


「システィナ。俺と交代して」

「え?…いえ駄目です。ご主人様はまだ横になってないと…」


 多分俺の身体はシスティナが回復術をフル活用して治療してくれたはずで睡眠もがっつり取れているのでほぼ完治しているはず。折れていたはずの左腕も問題なく動く。

 だが,おそらくシスティナは自分の治療を最低限にしてほぼ不眠不休のはずだ。

 今は俺よりもよほど休養が必要だろう。


「じゃあ,添い寝。添い寝しながらあの後どうなったのかを教えてくれる?」


 ベッドの中央から少し身体をずらすと布団をまくる。


「あ…はい。それなら」


 俺の妥協案に頬を染めながらも頷いたシスティナが律儀に「失礼します」と断ってから隣に潜り込んで来て俺の胸に顔をうずめる。すると大きな安堵の吐息を漏らし…………眠りへと落ちた。


 …まさに瞬殺だった。

 

 よほど疲れていたのだろう。本当にシスティナには心配をさせてしまった。今後はなるべくああいう無茶な状況に巻き込まれない様に気を付けようと思う。


 さてと…


「蛍さん起きてる?」

『ん…ああ,目が覚めたかソウジロウ』

「身体の方は大丈夫?」

『心配はいらん。何度か武具修復を掛けたからな,私も桜も刀としては万全の状態だ。ただ人化して過ごすにはちょっと魔力を使いすぎてしまったらしいのでな。それでちょっと休んでいる。

 ただ,それももう問題ないレベルだったんだがな…システィナが休めと言って聞かなくてな。無理矢理休まされていた。本当は器物の私達よりもむしろ生身のシスティナに休んで欲しかったのだがな』

「はは…システィナらしいな。とりあえずシスティナはなんとか寝かせたから安心して。その間にあの後どうなったのかを教えて欲しいんだけど分かる?」

『ああ,構わんよ。ソウジロウは階層主に私を突き刺し,とどめに一捻りを加えたところぐらいまでは意識があったはずだな?』


 うん,最後の一捻りとか全く記憶にない。まあそこは覚えてなくてもさほど変わらないからいいか。俺は肯定の意思を返す。


 その後,蛍さんから教えて貰ったその後のことはこんな感じらしい。


 まず,階層主は俺の一撃でなんとか倒すことに成功したらしい。と,同時に俺は完全に意識を失ってしまった。

 システィナが自分自身を動ける程度にまで治療して身動きが取れない桜も刀に戻した上で俺達を担いで2階層へと上ろうとしたらしいがシスティナ自身がかなり疲労していたこともありその作業が難航していたところに手を貸してくれたのがフレイ・ハウだった。


 どうやら逃げた後領域の境目で俺たちの戦いを見ていたらしい。さすがに参戦するほどの勇気は持てなかったようだが,自分のせいで危険な目に合わせてしまったことに責任は感じていたらしく『信用できないかもしれないが手伝わせてほしい』と頭を下げてきたそうだ。

 システィナはそれを笑って了承し,2人がかりで俺を2階層に運び窓から飛び降りて脱出した。その際にフレイに対して蛍と桜に関しては何も聞かない,誰にも話さないという誓いを立てさせたらしい。

 フレイはそれを受け入れ固く約束すると後日必ずお詫びに向かうと言って,俺たちの宿を聞いてから立ち去った。


 塔を出たシスティナが俺を抱えてロビーに戻ると塔の管理者とウィルが飛んできて,管理者は探索者達の救出に対して深い感謝をしていたらしい。更にシスティナから階層主を倒したという話を聞くにあたってはレイトーク領主に報告しなんらかの褒美をお渡ししたいと強く言われたらしく落ち着いたら領主館まで赴くことを約束させられたようだ。

 ウィルも俺達の話に驚きを隠せず「私の目に間違いはなかった」と感動しきり。その後俺を背負って宿まで送ってくれたらしい。律儀な男だ。


 宿に戻るとシスティナはすぐさま俺の治療に入り,魔力が枯渇する寸前まで回復術を使い少し休んで魔力が回復したらまた回復術というような無茶な行動を続けていたようだ。


『それでな…ソウジロウ』


 一通りの経緯を聞き終わった後,蛍さんが伝えてきた話を聞いた俺は目を閉じ大きなため息を吐く。


「桜ちゃん。もう動けるよね」

『もっちろんだよ!ソウ様』

「何をして欲しいか分かる?」

『何をすれば良いのかは分かるけど,何でそうするのかは分からないかな』


 桜ちゃんの言葉に思わず苦笑する。分からないと言いつつも本当は桜ちゃんも理解している。ただ俺の甘さを皮肉っているだけだ。


「病み上がりのところごめん。気をつけてね」

『は~い。どんな状態だってソウ様の頼みを断る訳ないってば』


 桜ちゃんは一瞬で擬人化して忍び装束を身に纏うとその場から消えた。相変わらず桜ちゃんの隠形と敏捷補正+のコンボは凄い。俺なんかでは全く姿を捉えられない。


『桜が帰ってくるまではしばらくかかろう。もう少し寝ておけ』


 睡眠は充分足りていたはずなのに,システィナの気持ちよさそうな寝顔を見ていたらまた眠気が襲ってきていたので蛍さんの勧めに素直に頷くとシスティナを抱き締めるようにして再び目を閉じる。最高の抱き枕のおかげですぐに眠りに落ちたのは言うまでもない。




「じゃあ聞かせてくれる?」


 桜ちゃんが帰ってきたのは日付も変わり更に陽が沈もうとする頃だった。出発したのが昼過ぎだったから丸一日以上も頑張ってくれたことになる。

 その間にようやくまとまった睡眠を取れたシスティナも復調し,この場にはメンバー全員がやっと全快した状態で揃っている。桜ちゃんの情報を元に動き出すにはちょうどいいタイミングだった。


「うん。結論から言うとあの女の言っていることは本当だったよ」


 桜ちゃんの淡々とした報告にシスティナが口元を押さえる。


「弟の病気の治療をする。その費用も負担するという条件で事実上奴隷扱いだった。しかも昨日は言えなかったみたいだけど夜は性奴隷としても使われてた」

「ふむ…それで弟の治療というのは約束通り行われているのか?」

「う~ん。確かに一応毎日医者らしき人が薬を飲ませに行ってるみたいだけど…弟くんがいるのはぼろぼろの宿屋の一室だし診察もいい加減でちゃんと治療してるとは言えないかな。

 時間が無くて調べきれなかったけどちょっと拝借した薬をネズミに与えたら普通に麻痺してたから桜の見立てだと間違いなく毒だと思うよ」

「ひどい…それではフレイさんは…」


 昨日蛍さんから聞いた話はフレイのことだった。昨日の朝,憔悴した感じのフレイがお詫びに来たらしい。

 部屋にはシスティナしか対応できる人がいなかったためシスティナが対応したのだがあまりにも疲れ果てているフレイに事情を問い詰めたらしい。

 そこで出てきた男がレイトーク周辺の豪族ベッケル家の長男バルト。先日塔でフレイが護衛をしていた男のことだった。

 もともとたまに依頼を受けて護衛をしたり素材を届けたりする関係だったらしい。

 だが弟が急な病に倒れてしまいお金と医者が必要になった。

 いろんな医者に診て貰い高価な薬も買ったが効果は思わしくなくすぐに貯蓄していた財産も全て使い果たしてしまった。 

 そんな時にバルトから専属として働いてくれれば弟のことは治療してくれるという申出があり飛びついてしまったらしい。

 バルトの派遣した医者のおかげで弟の症状は落ち着いたが治癒までは至らず継続的な治療を続けるためにバルトの指示に逆らえず,俺の魔石や珍しい武器である刀を言われるがままに盗んでしまったらしい。

 それを聞いた俺は忍者仕事が好きそうな桜ちゃんに裏取りを依頼したのである。


「うん,最初からあのぼんぼんに目を付けられていたんだと思う。最初は普通に簡単な依頼を何度か成功させて,終わる度に弟くんと一緒に食事に招待されていたみたいだからその時に弟くんにちょっとずつ盛ってたんじゃないかな」

「ふむ,状況としてはありがちすぎて面白くもなんともないな…」

「うん,あの程度の小物が考えることなんて所詮その程度だと思うよ。同じスケベでもソウ様とは大違いだよ」


 何気に酷いな桜。


「桜さん!そもそもそんな人とご主人様と比べること自体がおかしいですよ!

 …その……スケベなのは否定しませんけど」


 システィナも否定せんのかい!

 

「あはは!確かにそうだね。ごめんごめん。

 あっともう1つ追加情報」

「…ほう,まだあるのか?」

「あいつあの女が初めてじゃないね。桜が確認出来ただけでも3人の女を使い潰して殺してる」


 確定だな。


「さて,ソウジロウ。黙ったままだがどうする?」

「そうだな…正直言えばフレイがどうなろうと俺には関係ない」

「ご主人様!」

「そうだな」

「うん,桜もそう思う」

「蛍さん!桜さん!…そんな」


 フレイを突き放すような俺の発言にシスティナが抗議の声を上げるが俺の刀達はさすがに俺との付き合いが長い。


「でも,ソウ様がやるのはまずそうだよ。それなりに地位はあるみたいだし裏の事情はどうあれこの世界で生きていくのが面倒になるかも」

「で,あろうな」

「桜ちゃん,万事うまくやれる?」

「うん!桜におまかせ!ちゃちゃっと片付けてくるからちゃんとできたらご褒美に今晩は桜がソウ様独り占めしてもいいよね!」

「人化してから桜ちゃんには頼りきりだからね。もちろんいいよ」

「やった!やっぱり初めての時は桜だけを見て欲しいと思ってたんだよね。やる気出たぁ!じゃあ行ってくるね~」


 そう言うと桜ちゃんはその場から消えた。


「え?え?」

「じゃあご飯でも食べに行こうか。さすがにお腹がすいてきたしね」

「うむ。私もシスティナに止められて飲めなかった故,酒が恋しくてな…」


 どうやら蛍さんは体調が回復するまでシスティナから禁酒を仰せつかっていたらしい。 


「桜ちゃんの分も買っておいてあげた方がいいかな?」

「私たちは必ずしも食事が必要なわけではないし今回はいらぬよ。皆と共に食事が出来るのならまた話は別だがな」

「そっか。なんか桜ちゃんばっかり負担かけちゃってるよなぁ」

「あの…ちょっとご主人様?」

「ふふふ,よいではないか。桜も頼られるのが嬉しいようだしな。礼なら今晩たっぷりかわいがってやればよい」


 そんなお礼でいいのなら望むところである。むしろ3日も寝たきりだったからマイサンも期待ではち切れんばかりである。


「じゃ,行こうか」

「うむ」

「え?え~!!どういうことか教えてください~」


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