表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ  作者: 伏(龍)
最終章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

193/203

突入

『ガクシャ、戦況を報告してくれ』


 俺のいる本陣を押し上げて、距離が詰まったことで六番魔術隊(弓兵含む)に敵の中陣の中央への攻撃を指示。ただし大きな魔法を一発撃って終わりではなく、六つに分けられた六番隊が中威力の魔法を順番に放つことで継戦能力を維持するようにしている。織田さんが長篠でやっていた戦法を丸パクりだが、鉄砲よりも魔法のほうが面の制圧力が高いので、術者の負担を軽減するために一列の人数を減らして六段構えにした。さらに部隊の交代時や、詠唱中は弓矢の得意な冒険者が攻撃を受け持つので、敵の中陣は常に攻撃を受けている形になる。

 その結果、中陣の魔物の半分は前に出るしかなくなり、残りの半分は前へ出にくくなる。そこを壱番、弐番が正面、参番が右翼、四番、五番が左翼から締め上げる。これで、突出してきていた魔物の先鋒部隊はほぼ壊滅させることができる。

 だが、先鋒はゴブリンやコボルト、ウルフ系などの身軽で、弱い魔物が多い。中陣からはオーク系やオーガ系などの足は遅いが体力と力がある魔物が増えてきてこちらの消耗も激しくなってくる。ある程度のところで仕切り直す必要があるだろう。


『ふむ……予定通り、敵先陣は崩壊じゃな。ただ中陣の分断はしたが、中陣はタフな魔物が多い。魔法や弓で負傷はしていても、まだ戦う気は十分じゃな。後陣に関しては……澪殿と雫殿の魔法でほぼ壊滅していたが、新たに湧いた魔物たちで立て直されつつあるの。残念ながら、最初の作戦はここまでじゃ』

『了解、予測はしてたとはいえ面倒なことだね。ガクシャ、引き続きフォローと戦況の確認を頼む』

『ほいほい、じゃ』


 ガクシャたちに空からの遊撃を続けてもらう指示をしながら、こちらの被害も確認しておく。


「システィナ、メリスティア。負傷者はどう?」

「はい、現在死亡者はなし。重傷者十二名、軽傷者多数ですが重傷者は親衛の【回復魔法】使いが複数名づつ付いて対応中。軽傷者は範囲回復で回復可能なので、後方にて待機中です」

「ソウジさん、魔力のほうはまだ大丈夫ですか?」

「まったく問題なし。どんどん使ってくれ」


 どうやら速攻で決着をつけることは出来そうもないが、ここまでは死亡者もなく優勢に戦えている。緊張して動きが固かった冒険者たちも、俺たちからの支援効果を実感したのか動きにキレが出てきた。だが、いかんせん敵も数が多い。調子に乗って戦っているといらぬミスをしかねない。ここらで一回、仕切り直しが必要だろう。楓と椿にガクシャから聞いた状況を伝えて判断をあおぐ。


『やはり大将首を取る必要があるでございます』

『現状維持、じり貧。休息良』

 

 よし椿のお墨付きが出た。一度戦略の立て直しと、休養のために全体をクールダウンする。


『「空隊! 中陣の出足を牽制して足を遅らせろ! 弐番は近衛と順番に交代して一段下がって休め。壱番、参番は右翼にて交代で休息、四番、五番も左翼で順番に休息を取れ! 先頭は襲ってくる魔物だけに対処すればいい。敵の中陣が来るまでに負傷者は本陣で治療を受けてくれ」』


 俺の指示を受けた刀娘たちが隊員に指示を飛ばす。興奮状態だった冒険者たちの中には不満そうな顔をする者もいるみたいだが、大半の冒険者が指示に従っているため指示には従っているようだ。即席の部隊を完全に掌握するのは難しい。だから、指示に逆らう少数派を暴走させない程度に抑えれば十分。


「ソウ様」

「桜か、そっちはどうだ」

「うん、何体かリーダー格の魔物をちょんぱしてみたけど、思ったよりも乱れないかな。きっと大ボスが大雑把だけど全体を掌握している? そんな感じ。だから楓ねぇの言う通り大将首を取らないと終わらないかも」


 影番隊を指揮して、戦場で隊長格の魔物を倒していた桜の見立ては信頼できるし、楓の意見とも一致する。だが、そのためには魔物たちを壊滅させるとか、精鋭だけで突破するとかしないとたどり着けない。それに……


「桜、魔物たちの大将がどんな魔物かわかる?」

「最初に確認しに行ったけど、ローブを着ていて良く分からなかったんだよね。普通はローブの魔物なんて言ったら『なんとかメイジ』とかなんだけど、そんな感じじゃないかな。強そうな取り巻きも何体かいたし、リッチとかかもね。でも、たどりつけさえすればソウ様と桜たちなら勝てるよ」


 長引けば冒険者たちの被害が増える。狙ってみる価値はあるか。


「楓、椿。いい方法はあるか」

『やるならば()でございます。後陣は半壊、前陣は壊滅、中陣も乱れているでございます』

『時間貴重。後陣復旧、悪手』

「わかった、作戦は?」

『部隊統合、敵陣分断』

『部隊をひとつの槍にして敵陣を貫くでございます』


 俺の脳裏に【共感】を利用して部隊を動かすイメージが伝わってくる。なるほど……弐番で円陣を組んで、他の部隊を内側に配置して、各部隊は弐番の隙間から出入りをするのか。壱番、参番で円陣の進路を切り開いて円陣ごと前進して、機を見て俺とシスティナ、刀娘から何人かを連れた精鋭部隊で敵陣を突破して一気にボスを仕留める……か。


『そろそろ足止めも限界じゃぞ』


 ガクシャの疲れたような思念が届く。もともと空隊は少数だ、いくら相手の攻撃範囲の外からの攻撃だと言っても弾幕は薄い。むしろよくここまで抑えてくれた。

 さて、このまま正攻法で戦っても最終的に勝てそうな気もするが、その場合は戦死者ゼロは難しいだろう。それなら序盤の先制攻撃がハマって余力があるうちに覚悟を決める。これから神にでもなってやろうかというのに、これくらいの試練を乗り越えられないようじゃ話にならない。


『ガクシャ、ありがとう。空隊も戻って休んでくれ。皆! 楓の戦略は届いているな』


 刀娘たちと一狼から『応』の返事がくる。よし。


『「弐番! 円陣へと移行しながら前進! 壱番、参番は進路を確保。四番、五番は周囲の敵を掃討しつつ、弐番の内側へと移動! 六番と零番は円陣中央で全周囲をサポート!」』


 俺の指示とほぼ同時に各部隊が周囲の残敵を掃討しながら移動を始める。部隊自体は待機状態だったので、動き出しは早い。


『マゼンダ! 道は開く。遅れるなよ』


 蛍と雪が接近してきたオーガやトロールの足を斬り落とし、壱番、参番隊の隊員がとどめを刺しながら俺たちの進路をこじ開けてくれる。すでに壱番、参番は合流しているから隊の指揮は雪に任せればいいな。


『あいよ! 任せろ!』


 蛍の声に応えたマゼンダが大剣を振り回してゴブリンの胴体を断ち割る。


「お前ら! もたもたするなよ! ほらそこ! あっぶねぇなぁ油断すんな!」

「すんません姉御! 助かりやした!」


 魔物と戦いながら部隊を移動させつつも、移動に気を取られてシルバーウルフに飛びかかられそうになっていた冒険者をウルフを蹴とばして助けるだけの余裕があるマゼンダ。これなら、残った部隊の防衛を任せられる。


「グリィンさん、前に出すぎですわ! 五狼! 自分の群れを率いて援護に! 八狼も群れを率いて四番の殿(しんがり)を頼みますわ! 一狼はそのまま部隊の後退を!」

「人の足に合わせるのは相変わらず難しイ。すまんナ」

『承知いたしました!』


 統率を乱していたゴブリンやウルフを追撃しているうちに突出していたグリィンの援護を指示しつつも、被害が出ないように陣形を的確に変更していく葵。うん、葵にはしっかりと戦況が見えている。従魔たちを絡めて運用しなくてはならない四番隊、五番隊をしっかり統率するためには葵は外せないな。このまま円陣内の指揮を任せよう。


「傷の重いものは陣の内側へ引っ張りこんでください! 親衛隊からあなたとあなたは左翼の方の治療へ、近衛の中から盾装備の人は弐番隊が隊列が整うまでの穴を埋めてください! 軽傷者は血だけ止めておいてください。傷はすぐ治りますから足を止めずに!」


 メリスティアが金羊蹄の長杖を右へ左へと振りながら、内側からわかるほころびを繕っていく。負傷者へのケアも素早く的確だ。システィナが抜けても問題ないな。あとは……


「お館様、あちしたちも残りますえ」

「六番隊は魔力が減ってきている。姉様とあちしが必要ですえ」

「……確かにそうだな。わかった、俺たちの突入を援護してくれると助かる」


 澪と雫も本当なら一緒に行きたいだろうに、部隊全体のことを考えてくれている。


「お館様を援護? ちょっとくらい当てても?」

「お館、むしろ狙ってもいい?」

「いや! 駄目だから! ふたりの魔法が当たったらそれだけでボタンがひとつ飛ぶよ! 俺の防御力をむやみに削らないで!」

「「ふふふ、残念ですえ」」


 く、ふたりともSの気があるから本当にやりかねないのが怖い。俺の学生服の防御力をフレンドリーファイアで削られたらたまったもんじゃない。


「あ、桜は行くからね。ソウ様」

「え? ……ああ、うん、頼む。影番隊は大丈夫か?」

「霞と陽がいるからね」


 後ろに控えているふたりに視線を向けた桜は自慢げに胸を張る。桜の最初の教え子であり、部下であり、家族。桜のふたりに対する評価は『ふたりがいれば俺の警護に侍祭や刀娘を付けなくてもいい』という最高レベルのものだ。


「ふたりとも、隊長クラスの暗殺はあまり効果がないことがわかったから、そっちはもういい。各部隊の連絡係と、影からのフォローを頼む」

「「はい!」」


 となると、大将へ向けて突入するのは俺、システィナ、蛍……そして桜。

 あれ? このメンバーって……この世界に来た最初の一日を共に過ごした顔ぶれだな。別に今日が最後になるわけじゃないが、なんとなく運命を感じなくもない。



 それに、このメンバーならなんの不安もない。




『主君』

『殿』

「わかった」


 あれから俺たちは着実に敵陣を割り進み、すでに中陣を突破しかけていた。大型の魔物が多い中陣を割り進むのは大変だし、中央に全員を固めたことで両翼から押し包むように攻めてくるようになった魔物からの防御も簡単なものじゃなかった。


 途中から、【祝詞】と【呪言】の効果で味方に【防御力上昇】、敵に【攻撃力低下】を重ね掛けしたことでなんとか持ちこたえている状態だが、メリスティアの範囲回復が冒険者たちの恐怖心を忘れさせているためか部隊の士気はまだまだ高い。これにはいまだに死者が出ていないのも大きいだろうが、逆にひとりでも死者が出れば一気に士気が崩壊することも考えられる。


 零番の回復部隊や、六番の魔術部隊の魔力もすでに買い集めてあった魔力回復薬に頼っている状態。交代で休息を取っていても冒険者たちの体力もそろそろ限界に近いはずだ。


 しかし、ここまで頑張ってくれたことで、まだ増援しきれていない後陣が見えるようになっている。後陣にはトリッキーな動きや能力、魔法なんかを使う魔物が多いようだが、逆に中陣に比べれば一体一体は脆い。俺たちなら一気に抜ける。


『「皆 ! ここまでよく戦ってくれた! 本当にありがとう! これから俺たちは大将の首を取りに行く! そいつを倒せば周りの魔物は消えるはずだ! 俺たちを信じてもう少し頑張ってくれ!」』


 なんとか冒険者たちの士気を保つために、なんの確証もないが希望が持てるようなことを叫ぶ。そんなことは言われたほうもわかっていると思うが、強く言われるとそんな気がしてくるものだ。


「「「「おおおおおおおおぉ!」」」」

「まかしとけぇ! これだけの戦いをしてまだ誰も死んでねぇんだ! お前たちが俺たちのことをしっかりと考えてくれて、捨て駒にする気がないのはよくわかってる!」

「そうだそうだ! これで死ぬような奴は、逆にそいつが悪い!」

「フジノミヤさんがやれるっていうなら、やってみせますよ!」

「行ってくれ! そして勝ってくれ!」

「そうだ! 勝って噂の大宴会を開いてくれ! 楽しみにしてるんだ!」

「なんだそれ? ……なに! 美味い酒と美味い料理を飲み放題、食べ放題だと! やべ! 腹減ってきたぁ!」


 あれ、なんとか士気を維持しようとかけた苦し紛れの言葉に予想外の反応……やばい、ちょっと泣けてきた。


「ご主人様、これがご主人様がこの世界で築いてきたものです。冒険者ギルドを作り、初心者を育て、信用と実績を積み重ね、自分のためだ、仕方なくだと言いながらも世界のために戦ってきたご主人様だからこそ、いまがあるんです。侍祭として私はご主人様と契約できたことを誇りに思います」

「……システィナ」


 誇らしげに胸を張りつつ微笑みかけてくれるシスティナに、俺の涙腺は決壊寸前。そんな俺の耳元にシスティナは口を近づけるとこそっと呟く。


(……女としても、ご主人様に出会えて最高に幸せです)


 くぅ! それを言うなら俺だって! システィナに会えなかったらこの世界で何もできずに死んでいた。俺が、俺こそが、君と出会えて……。


「ふふ、ご主人様。続きはお屋敷で」


 思わず抱きしめようと伸ばした手をすかっとかわされ、きょとんとする俺をくすくすと笑いながら見つめるシスティナ。やられた! そんなこと言われたらさっさと片付けて屋敷に帰りたくなってしまうじゃないか。


「……覚悟しておけよ。システィナ」

「はい、楽しみにしてます」

「よし、行こう」

「はい!」


 『魔断・改』を構えて走り出すシスティナを追いかけながら、俺たちを見送るメリスティアに声をかける。


「メリスティア、魔力線(ライン)が切れない限り魔力は好きなだけ使え。ここまできたら絶対に誰も死なせるな!」

「はい! わかりました!」

 

 中央に差し掛かり、魔獣隊を指揮する葵のお尻を撫でる。


「葵、中央の指揮を頼む。一狼とグリィンも葵を助けてやってくれ」

「もう、主殿! こちらはお任せくださいですわ」

『ご期待は裏切りません、我が主』

「うム、わかっタ。だガ、私の尻は撫でてくれくれぬのカ……」

「帰ったら揉みしだいてあげるよ」

「なんだト!」


 驚きつつも頬を染めるグリィンに手を振り、さらに走る。


「ソウジ! 下手打つんじゃねぇぞ!」


 肩で息をしているトォルは中指を立てて無視する。


「頑張ってください!」

「皆を頼みます」


 負傷者に【回復魔法】をかけているアーリに小さく頭を下げる。


「ソウジロウさん!」

「フレイ! この戦いが終わったら屋敷で一緒に暮らそう! 決定だ!」

「な! ……あう、は、はい」


 奥手なフレイを勢いで押し切る。ちょっとしたフラグだが、俺たちはこれくらいのフラグなら余裕で叩き折るから問題ない。それにそろそろトォルとアーリのふたりにも決着をつけてもらう。さっさと振られるがいい!

 悪い笑みを浮かべつつ前へ。陣を抜けようととする俺たちの前の円陣が割れる。その中心に大剣を持ったマゼンダが仁王立ちをして、にかっと白い歯を見せている。そんなマゼンダに向かって俺が手を上げると、マゼンダはへん! と鼻を鳴らしつつ手のひらを俺へと向けた。


「マゼンダ! 皆を頼む!」

「おうよ!」


 パンッ!


 打ち合わされた俺の手のひらと、マゼンダの手のひらが奏でた小気味よい音とともに円陣を抜ける。ここから先は精鋭である壱番隊と参番隊が進路を切り開くために確保している領域だ。その中を突っ走りながらあっという間に最前線へと近づく。そこでは蛍と雪が肩を並べてオーガやトロル、オークの上位種をばったばったと斬り倒している。


「雪! 壱番、参番を任せる! マゼンダと協力して陣の防衛に回ってくれ」

「……私も行きたかった。けど、任せて」

「ありがとう雪! 愛してる!」

「……うん、知ってる」


 知っているといいつつも、ほんのりと白い肌を赤くする雪。いま蛍と互角に打ち合えるのは雪くらいしかいない。紛れもなく新撰組最強、その双璧は蛍と雪だ。


「来るなと言っても来るんだろけど、蛍! 来い!」

「ふん、当たり前だ。こんな面白そうな戦い、私抜きでやらせるわけにはいかんだろう」


 脇を走り抜けようとする俺の隣に、こともなげに並走してくる蛍。すでに重結の腕輪の負荷はなく、全力疾走をしている俺に、初速から並走できるとかへこむ。


 とにかく、最前線に陣取っていた蛍が加わったということは、仲間たちが作ってくれた道もここまで。ここからは俺たち四人で大将までの道を切り開かなくてはならない。


「ソウ様、先頭変わるよ」

「左側はお任せください」

「右側と後ろは心配するな」


 魔物たちを前に俺を囲むようにフォーメーションを組む嫁たち。どうやらぎりぎりまで俺を戦わせるつもりはないらしい。そもそも今日、俺はまだ一度も刀を抜いていない。椿の【不抜】の効果を最大限に生かすためという意味ではありがたいことだが、周りに戦わせたまま自分は見ているだけというのは想像以上に落ち着かない。


 だが、俺たちの前に立ちふさがるバウンドモンキーというAランクモンスターがスーパーボールのように跳びはねながら襲ってきても、桜のクナイを額に受けて爆発音とともに群れの中へと消える。左から襲ってきたノーヘッドソードマンという首のないBランクの剣士をシスティナが三体まとめて魔断で両断。後ろから追いすがってくるエンペラーウルフ(A+ランク)とジェネラルウルフ(Aランク)を蛍がろくに見もしないで光魔法で貫き脱落させる。魔法での遠隔攻撃も桜の属性クナイでの相殺と、蛍の八咫鏡の反射で俺のところまで届くことはない。


 うん、手を出す余地がない。でも昔と違うのは、前は危なっかしいから守られていたが、いまは戦力として温存されているということだ…………たぶん。きっとそのくらいは俺も強くなった……はず?



「よし、このまま大将までいくぞ。準備はいいな、ソウジロウ」

「悪いね、美味しいところだけもらうみたいで」


 立ちふさがり、または迫りくる高ランクの魔物たちをこともなげに薙ぎ払いながら蛍が俺を見る。正直、このまま蛍たちが大将を倒してしまったほうが手っ取り早い気はする。俺の周りでは、わずかに残像すら出せるようになりつつある桜が、また一体魔物の首を斬り落とし、システィナが魔力の盾で魔法を弾き飛ばしていて、その戦いにはまだまだ余裕がある。大将が相手でも問題ないだろう。


「やっぱり真打は最後に登場だよねぇ、ソウ様」

「それにですが……ここはご主人様の力を示すときだと思います」

「確かにね……」


 この塔がなにかの試練だと言うなら、そういうこともあるかも知れない。だけど、そこまでこだわっているわけでもないんだよな。結局のところ俺は、嫁たちに格好いいところを見せたいだけで。


「ふ、お前はそれでいい。だから私たちに最高に格好いいお前を見せてくれ、ソウジロウ」


 俺の思念を読み取った蛍は、呆れたような、それでいてどこか嬉しそうな顔だ。そして、単純な俺のやる気ゲージはそれだけで満タンだ。


「わかった、皆を何度でも惚れ直させてやる!」


 俺の決め台詞と同時に蛍と桜とシスティナが俺の周囲から離れる。クリアになった俺の視界には、ローブをまとった大将の姿がある。俺は十歩の距離で大将と対峙すると、ゆっくりと楓と椿を抜き放った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔剣師の魔剣による魔剣のためのハーレムライフ 小説1巻~3巻 モーニングスターブックスより発売中 コミックガンマ+ にてコミカライズ版も公開中
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ