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焼き鳥の部位はどこが好きですか?

 火の魔法を放ち、私めがけて飛んできた小鳥を一斉に燃やす。小鳥を瞬時に焼き鳥にした。焼き鳥になったこの子達を、事前に持ち込んだバスケットに入れて集める。鳥の羽は無くし焦げないように、なおかつ中身まで火が通るように燃やした。うん! こんがりとした良い匂い。細かくして串に刺してタレ付ければ最高に美味しくいただけそうだ!

「ね、見たでしょ先生! どうです私の魔法!」

 私の魔法を見ていたおじいちゃん先生に、ここぞとばかりにどや顔を披露する。

 バスケットに入った焼き鳥を先生に提出した。

「ふーむむむ、レベルが上がっとらんねぇ」

 渋い声のおじいちゃん先生が、討伐不可能な強敵に出くわしたように唸る。

「せ、先生? それで、レベルいくつ上がってるんですか」

「1レベルも上がっとらんねぇ」

「え、えええ!? 本当にそんなことあるんですか! だって、目の前で小鳥倒したじゃないですか!!」

「おお、そうじゃな。わしも見たよ。目の前で5匹倒した」

 それだけ言うと、再びおじいちゃん先生は唸ってしまう。

 私めがけて飛んできた鳥は、低級モンスターだ(家畜化されたものを除く)。5匹も倒せば、レベル1からレベル3になる誰でも倒せる敵。私のような魔法使いじゃなくても普通に倒せる。

「なんで、こんなにも魔法使えるのに。どうして?」

 人生で何度繰り返したか分からない問いをする。

 このおじいちゃん先生は、私にとって最後の砦だった。

 このおじいちゃん先生に認めて貰えなければ、魔法学校を辞めるように校長先生から言われていた。レベル1の生徒は、魔法学校において評価するわけにはいかない。でも、いきなり辞めさせるのは、教育的配慮に欠けるとのことで、外部の魔法協会から特別講師が派遣された。今は、魔法協会本部の大きな庭で私の魔法を見てくれている。一見、普通のおじいちゃんにしか見えないけど、この人が特別な人だってことは先生から教わっていた。だからこそ、私の魔法レベルについて解決策を見いだしてくれるんじゃないかって期待したんだけど...さっきから唸ってばかりで何も言ってくれない。

「ふーむ...どれ、それじゃあ、今お前さんが使いたい魔法はなんじゃ。使いたい魔法を使ってみなさい」

「使いたい魔法...?」

「ああそうじゃ。見たところ、お前さんは器用じゃ。そして、魔法の腕がある。魔法のレベルは気にせず、お前さんが使いたい魔法を使ってみなさい。何も気にするな」

 不思議なことを言う先生だと思った。

 今まで私に付いた魔法の先生は、私の魔法を見た後、感心して褒めてくれることも多かった。でも、私に評価魔法を使うと、みんな青ざめてしまう。褒めてくれた甘い言葉も「イカサマを使っていたんじゃないの」とか「正直な子だと誤解してたみたい」と、悲しい言葉に変わってしまう。

 どんなに魔法を使っても、魔法レベルは1のままだからだ。

 模試の解答は完璧なのに、結果だけ『偏差値1』が叩き出されてるようなもんだ。

 この世界は、魔法レベルが全ての評価になるのに、私は魔法レベルだけが1だった。

 レベル1。5才の子供でもそんなレベルは居ない。

 魔法レベル、剣術レベル、鍛冶レベル、調理レベル、泳ぎレベル、早起きレベル、サボりレベル、...八百万以上あるスキルにレベルがあるが、どれも成人ならそれぞれレベル15~40くらいになる。全く使わないものは大人になっても10だったりするが、毎日使って磨いていれば120以上になったりする。

 魔法のレベルは総合値の評価だ。火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、光魔法、闇魔法、召喚魔法、時魔法。種類が豊富すぎて数え始めたらキリが無いけど、身体に宿る魔力が源になっている為、魔法レベルは人生の評価基準だった。

「(前世で言えば成績や偏差値、頭の良さみたいなものかな)」

「どうしたんじゃ?」

「あ、いやちょっと、なんの魔法使おうかなーって悩んでました」

 慌てて誤魔化した。

「それじゃあ、あの大樹の枝使って、さっき焼いた小鳥を食べて良いですか?」

 ひときわ存在感を放つ、庭の大樹を指差す。テストを受けてる最中、ずーっとそびえて見守っていた大樹だ。協会本部の建物はもっとデカかったけど、庭の大樹だって十階建てのマンション位ありそう。

「何をするつもりかは分からんが、あれはダメじゃ」

「枝を数本、数本だけです」

 魔法協会本部の庭に置かれた特別な大樹なんだろうけど、枝だけなら良いかなーと思った。

「使うならせめて、この枝にしなさい」

 おじいちゃん先生が、地面に落ちてた大樹の枝を風魔法で近くまで引き寄せて、私に渡す。

 樹皮の表面にツヤがあった。

「1本だけですか?」

「そうじゃ」

「わかりました。じゃあ、庭の地面は使って良いですか?」

「そうじゃな、それなら大丈夫じゃ」

「ありがとうございます!」

 地面に指で穴を空けて、穴に枝を挿す。

 枝を刺した後は、上に小さな雲を作り雨を降らした。

 雨で枝を濡らすついでに、水で手を洗っとく。ポケットからハンカチを取り出して拭いながら、この枝が少しだけ成長した姿を想像する。必要なのは適度な水と日光と肥料と時間。水は今与えてるし日光はここに注がれてる。肥料は魔力で、時間はこの木の回りだけ100倍速すれば良いかな。

 適当なイメージで魔力を与えて成長させる。枝は木となり私の身長近くまで成長した。

「こんなもんでいいかな」

 成長した木から枝を数本折って取る。

「串にするには、葉っぱと樹皮が余計かな」

 とっさに自宅にあったナイフを召喚する。ナイフと枝を空中で踊らせて、串なるように枝を細く切る。

 そして、バスケットに入れた鳥肉も細かく切っていく。

「しまった。内臓の部位がよく分からない。鳥肉って内臓も全部食べれましたっけ?」

 おじいちゃん先生は私のことを評価する眼差しで見ていたが、声をかけれると朗らかに笑った。

「わしも焼き鳥は好きなんじゃ。特にサエズリが食べたいのう。どれ、鳥の部位を教えてやるから、お前さんは魔法を使い続けなさい。今日のお昼はこれで良いじゃろう」

「うん、わかりました! おじいちゃん先生、ありがとうございます!」

「これこれ、ここの部分は火をもうちょっち通しなさい」

「もうちょっち? はい、わかりました!」


 こうして、この日の特別講師による授業は焼き鳥で終わった。

 私のこの魔法が、魔法協会本部の人間に見られてて、あんな事件になるなんて思いもしなかった。

診断メーカー『なろうタイトルメーカー』様で出た結果を元に書きました。

https://shindanmaker.com/863101


ドルオタ要素は、これから出していきます。

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