56 走って東へ
俺達は王都を出発して東へと進む
次は虎の亜人だよね
虎だから 黄色髪か黒髪 それとも白髪かな
まあ 可愛いければ いいけどね
そうだ さっそく試してみるか
移動に使えるなら
どれくらいの速度で移動出来るのかを
知っておいた方がいいよね
え~と 何の幻獣か聞くのを忘れてたか
「出でよ 強き幻獣よ」
すると 9匹の幻獣?
……
出てきたけど
……
う~ん
可愛い
ぬいぐるみのような見た目
体格は20㎝くらいかな
子狐?
可愛い小さな狐が9匹
絶対に乗れないよ~
う~ん
師匠はいい加減だが 嘘はつかない
どういうことだ
何か秘密が……
とりあえず走ってみるか
俺達は稽古を兼ねて東へと走り出した
幻獣 いや 狐 う~ん 子狐でいいか
子狐達は俺達の速度についてくる
おおっ 足は問題なさそうだね
しかし あれは
王都から俺達を追いかけてくる集団が
俺達がいきなり走ったから 慌てて走り出したよ
つけているのがバレバレだよね
人数も多いし
子狐達には1度指輪に戻ってもらって
ちゃちゃに預けた
ちゃちゃなら食事を忘れたりしないだろう
俺は自信ないからね
さて どうしようか
あれっ
盗賊じゃないね
あ~ もしかして 街で俺達を見張っていた連中か
ギルドマスターが教えてくれたんだよね
ルーク盗賊団の残党が俺達を狙っていると
そして どうも それだけではなく
闘技場を運営している貴族の一部が俺達に恨みを持っていると
教えて貰った時は心当たりがないって言ったけどね
ちょこの可愛さが目立ったからかな
それとも 俺が勝ち過ぎたせいかな
勝つ人がいれば 負ける人がいるからね
最後の試合はちょこが確実に負けるように仕組んでたよね
出て欲しいとお願いしてきたのに
条件が悪すぎだったからね
相手のレベルは高いし
鉄のマスクまで用意してさ
運営なら俺が賭けてた額も把握してるだろうしね
もしかして 全財産や運営費をちょこが負ける方に賭けてたのかもね
盗賊として倒すか
貴族の護衛として雇われてる兵士だよね
王都の貴族相手に戦うのは後々面倒かな
それなら いつも通り 走って逃げるか
よし そうしよう
「ちゃちゃ ばにら ちょこ このまま 走るよ」
3人ともコクりと頷いた
追手は100人くらいかな
って あ~
前方にも待ち伏せが……
え~と 200~300人かな
あっ 前方は盗賊か
組んでいるのか 別々か
ちゃちゃが俺の手を引っ張り 北を指差した
「どうした ちゃちゃ あ~ 」
北からは獣人が5人走ってくるよ
なんだ この展開は
北から獣人5人
西から貴族の兵士100人
東から盗賊200~300人
「こっちに 南東に走るよ」
俺達が進路を変えても
やはり 皆 俺達の方を目指してるよ
「ばにらは俺の背中 ちょこは抱っこするからね
ちゃちゃ 全力で東へ行くからね」
ちゃちゃはコクりと頷いた
盗賊達が目の前に迫って来たので
俺は大きな声で
「お前達のボスを倒したのは 俺の後ろにいる
貴族様だ 弱いお前達に勝てるかな
貴族様は獣人も雇っている
お前達はこれで終わりだよ」
そして
「飛翔」
叫んで ジャンプだ
盗賊達を飛び越えて 東へと走る
ちゃちゃも盗賊達をかわしてついて来ている
しばらく走って後ろを見ると
大混乱していた
3つの団体が戦っているよ
俺達を追いかけてくる余裕はなさそうだね
追いかけて来ているのは盗賊が数人だけ
まあ 倒さずに走って逃げるけどね
撒いたようなので ちょこを降ろして 走って貰う
「ちょこ 疲れたら ばにらと交代して休むようにね」
ちょこはコクりと頷き 頑張って走っている
昼食は 4人で歩きながら食べた
休憩も兼ねて しばらく歩き そして また 走る
獣人まで向かって来るなんて
偶然じゃないよね
あの場所なら 王都から近いので
獣人を追っている兵士達や冒険者達も
すぐに到着するだろう
更に大混乱してるかもね
日が暮れてからも しばらく走り 休むことにした
今夜からは見張りを幻獣にお願いしよう
可愛いけど 強いみたいだからね
番犬 いや 番狐かな
誰か来たら吠えてくれるといいけど
9匹とも見た目は同じだから名前は……
子狐のままでいいかな
可愛いだけじゃないことを祈ろう
信じてますよ 師匠
眠ろうとしたら
ちゃちゃが抱きついて甘えてきた
疲れてはないようだけど
追っ手が
まあ 無理だよね
俺に我慢なんて
ちゃちゃを抱きしめて
キスを
そして
……




