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異世界転生 魔法の使えない最強の魔法使い  作者: あつし
2章 百英雄
215/216

リル6



少女が森の中を覗き込んでいる


誰かを探しているのだろうか


そこに 2人の女性が近づき声をかける


「どうしたの こんな所で何してるの」


いきなり 背後から声をかけられ 少女は身体をビクリとさせながら 振り返り


人だと 女性だと分かると


「え~っと あなた達は」


2人の女性は親子なのだろうか


小さな女の子がニコニコしながら答える


「私はリル こっちはママ」


少女はリルとリルの母親に状況を説明する


「お姉ちゃんが1人で森の奥に 私の誕生日だからと言って 森の中にあるリンゴを取りに行ったの」


「へぇ~ じゃあ リルが探してくるよ」


小さな女の子は リルは そう言うと 森の中へと走って行く


「えっ」


少女は4歳 だが 探してくると言って 森の中に走っていった小さな女の子は リルは少女より小さな子供だった


少女は戸惑いながら リルの母親を見るが


慌てている様子はない


恐ろしい魔物がいる森なのに


知らないのだろうか


いや そんなはずはない


冒険者が減り 魔物の数はどんどん増えている


街のすぐ近くでさえ 命がけなのだ 森の中がどういう状況なのかは 誰でも


なのに


リルの母親は顔色を変えることもなく少女に話しかけてきた


「誕生日なの じゃあ お姉ちゃんが見つかったら お祝いしないとね 好きな食べ物はある 魔物の肉は沢山あるわよ」


「えっ えっ」


少女はと戸惑いながら考える


(肉 前に食べたのはいつだったかな ゴブリンの肉を分けてもらったのは いや それより お姉ちゃんは あのリルという女の子は リルの母親はなぜ 慌てていないの?)


・・・







森の中では8歳の少女がうずくまっていた


目からは涙が


・・・


リンゴを手にいれたのに


・・・


一緒に 食べたかった 妹に食べさせてあげたかった


お父さんとお母さんが生きていた時は 毎日食べていたのに


妹はリンゴを食べたことがない


孤児の私達には毎日 水か草しか口にすることが出来ない


誕生日くらいは って思ったのに


お母さんと約束したのに


私が妹を守るって


・・・


迫るオーク


少女は 既にオークに殴り飛ばされ 立つことも出来ない


少女は呟く


「神様」


オークの拳が目の前まで迫る


少女は目を瞑り 手を顔の前に出し叫ぶ


「いやあぁああああ~」


オークの拳が 拳が


拳が


・・・


・・・


えっ


・・・


まだ とどかない


・・・


少女は不思議に思い 恐る恐る目を開ける


すると


目の前には巨大な盾が


見たこともない巨大な盾が


た 助けが来てくれたの


少女は振り返り


声を出す


「えっ」


「助けに来たよ」


「えっ」


少女は周りを見渡すが そこには 恐ろしいオークと3歳くらいの女の子しかいない


小さな女の子はにこにこしながら


「あなたも可愛いから 助けてあげるね」


少女は意味が分からなく


「えっ」


と声を出すしか出来ない


小さな女の子は オークめがけて 何かを投げるような動作をしながら


「土魔法 強石弾」と叫ぶと


石がオークに


オークの頭に当たり


オークは ドタッ っと倒れ


・・・


お金を出した


「えっ えっ」


小さな女の子はオークの死体に近づき


2メートルもある大きなオークの死体を持ち上げた


「えっ」


オークが消えたのだ


少女は何が起きたのか分からず 呆然と小さな女の子を見る アイテムボックスのことは誰でも知っているが 2メートルのオークを収納するにはレベル200が必要なのだ 足を折りたたんだ状態なら もう少し低いレベルでもいいのだろうが・・・ それでも・・・


戸惑い何も言えない少女に


小さな女の子は にこにこしながら


「大丈夫?」


少女は 困惑を


助かったの ・・・ かな?


しかし


すぐに 絶望に変わる


少女は怯えながら必死に声を出す


「大狼の魔物」


出会ってしまえば 逃げることが出来ない恐ろしい魔物


少女は 小さな女の子を見ながら思った


終わった この子を巻き込んでしまった


しかし 小さな女の子は顔色を変えずに にこにこしながら


「大丈夫?」っと少女に再び問いかけた


少女は必死に


「後ろ 後ろに大狼の魔物がいるの」


気づいてないようなので少女は女の子に教えたつもりだったのだが 予想しない答えが返ってくる


「50匹くらいいるね 黒大狼の魔物だね」


っと笑顔で


少女は混乱しながら考える


黒大狼の魔物?


ただの大狼の魔物じゃないの それよりも強い魔物なの?


それも 50匹?


いや 1匹しか見えない・・・


それよりも どうして この子は笑顔なの?


少女は小さな女の子に聞く


「黒大狼の魔物 知っているの」


小さな女の子は答えてくれたのだが


「私は好きじゃないかな」


意味の分からない答え


・・・


じりじりと迫ってくる黒大狼の魔物


少女は気づく


あっ 後ろにも 左右にも


少女はようやく囲まれていたことに気づく 沢山いたことに気づく


気づいたからといっても 出来ることは何もないのだが


襲われるのを見ているしか


黒大狼の魔物が


それも 4方向から一斉に飛び掛ってくる


少女は終わった っと心の中で呟いた



小さな女の子に飛びついた黒大狼の魔物の首が飛ぶ


目の前で起きていることなのに 少女には理解出来ない


なぜ


少女が小さな女の子を見ると


いつの間にか 小さな女の子の手には剣が


少女はビクッと身体を強張らせる


いきなり 音がしたのだ


ドン ドン ドン っとぶつかる音が


少女は恐る恐る 横を後ろを見る


横や後ろには巨大な盾があった


そして


巨大な盾にぶつかって ふらつく黒大狼の魔物


・・・


少女は考える


いまなら 逃げることが 怪我をしている自分は無理でも この子だけなら逃げることが


・・・


少女が考えていると


ヒュン ヒュン ヒュン っと風の音が


少女がその方向を見ると


風の音がした方向を 黒大狼の魔物を見ると


ふらついていた黒大狼の魔物の首が ぽとり ぽとり と落ちていく


「えっ えっ」


驚く少女に 小さな女の子が話しかける


「全部 倒すから待っててね」


「えっ えっ」


4匹の黒大狼の魔物は死んでいるが ・・・ そういえば 50匹って


小さな女の子は叫ぶ


「土魔法 連石弾」


また 何かを投げるような動作をして


森の中に次々と魔法で石を放っていく


すると


森の中から魔物の叫び声が


森の中から沢山の黒大狼の魔物が姿を見せ 小さな女の子に向かってくる


小さな女の子目掛けて黒大狼の魔物が飛びついてきた



小さな女の子は顔色を変えることなく


「巨大盾」


更に横から飛び掛ってきた黒大狼の魔物にも


「巨大盾」


っと 巨大な盾の魔法で防ぐ


小さな女の子は その間も 石の魔法を放ち続けている


50匹の黒大狼の魔物を1人で次々に倒している


連石弾という魔法と 巨大盾の魔法を同時に使うことが出来るようだ


それも 巨大盾の魔法は1度に何枚も出している


・・・


小さな女の子に このままでは敵わないと思ったのか 黒大狼の魔物は連携して 一斉に小さな女の子に飛び掛った


だが


小さな女の子は慌てることもなく


「巨大盾」


っと魔法を


それも


一度に10枚の巨大な魔法の盾を放ち 黒大狼の魔物の攻撃を防ぐ


その後 すぐに小さな女の子が別の魔法を使った


「飛翔」


空を飛んだのだ


高い位置の木の枝まで まるで ジャンプしたように飛んだのだ


更に すぐに また 別の魔法を


「岩雨」


っと叫び空から魔法で次々に岩を出現させ 下にいる黒大狼の魔物に攻撃を


小さな女の子はムササビのように木の枝から 木の枝に飛び回っている


あれも飛翔という魔法なのだろうか


小さな女の子は地面に着地すると


背中の剣を抜き 弱っている黒大狼の魔物に止めをさしていく


50匹ほどいた黒大狼の魔物は5分もかからずに小さな女の子に倒されてしまった


・・・


少女はしばらく呆然としていたが 我に返り


「あ ありがとうございました あなたはいったい」


小さな女の子はにこにこと笑いながら


「えへっ 私は第4の英雄 最強の魔法使い リル」っと


・・・


助けられた少女は苦笑いをするしかなかった


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