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異世界転生 魔法の使えない最強の魔法使い  作者: あつし
2章 百英雄
213/216

リル04



街にはまだ沢山の盗賊が残っていた


盗賊達は一斉に向かって来たのだが


全員が何も出来ずに返り討ちに









そもそも なぜ盗賊が街を支配することが出来たのか


外壁に囲まれている街は守りやすい


門では必ず 盗賊でないのかチェックされるので 忍び込むことは不可能


・・・


魔王軍に破れた人族の兵士 冒険者が減り 魔物を倒す者が減少する


街の外では魔物がどんどん増えていった


街と街を行き来する者が減り


街の外で暮らしていた盗賊達の生活も苦しくなる


危険は増しているのに 商人も旅人も減少しているので襲う相手がいないのだ


領主は魔物を倒せる者を求め


盗賊は安全に住める場所を求めた


お互いの望む物が一致する


領主は魔物退治を条件に盗賊達を街に引き入れる


もちろん 国の法律では違反なのだが


飢える子供達を見て 領主は決断したのだ


・・・


最初は上手くいっていた


だが


盗賊の数がどんどん増えていった


他の場所の盗賊達も このカラムの街に集まって来たのだ


その数は2千人を超えるまでに


兵士の数5百人よりも圧倒的に多くなっていた


そして 事件は起こる


誰もが寝静まった深夜


盗賊達が行動を起こす


領主の屋敷になだれ込み


領主を


・・・


残った兵達は降伏する


街から逃げ出そうにも 外には沢山の魔物が


・・・


街は1夜にして 盗賊の物になってしまったのだ


・・・








家の中から見ていた人々が出て来る


隠れていた盗賊達は 街の人々に取り押さえられ


盗賊の支配が終わる


しかし


問題は何も解決していない


盗賊がいなくなり 魔物と戦える者がほとんどいなくなってしまった


盗賊に降伏していた兵士達は盗賊達の奴隷にされ


休みもほとんど与えられず魔物退治を強いられ


ほとんどの兵士達は命を落としていた


この街に残っている兵士は8人




ロイズは仲間達に


「俺達はこの街を拠点に魔物退治をしよう いいよな」


仲間達は全員 賛同する


更に ロイズは リルの母親に


「申し訳ないが しばらく この街に滞在して欲しい」


そう言って頭を下げる


誰もが首を縦に振ってくれると思ったのだが


「断ります 私達は次の街に行くので あなた達が無理のない程度で頑張ってください」


ロイズは戸惑いながら リルの母親に


「しかし この街の人数を考えたら 俺達だけでは」


「それで? 私達には関係ないですよね」


ロイズは悔しそうな顔で


「そうですが」


リルの母親とリルは手を繋ぎ ロイズ達の前から立ち去っていった


サーナはロイズに


「私達の命を 街を救って貰って これ以上頼むのは違うと思う 私達に出来ることをしましょ まずは生きている盗賊達を奴隷として 魔物退治をさせましょう 他の街にも この街の現状を知ってもらい冒険者 もしくは 少しでもいいので兵士を送ってもらうように」


ロイズはコクリと頷き


「そうだな サーナの言う通りだな 俺達は命を助けてもらって 街まで解放してもらったんだよな」




ロイズ達6人 奴隷にされていた兵士が8人 そして奴隷にした盗賊が18人


街の人口は2万人前後


十分に食べさせることは出来ないかもしれないが 他の街からの応援が来るまで飢えることはないだろう


倒した魔物を運んでくれる人々を募集すれば 週に1度は休みを取ることも可能だろう


ロイズを中心にカラムの人々は動き始めた


のだが




その夜


孤児達が集まる場所に


リルとリルの母親が


・・・


サーナ達は騒ぎを聞きつけ その場所に


そこには 魔物の肉を食べている子供達が


嬉しそうに肉を夢中で口いっぱいに ほおばっている


まるで お祭りのように騒ぎ 食事をしている子供達




それをみたサーナ達は呆然とする


街の人々で話し合い 1日の1人当たりの食事の量を決めたばかり


ここには 沢山の肉が


おいしそうないい匂いが充満している



ロイズは走ってリルの母親の元に


「これは どういうことですか」


リルの母親は首をかしげる


ロイズの問いが意味が分からないと


サーナは聞く


「え~っと 何で子供達だけで食べてるんですか」


リルが笑顔で


「可愛い子を幸せにするのが 英雄なんだよ」


リルの母親はクスクスと笑い リルの頭を撫でながら


「正解」っと


ロイズは怒りに満ちた顔で


「何を言っているんですか 食料は貴重なんですよ 街の皆で分けるべきです」


リルの母親も リルも首を傾げる


そして リルが


「どうして」っと


ロイズは怒り 大きな声で


「常識だろ 皆困っているんだ 分け合うのが常識だろ」


リルは首をかしげながら言う


「この子達は分けてもらえなかったって言ってたよ 街の大人達は盗賊達から食べ物を分けてもらっていたのに この子達には誰も それを分けてくれなかったって」


ロイズは 戸惑いながら 後ろを振り返る


集まって来ていた大人達を


街の大人達は下を向く


孤児達が飢えていたことは誰でも知っていたが


自分の食べ物を確保するのでやっとだった


少ない食料を分けることはしなかった


いや 出来なかったのか


・・・


リルの母親は


「私達はこの子供達を救います あなた達は彼らを救ってくださいね」


・・・


ロイズは下を向き 仲間達とその場を後に


・・・





ロイズは仲間達に落ち込んだ顔で


「俺達は誰を救うべきなんだろう」


仲間達は誰も答えなかった


これまで 多くの街を旅してきたロイズ達


街のために魔物退治をして来たのだが


・・・


孤児達のことは見ていなかった


もちろん 街の全員を見ることなど出来ない


ロイズ達が倒してきた魔物の肉は


孤児達に届いていたのだろうか


全員で分け与っていたのだろうか


ロイズには理解出来ていた


きっと 孤児達には届いていなかったと


・・・


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