リル02
森の中を歩く2人の女性
サーナとリル
サーナはリルに
「本当に仲間達を救ってくれるのですか」
「うん いいよ」
リルはあっさりと返事をしてきたが
街には数多くの盗賊達がいるのだ
サーナは冒険者
昨日 仲間6人で この先にあるカラムという街を訪れたのだが
街に入って異変に気づく
門番は普通だったのだが 街の中にいたのは盗賊
鑑定すると 盗賊だと誰にでも分かる
街中の人々のほとんどが盗賊となっていた
サーナ達のリーダー ロイズが叫ぶ
「まずい 逃げるぞ 俺が道を作る 左はオドル 右はヤン 後ろはグアン サーナとローラは中央だ 行くぞ」
しかし 既に遅かった
盗賊達の包囲網は完成していた
ロイズ達は強かったが
多勢に無勢
後ろを守っていたグアンが
右のヤンが
左のオドルが
ローラが盗賊に捕まれる
ロイズは必死に叫ぶ
「サーナ 俺達だけでも このことを他の街に知らせるんだ オドル ヤン グアン ローラ 必ず助けにくる」
ロイズは剣を振りながら叫ぶ
サーナはすぐその後に続く
が
数が多すぎる
ロイズの身体には無数の傷が
女性だからなのか サーナを捕まえようとするが 武器では攻撃して来ない
それに気づいたロイズは
「俺が道を作る お前だけでも逃げろ いや 助けを呼んできてくれ」
ロイズは最後の力を振り絞り サーナの道を作るために防御せずに盗賊達に斬りかかった
・・・
サーナは運がよかったのか
逃げることが出来た
が
すぐに 追手が
・・・
「仲間を助けてくれるの」
「え~っと ローラも女性なのね 可愛いなら助けないとね」
「その リル様は 1人なのですか」
「リルでいいよ ママと2人だよ」
リルはそう言って 天を指差す
サーナは何となく理解した
母親は死んだのだと
・・・
森の中は魔物が多く ゆっくりと歩くリルとサーナに 沢山の魔物が
しかし 全て リルの魔法で
リルは一撃で倒していく
「リル様 リル ちゃんの魔法は不思議ですね」
リルは嬉しそうに
「えへっ パパが使ってたんだって ママが色んな人から聞いて 私に教えてくれたの」
「リルちゃんのパパは強いのですか」
「夢の中でしか あったことないけどね」
サーナは黙ってしまう
父親も死んでいるのかと
・・・
森が途切れた時
サーナはきゃっ っと驚きの声を上げる
空から女性が いや 木の上から女性が下りてきた
リルは女性に飛びつき
「ママ~」っと
サーナは「えっ えっ」っと戸惑う
サーナは あっ っと小さな声を出し理解する
天じゃなくて 木の上にいるって 言っていたのかと
リルの母親もリルと似たような格好をしている
小柄で可愛い
オレンジ色の髪をポニーテールにしている
リルと同様に背中に剣を背負っていてミニスカートをはいている
強そうだが
レベルはサーナより低い
サーナは立ち止まり
「やはり 他の街に助けを求めましょ」
リルは首をかしげ 母親はクスクスと笑い
「時間がないのでしょ 急いだ方がいいわよ」っと
サーナにも そんなことは分かっていた
時間が経つほど 仲間の生存率は下がる
とくに 女性のローラが何をされているのかも
しかし 盗賊に勝てなければ意味がない
助けも呼べずに 被害者が増えるだけなのだから
「私のレベルは53です 私達のリーダーのレベルは69でした それでも多勢に無勢 更に強い盗賊は沢山いました」
「リルの方が強いよ ねぇ ママ」
「ふっふっ そうね 盗賊は皆殺しにしてもいいわよ ママは盗賊が嫌いなのよ」
「うん じゃあ 簡単だね」
笑いながらとんでもないことを話す親子
サーナよりもレベルが低いのに 低い?
すぐに疑問に
自分よりも明らかにレベルの低いリルに助けられたのだ
レベルの低いリルが 30人近い盗賊達を 森で遭遇した魔物達を
・・・
この世界はレベルが全てだと言われているのだが
個人差はあっても レベルが高くなれば必ず強くなれる
のだが
・・・
「リルさんのママは その 戦えるのでしょうか」
リルは笑いながら
「ママは私よりも ず~っと強いのよ ママはね サムライなのよ」
「強いのですか? サムライ?」
「ふっふっ 仲間とサムライというパーティ名で冒険してたのよ」
サーナは戸惑いの声を
「サ サムライ」
サーナは聞いたことがあった
女性6人のパーティ
サムライ
変わった格好の冒険者達
そして
誰も倒せないはずの
いや 英雄様しか倒すことの出来ない 指名手配魔物を倒したパーティ たしか キマイラという恐ろしい魔物を
・・・
サーナは不思議に思う
強いリルと 強いその母親のレベルがどうして
・・・
サーナは思い切って聞く
「聞いてもいいですか」
母親はクスクスと笑いながら
「ダメ」っと
「えっ まだ 何も」
母親はクスクスと笑う
リルも笑いながら
「2人の秘密なの」っと
サーナは えっ えっ っと戸惑うしか出来ない
サーナは
「あっ」っと声を
立ち止まり 顔を強張らせる
サーナの サーナ達の前には街が
カラムの街に辿り着いてしまったのだ