9
「ぐはっ」
「ぎゃはっ」
「どほっ」
ユウの攻撃が次々に俺の腹に 頭に 胸に
「よく見れば避けれるのよ 敵の攻撃が当たらなければ負けることはないの 避けなさい」
「ぐふっ」
「どうしたの 受けないの 避けて」
「避けようとしているよ ぎゃはっ」
「無駄口叩かない 集中 集中 間合を見切らないとダメよ」
「もうダメ」
俺がふらつき倒れそうになると ユウが抱きしめてくれて回復魔法を
温かい ユウの柔らかいもちもちの肌は癒される
「こら もう回復しているでしょ」
「もう少しだけ このままで」
「まったく」っと言いながら 優しく俺の頭を撫でてくれる
「おい いつまで そうしているつもりだ」師匠が睨みながら言ってくる
「師匠 ユウとは実力が違い過ぎますよ これじゃあ試合稽古になりませんよ 俺に何かハンデをくれないと ほら 何か最強の魔法使いぽい物をくださいよ」
ユウが「なら 召喚の指輪はどう 魔物と一緒に戦えばいいんじゃない」
「はあ なら この中から好きな指輪を一つ装備してみろ」
おっ やった 召喚の指輪か
師匠がテーブルの上に50個の指輪を出してくれた
やはり 空飛ぶ魔物がいいかな それとも馬よりも速く移動できる魔物がいいかな んっ これは
{おかえり}
誰だ この指輪から声がしたけど
俺が指輪を手に取ると 師匠が「その指輪は無理だぞ 誰も装備することの出来ない指輪だ」
へぇ~ 装備出来ないのか
俺は試しに指に指輪を
普通に装備出来ているように思えるが
「師匠 装備出来ているように思えますが」
「んっ そうだな おかしいな 最強の指輪だと言い伝えがあるが 個人専用に作られた指輪で誰も装備することが出来ないはずなんだが」
最強の指輪か それは凄い
「どんな指輪何ですか」
「あらゆる攻撃を避けることが出来る 剣の攻撃も 槍の攻撃も 魔法の攻撃も 全ての攻撃を避けることが出来ると言われている 幻影の指輪だ」
おおっ それは凄い ユウの攻撃もこれで避けれるように
「ユウ これで 勝負だ」
「えへっ 負けないよ」
ユウが木剣を振りかぶり 俺に攻撃を
「攻撃を避けろ」
しかし ユウの攻撃は俺の頭に
「げほっ」
「ぐはっ」腹に
「ぎゃっ」腕に
「避けろ ぎゃはっ 避けろ ぐふっ」
まったくダメじゃないか
「ユウ ストップ 回復して 回復」
「ふっふっ そう簡単にお姉ちゃんには勝てないのよ」
ユウは笑いながら俺を抱きしめて回復魔法を
「師匠 どうなってるんですか」
「しらん その指輪がどんな能力があるのかは知られていないんだ 自分でいろいろ試すんだな」
「本当に凄い指輪なんですか」
「それは間違いないと思うぞ 何でも 神の魂が宿る指輪だそうだ」
おおっ それは凄い でも 問題は使い方が分からないんだよね
幻影の指輪か
まぼろしだろ 心の中に現れる幻覚だったかな
炎
「きゃっ」ユウが叫び 後ろにジャンプを
いきなり 炎が現れた
おっ 俺が出したのか
ユウに いや 危険な魔法かも なら
炎 炎 炎
師匠に向かって炎を連続して放つと
「ふん マジックシールド」っと師匠は魔法の盾を出したが すぐに「なっ」っと叫ぶ
炎はマジックシールドをすりぬけて 師匠に向かっていく
師匠は素早く左に避ける
そこに「盛り上がれ」っと叫びながら 土が無数の槍のように盛り上がるイメージをする
「のはっ」っと声を出し 師匠はジャンプしてかわす
「風の刃を切り裂け」
四方八方から風の刃が師匠に向かっていく
「結界魔法 完璧」球体の光が師匠を包む
「何っ」っと師匠が叫ぶ
そして師匠は地面に着地
「まったく 魔法も物理攻撃も防げる魔法をすり抜けたと思ったら ただの幻だったぞ」
「当たったんですか ダメージはなかったんですか」
「ああっ 食らってみたが 何も ただの幻影のようだな」
なるほど 心で思い描いた通りに幻影を出すことが出来るのかな 幻影だけなら危険はないか
とりあえず もう 一回だけ「太陽」
太陽が師匠の上から落ちるようにイメージをした
師匠は「はぁ~」ため息をつきながら 動かない
なら
俺はアイテムボックスから石を取り出し 幻影の太陽に紛れて石を師匠に向かって投げる
「まったく」っといいながら 師匠は石を避けた
おおっ さすが
「石を投げれば 音がするだろ」
へぇ~ そうなのか 所詮は幻影か
まあ 危なくないと分かれば ユウに使えるか
「実験は終わったよ ユウ 勝負だ」
「ふっふっ お姉ちゃんに勝てると思わないでね」
石 石 石 石 石 幻影の石を次々にユウに向かって放つ そして
俺が石を投げようとした時 師匠が「ユウ 避けずに向かって行け 決して避けるな」っと
なっ
ユウは真っ直ぐに俺の方に
避けないのか なら なら
「ぐはっ ぐほっ ぎゃはっ」
「どうしたの 幻影に紛れて石を投げないと」
「う~ でも」
「まったく 私に手加減でもしているつもり」
「そんなつもりはないけど」
くそっ 師匠め
俺は幻影の石を次々に師匠に そして アイテムボックスから取り出した石を次々に
師匠はため息をつきながら 余裕で避けていく
吹っ飛べ 爆炎
う~ 避けてもくれなくなったか
ユウは俺を睨み「こら それを私に出来ないとダメだよ 攻撃を避けることが一番大事だけど 相手に攻撃出来ないとダメなんだよ」
「でも」
可愛いユウに石を投げるのは 師匠なら躊躇わずに投げれるのに
「相手が可愛い子だったらどうするの」
「う~ん 抱きつく」
「もう 敵だったらどうするのよ」
「えっ 抱きつく」
「君を殺そうとしていたら どうするのよ」
「えっ う~ん」
「攻撃しないと 殺されるなら どうするの」
そうだよね
「分かったよ ユウ そのときは 全力で逃げるよ」
「まったく それじゃあ 私の稽古にならないでしょ せめて 雪玉くらいはぶつけてよね」
う~ん そうか そうだよね それなら 俺にも出来るかも
「分かったよ ユウ 覚悟してよ」
「ふっふっ 君が負けない男になるために私は全力で行くからね」
この日から俺もユウに攻撃をするようになった 雪玉と紙玉を投げることに 本を読みながら稽古を見守ってくれている師匠には本気で石を投げる
幻影でカモフラージュをしたり 攻撃を見えなくしたりしているが ユウには全てを見破られ
いつも通り
「ぐはっ ぐひっ ぐふっ ぐへっ ぐほっ」っと殴られ続けるのだが
俺は魔法使いになれた気分を味わえるようになった
幻影の指輪 愛する息子を守るために作られた指輪 世界中の生物・無生物に息子が傷つけられないためにつくられた指輪 女神フリッグの魂が宿っている指輪