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ワールドリメイク 世界奪還戦線  作者: husahusa
第一章 失敗したスタートダッシュ
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第七話「合流」

 今現在和人は海の上で船に揺られている。

 卒業からほぼ一ヶ月要約戦役投入された場所は、三重。

 通常であれば陸路で向かう筈だったが、現在日本は長野、山梨を基準に東と西で二分されている状況にある。

 東は人間が、西はネビュラがその土地を征服しており、二分の境目、長野・山梨・群馬・埼玉の四県では特に激しい戦闘が繰り広げられている。


 その為、陸路で向かう場合は戦場を横切る形となり危険が伴う。

 和人はメディアの案内に従い、東京から南下し、神奈川から船を使い三重へ渡っていた。


---


 船に揺られる事数時間、早朝に東京から出発したにも関わらず気づけば辺りは暗くなっていた。

 メディアの案内によると迎えが来ている筈だが……。


 和人が辺りを見回すと、少し遠くに人影が一つ見た。

 向こうも和人に気づいたのか、こちらに近づいてくる。

 やがて和人の目の前まで来ると落ち着いた口調で話す。


「君が和人君であってるかな?」

「はい!」


 予想通り和人が合流する部隊『アサルト第23部隊』の一人、中島健人(なかじまけんと)だった。

 中島は派手な金髪で、この夜でも目を凝らせばわかるぐらいに目立っていた。

 そんな髪色をしている中島に不安を覚えながらも和人は部隊へと合流を果たした。


---


「お前が神崎の! そうかそうか、よく来た!」


 豪快に笑うのはこの部隊の隊長歯車岩鉄(はぐるまがんてつ)

 他にも和人を興味津々とばかりに眺める猫背の男猫又案作(ねこまたあんさく)

 そこに和人と和人を案内した中島の四人が揃う。


「この部隊は四人だけなんですか?」

「いや、あと一人おっかねえ女がいる」


 歯車はもう一人の存在を仄めかす(ほのめかす)


「その人は今どこに?」


 当然の疑問を口に出した和人。

 しかし、歯車は言いづらそうにしている。

 何か不味い事を聞いたのかと次第に和人は焦り始める。


「いや、違うんだ。この部隊の人数が少ない理由と言うか……」

戦血姫(せんけつき)って言われてるんだよ」


 歯車の代わりに猫又が言う。


「せんけつき? というのは?」

「その余りの形相に戦場で付いた二つ名だよ」

「その二つ名好きじゃないんだけど」


 イマイチピンと来ていない和人の背後から声がする。

 和人が振り向いた先には長身ですらっとしている美人な女が一人立っていた。

 長い黒髪を靡かせ(なびかせ)ながら猫又目掛け不満顔を向けている。


「貴方が新人? 私三鶴城流子(みつるぎりゅうこ)宜しくね」


 ウインクしながら和人に手を差し出す。

 和人もそれに答え握手する。

 した瞬間違和感を感じる。

 何かヌメッとしたよう、生臭い様な……そんな臭いが鼻に付く。


 握手終わりに自分の掌を見るとそこには人間の血より赤味がかった謎の液体が……。

 違和感と悪臭の正体はこれだった。


「うわあああ!」

「あっごめーん! ネビュラの体液付いたままだった」


 思わず飛び退く和人にあっけらかんとする三鶴城。

 回りはあーあといった表示で見ている。


「初対面そうそうやっちまったか……」


 歯車はやれやれと額に手を当てる。


---


「さてと、一旦落ち着いた事だし、新人の自己紹介をしてもらおうか」


 歯車は手を洗い終えた和人に言う。


「あ、はい!」


 急いで手を拭いてから名乗り始める。


「えっと……名前は神崎和人です。御察しの通り父はメディアの最高司令官です」


 いや顔の一つでもされるかと思っていた和人だったが、他の者達は真剣に聞いていた。


「続けて?」


 優しい表情で三鶴城が言う。

 和人も安心して続きを話す。

 コイツのことを素直に言うか迷っていたが、これから仲間となる人達に隠し事はしたく無いと奴を取り出す。


「それで、コイツが俺のオルギアで……」

「デルタだ、よろしくな!」


 和人の言葉を遮る形で元気よく名乗り出たそれは、当然皆を驚かせる事になった。


「いやしかし、喋るオルギアなんて聞いた事ないね」

「同じくだ、こんなもんどこのデータベースにも載ってねえよ」

「そりゃ俺様は特別だからな!」


 まじまじとデルタを見つめる猫又と中島。

 偉そうにしているデルタ。


「あれは一体なんだ?」

「正直俺にもわからないです……ただ間違いなくオルギアです」


 その証拠を見せるため、和人はデルタを呼び左腕に装着する。


「此処じゃ危ないので外へ」


 和人は笑顔で言った。


---


「準備はいいかデルタ?」

「勿論だ!」


 外へ出た面々の視線は和人に集中している。

 暗闇で和人が何をやっているかよく見えない。


「——炎魔装甲(バースト・オン)


 突然和人が何かを叫んだかと思えば、和人を中心に炎が燃え広がる。

 先程まで暗闇でよく見えなかったのが、炎の明るさで周りを確認できる程に和人が放った炎は凄まじかった。

 成る程、和人がわざわざ外に連れ出した訳だと誰もが納得仕掛けた時——


「和人……お前その姿は……」


 歯車の言葉に和人を注意深く観察する。

 いや、注意深く見る必要など無かった。

 和人の姿はそれ程変わり果てていた。


「これが俺とデルタの力です」


 悪魔の様な見た目へと変わった和人が変わらない口調で説明する。


「属性的には炎って事なんですけど、イマイチ能力の使い方がわからないんですよね」

「いや、待て待て待て! お前まさかこんな事前にもやったのか!?」


 中島が慌てた様子で問い詰める。

 他の者は絶句している。


「え、前に一度だけ空き地で……」

「おまっ!? よく通報されなかったな……」


 和人に自覚は無かったが、周りが焦るぐらい和人とデルタの力は強力だった。

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