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ワールドリメイク 世界奪還戦線  作者: husahusa
第一章 失敗したスタートダッシュ
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第十一話「緊急出動」

 -4月25日 PM13:00-


 和人が部隊に入ってから約2週間が過ぎた。

 未だに本部からの作戦の指示は無い、どうやら最前線の部隊も同じようだった。


「ネビュラ側の動きが無いみたいですね」

「そうねっ!」


 和人は今現在三鶴城には戦闘訓練を、猫又にはネビュラの知識を習っている。

 ネビュラの動きが無いことは、和人にとって好都合だった。

 このまま出来れば三鶴城の全力と互角に戦えるまでにはなっておきたい。

 しかし和人の淡い希望は突如鳴り響くサイレンによって掻き消される。


「このサイレンは!?」

「緊急集結の合図よ、行くわよ!」

「あ、はい!」


 何が何だかわからないまま二つ返事でついて行く。

 ただ、ネビュラ側に何か動きがあったのだろうと和人は悟る。


---


「何があったんですか!?」


 慌てて部屋に入ってくる和人。

 その後に続き三鶴城も部屋に入ってくる。


「ネビュラ側に動きがあった、本部から出動の命令だ」


 待ちに待ったとは言えないが、和人はやる気に満ちていた。

 居ても立っても居られない気持ちを抑え、歯車からの支持を聞く。


「和人、自分の役割は分かっているな?」

「はい!」


 和人の役割とは仲間の盾となる事、出来るだけ敵の注意を引きつけ尚且つ生き残る。

 現状戦場未経験の和人が自身の能力を活かすにはそれしかないのだと理解していた。

 下手な技術力を求められないながらも、最も危険な位置に立つ。

 それを可能にしているのは、正しく和人が持つオルギア『デルタ』の力だった。


 ――貴方はデルタの力の半分も引き出せてないわ。

 訓練中に三鶴城から言われた言葉が頭を巡る。

 「よし」と言いながら自分の両頬を叩き気合いを入れる。

 和人の様子に納得したように歯車が作戦の内容を確認する。


「いいか? 今回ネビュラが出現したのは滋賀だ、俺たちがいる北側になる」


 和人はだからこの部隊に連絡が来たのだろうと悟る。


「となれば移動は徒歩の方がいいですね」

「後は出来るだけ地下通路を通るルートで行った方がいいですね」


 猫又と中島が慣れた手つきで進める。


「何でなんですか?」


 和人が二人を眺めながら移動手段について疑問を口に出す。

 急いでいるなら車などを使った方がいいのではないかと言いたいのだ。


「単純な話ね、何もネビュラが居るのは最前線だけじゃないの普通にそこら中に居るわ。そんな中で車なんて走らせたら格好の的よ」

「成る程……」


 和人と三鶴城が一言二言交わしている間に、間車等の話し合いも纏まった様子。

 滋賀に向かうまでのルートを和人にも説明する。


「まずは地下道を目指す事になる」

「地下道なんてあるんですか?」

「ああ、メディアの隊長クラスレベルじゃ無いと知らされない秘密の通路だ」


 各々が自身のオルギアを持ち出発の準備に取り掛かる。


「和人、お前の役割は分かっているな?」

「はい……」


 歯車が気を使ってか和人に話しかける。


「まあ盾と言っても守るのは猫又だけでいい、初めての戦闘と言うか、俺達が特殊すぎるからな……」


 歯車の言葉に他の面々もうんうんと頷く。

 どういう事かと聞き返す和人に「戦いが始まればわかる」と一言だけ言い残し、歯車は足早に出発する。


「ちょっ、待ってくださいよ!」


 和人は腑に落ちないまま歯車に着いていく。


---


「ここだ」


 歯車が何の変哲もない道路の真ん中を指す、ここだと言われても何もない。

 すると歯車が小さなリモコンの様な物を取り出しボタンを押す。

 突如地面が少し揺れ騒音がなったかと思えば、歯車が指した地面が割れる。


「ここが地下通路の入り口になるが……」


 入口が空いたことにより歯車は少し怪訝(けげん)な顔を浮かべる。

 歯車が何を言いたいのか、和人にも予想できた、道のど真ん中で大きな音を立てるという事は……。


「早速お出ましだ!」


 歯車が和人の後ろを指す。

 だが後ろからだけでは無い、四方八方からネビュラの群れが音に惹かれ姿を現す。


「ちっ! 地下通路が空くまで持ちこたえろ!」


 地面に設置された地下への扉はゆっくりと動いている。

 未だに人が通れる空間程は開いていない。


「この通路初めて使うけどこんなに開くの遅いのかねぇ!!」


 思わず猫又が悲痛な声を上げる。

 その横でこんな事態にも関わらず三鶴城が塞ぎこんでしまっている。

 それに付き添う形で中島が肩を貸していると和人には見えていた。


「駄目だ流子! 今は抑えろ!」

「ちょっと! 三鶴城さんどうしたんですか!?」

「いつもの事だ、大丈夫だ! お前はネビュラを近づけない事だけを考えろ!」


 和人には中島が言う大丈夫な風には見えなかった。

 今は訓練中のあれ程凛々しく、強かった三鶴城の姿は無い。

 和人がおどおどしている間にも迫りくるネビュラの群れを猫又と歯車が只管駆逐している。


「和人! 中島の言う通りだ、三鶴城はいい! こっちを手伝え!」

「は、はい! ――バースト・オンっ!」


 オルギアを起動させながらネビュラ目掛けて走り出す。

 変身と同時にネビュラの一体を捕まえ、そのまま投げ飛ばす。


「こいつらは……ペンチか!」


 和人は目の前のネビュラを正面に捕える。

 周りをざっと見渡しつつ、刃型歩行種ばかりだと確認する。

 猫又の授業を思い出す。

 和人の目の前にいるのは刃型歩行種の中でも両腕が特徴的な分類で、蟹の様なハサミになっている。

 一度ハサミに捕まれば、そのままねじり切られてしまう様を目撃した者が工具のペンチに見立てたのが由来だ。


「あれはどうするのが正解だ……?」


 今までの戦闘訓練では三鶴城のオルギアの性質上、打撃と斬撃しか無く、初めて相手にするタイプに慎重に動く。

 理由はわからないが三鶴城も戦闘できない状態にある。それを介護している中島も同じだ。


「和人! 三鶴城は気にするな! 兎に角時間を稼げ!」

「はい!」


 和人は深く考えるのはやめた。

 地下通路が通れるようになるまでなんとしても耐えきる。

 ただその一点のみを考え戦闘態勢に入った。

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