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ワールドリメイク 世界奪還戦線  作者: husahusa
第一章 失敗したスタートダッシュ
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第十話「座学はだるいもの」

 -4月14日 AM10:00-


「さて始めようか」


 昨日の宣言通り猫又は和人に2種類の資料を手渡して言う。


「ホントにやるんですか?」

「勿論、ネビュラと戦う為……というより、この部隊の中で戦う為と言った方がいいね」

「はあ……」


 余り腑に落ちない和人を置いて、猫又はホワイトボードに『ネビュラの種類』と書き込んでいく。


「さあ、書いた通りだ、学校で習ったろう? ネビュラの種類は何種類だい?」

「えっと……爆発機構型と刃型歩行種、後は飛翔型ですね」

「そう、正解だ。だけどね、例えばの話戦場で一分一秒を争うって状況の時に『向こうに爆発機構型が!』『南方から飛行種が!』みたいな言い方は余りにも悠長すぎるよね」

「まあ……」


 困惑する和人を前に、猫又はちゃくちゃくとホワイトボードに追記していく。

 『ネビュラの呼び方』と書かれた下には、

 爆発機構型=ボム、ダイナマイト、グレネード

 刃型歩行種=スラッシュ、ペンチ、ブレード

 飛行種=ウィング、ジェット、アンカー


「主な分け方は3タイプ9種類だよ」


 猫又が書いた通り、現状最前線で戦っている者達の間ではこの分け方は常識となっていた。

 和人が学校で習っていた3タイプに間違いは無いが、もう少し詳しく分ける必要があったのだ。

 自身が学んで来た事と現場とのギャップに面食らう和人。


「その様子じゃやっぱりまだ学校側には伝わって無かったんだね」


 和人の様子から猫又は予想通りといったリアクションを取る。


「す、すいません……初めて聞きました」

「いや、謝る事じゃないよ。それぞれの違いを言ってもいいんだけど、正直自分で見ないとイメージしにくいからね……ま、今はネビュラを呼び分けているって覚えてくれたらいいよ」


 猫又はホワイトボードの内容を消し、違うものを書く。

 先程と同じ様に、大きく『オルギアについて』と書いた。


「さて、今日のメインだ」


 猫又はそう一言だけ漏らすと怪訝な目でデルタを見ていた。


「和人、君も知っている通り、オルギアは『オーパーツエネルギーギア』の略称だ」

「はい」

「その名の通り、オーパーツという通常ではあり得ない物を使っている。三鶴城だったら、『コソの点火プラグ』と『黄金ブルドーザー』の二つだね」

「あの! オルギアを複数持つというのは、やはり少数なんでしょうか?」


 三鶴城の事が話題に出たのもあり、思わず話の腰を降りながら尋ねる。


「たまーにいるね、三鶴城みたいに」


 具体的な割合まではわからないと付けつわ得る猫又。


「話を元に戻すね、オルギアの能力はさっき言ったオーパーツを元に発生するものと、そうじゃないものがある」


 猫又は続けて三鶴城の持つ『コソの点火プラグ』は前者、対して『黄金ブルドーザー』は後者。と説明する。


「僕達……というか前線で戦っている者達は基本的に、前者をエンチャント、後者をイメージと呼んでいるね」

「エンチャントとイメージですか」


 ここに来て和人の知らない呼び方が出て混乱する。


「訳わかんなくなって来たかい? でも、戦場では今みたいな言葉が飛び交うんだ、伝えたい事をより短くする為にね。今教えてるのはぶっつけ本番じゃ厳しいだろうなって思ったからね」

「ありがとうございます!」


 猫又の気遣いに素直を感謝する。

 確かに何も知らないまま戦場に出たとして、今の名称で話されたとしても意味がわからなかっただろう。


「まあ、出撃がいつになるかわからないけど、それまでには覚えておいてね」

「明確な日時はわからないんですか?」

「そうだね、なんせネビュラ側がいつ何処に現れてるかすらはっきりしてないからね」


 メディアは今迄にある程度日時を予測したり、出現元を叩いたりしていたが、未だその法則性は判明していなかった。

 唯一判明しているのはネビュラは西日本からしか出現しない事。


 メディア本部はそこから推測し、ネビュラの大元となる『何か』は沖縄本島にあるのではないかと予想。

 メディア本部がある東京都から進軍しようとした所、進軍を妨げる様に山梨県でネビュラの大群が出現。

 結果、付近の長野・群馬・埼玉を巻き込む形でネビュラと人類の戦争の最前線となった。


「まあこんな所かな? ……これは僕個人の興味からくる質問なんだけどね?」

「はい?」

「その、デルタは間違いなくオルギアなんだよね?」

「はい……」


 和人には猫又が言いたい事が何となくわかっていた。

 和人もオルギアについて何も学ばなかった訳じゃない、猫又が言いたい事が何となくわかっていた。


「さっき言ったオルギアのどちらにも属さないって事ですね?」

「うん、そうなんだよね。一見エンチャントの様に見えるけど、それはあくまでオルギア自体に対してだ、じゃあイメージかと言われるとそれも違う。全身に纏う、ましてや姿形が変わるなんて聞いたことも無いね」


 猫又が唸る。

 和人はひとつだけ心当たりがあった。


「ネイティブ……」

「え?」

「ネイティブです、父が初めてデルタを見た時一言だけネイティブギアって……」


 和人はありのままを伝える。

 一方猫又は「ネイティブ」と呟いてからまた唸る。


「本当にネイティブギアって言ったんだね?」

「はい、間違いないです」

「うーん、考えすぎかもしれないんだけど、名前にオーパーツエネルギーが消えて代わりにネイティブが入ってるんだよね……」

「オーパーツを元に作って無いって事ですか?」

「もしかしたらね」


 和人は話の流れでネイティブと調べた時に、ネイティブネビュラと出てきた事を猫又に伝える。


「ネイティブネビュラ!? 何でそれを?」

「え、ネットで検索したら普通に出てきましたけど……」

「普通にって、確かに和人は軍入りが決定していたけど、ネイティブネビュラは軍の中でも一部の人間がしか知らない情報だよ!?」

「そうなんですか!?」


 結局この予定外の自体に猫又はそそくさと部屋を出て行ってしまう。


「ふああっ! よく寝たぜー」


 取り残され、唖然とする和人を尻目に欠伸と共にデルタが目を覚ました。

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