表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/25

エピローグ

月曜日予定がずるずると。

 

 あれから二ヶ月が経ちました。

 報酬として差し出す予定だった時間は、今日でもう終わり。


 あの後。

 十数年も動けなかった他のハイエルフたちは、すぐに動くことができませんでした。

 ひょんなことから王子様とのツテがあったので、とりあえずは仮住民として受け入れてもらえましたが……まさか、そのまま移住するなんて。


 復旧作業を手伝っているうちに街の方と仲良くなり、王子様がエルフ好きということもあって、私達は友好的に迎えられました。

 元からいたエルフになんて崇められるように対応され、私達はあの王都で上手く暮らしています。

 もっとも、問題が起きないための多少の線引はありますが。




 そんな友好的な王都でしたが、それでも旅に出たハイエルフは二人いました。


 セレナさんは、罪の重さから投獄されることを望みましたが、噂によると王子様の手によって投獄よりも辛い罰を受けているそうです。

 夜な夜な二人で、なぜか王子様の叫び声のほうが聞こえるらしいですが……本当、何をやっているのでしょう。


 一人はミリア。

 彼女はレスティアさんと二人で冒険者として活動するらしいです。

 ミリアの戦闘スタイルにレスティアさんは邪魔なだけだと説得しましたが、彼女はベッタリと甘えて離れませんでした。

 ミリアも諦めているようで、せめて道連れにと私も誘われましたが、とある理由から断りました。


 そして、私。

 アテもなく旅をしていましたが、今はアースさんが住むという洞窟に来ています。




 アースさん。瘴気にやられてはいましたが、ミリアや同胞たちの回復魔法により一命は取り留めました。

 しばらく休養するということでしたので、あの場所にいることでしょう。


 私はポッカリと開いた空間へと飛び込みます。

 全てを吸い込むような闇。

 もし、この先に知り合いがいるとわかっていなかったら、絶対に飛び込むことはしなかったでしょう。


 魔法を行使して、ゆっくり、優雅にと下へ降ります。

 あの方はどうやって降りたのでしょうか?

 いつものように、身体を犠牲にして突撃したに違いありません。


 そんなことを考えていると、いつの間にか地面に足が着いていました。


『……誰だ』

「リーフです。お久しぶりに……といっても、そんなに経っていませんけど」

『確かに、我らの感覚ではそうだろう』


 久々に見たアースさんは、相変わらず眠そうにしています。

 こちらも見ず、何処に顔があるかわからないほどです。


「……ここは、寂しくないですか?」

『そうだな。唯一の話し相手もいなくなった。元通りといえばそれまでだが、この前は楽しかったぞ』

「私もですよ」

『リーフ殿はこれから何処へ向かう?』

「ちょっとオーク達でも殲滅してこようかなと」


 私を捕えて、十数年も監禁していたオーク達。

 やることがなくなった今、その復讐でもして憂さ晴らしをしようと考えていました。

 それがミリア達に付いていかなかった理由でもあります。


『ふむ。それは面白そうだ。その時は我も呼べ』

「え? でも私はアースさんを倒しては……」

『リーフ殿の魔力なら我を呼ぶことができる。何、認めた人物なら問題ない』

「ありがとうございます」


 作戦では縛り上げた後に水責めの予定でしたが、アースさんが協力してくれるなら話は別です。

 あいつらは押しつぶした後に、切り刻んで溺死でもさせましょうか。


『……悪い顔をしておるな。やはり力を貸すのは』

「いえ全然! 是非お願いしますね!」

『……安請け合いしすぎたか』


 それから世間話を少しして、次に召喚したときに背中へ乗せてもらうことを約束しました。

 これで私もドラゴンライダーですね!


 あとはどうやってオーク共を料理するかを考え、アースさんに教えて頂いた出口へと向かいます。

 あの方から聞いていたとおり、出口までの危険はないですが想像以上に遠かったです。


 そして、出口の下の方に、見覚えのある姿がありました。


「スラリーちゃん?」


 見間違いかもしれないし、ただのスライムかもしれません。

 すぐに逃げてしまいましたが、私にはその姿が最後まであの場を見届けた唯一の存在、スラリーちゃんに見えました。


 出口までたどり着きましたが、その姿は何処にも見当たりません。

 それどころか、辺りはいつの間にか夜になっており、スライムの姿なんか見えるはずがありません。


 さっきのは見間違いだと決めつけ歩き出した時、ここがハイエルフ達に伝わる待機所の近くだということを思い出しました。

 私も二ヶ月、そこに滞在した際に置いていった荷物があったことを思い出しました。


 まるで何かに導かれるようにして待機所へ行くと、何か光るものが池の近くに落ちていました。


「? これって……」


 それはあの方がいつも腰に差していた十手でした。

 同一の物という確証はありませんが、何故かそれは見覚えのあるモノの気がします。

 不思議そうに月明かりへ照らしてみていると、急に池が盛り上がりました。


「キャァァァア!!」


 咄嗟に十手を池に投げつけます。

 しかしそれは、すぐにこちら側へ投擲されてきました。

 風魔法で防御を纏っていたので当たることはなかったですが、その投擲してきた存在が信じられません。


「……え?」

「危ないな。やられたらやり返す。倍返しにしてほしいか?」


 そこには、月明かりに照らされ……全裸の男の人が立っていました。




「え……え?」

「落ち着け。まずは現状把握だ。いいな」


 まず呼吸を整えます。

 しかし、私の心臓は言うことを聞かず、鼓動がどんどん早くなっていきます。


「慌てず焦らず……て、時間が無駄だな。存分に慌てろ」

「なんでですか!」


 思わずツッコミをいれてしまいましたが、このやり取り、間違いありません。


「シャチさん、です……よね?」

「ああ。やり残した仕事があったから帰ってきたぞ」

「仕事、ですか?」

「アフターケアは、不完全だろ?」

「もう! 本当ですよ……おかえりなさい」

「ただいま」


 そうして、あの方は再び私の前に現れました。

 ……身体に大量のスライムを纏って。




「あれから話せば長くなるんだが……」

「まず服を着てください」


 シャチさんは元々、この世界の住民ではない。

 なので女神様という存在と一緒に消えるはずでしたが……この世界に馴染んでしまっていたようです。

 つまり、異物としてカウントされていなかったと。


「それを聞いた時は、俺の存在は何だったのかと思ったよ。あいつ、クライアントのくせに適当なんだぜ? 仕事もこのスライム連中に任せっぱなしで、管理者なのに管理なんかしないし、代わりに俺にやらせるし」

「それでそんなに……って、連れてきていいんですか!」

「大丈夫だろ。こいつらにも休暇は必要だ。ほら、好きに遊んできていいぞ」


 どうやらシャチさん達は、女神様に黙って休暇を取りに来たようです。

 それって集団ストライキなのでは……?


 シャチさんにくっついていたスライムは、それぞれ四方八方に飛び跳ねていきます。

 そして、残ったスライムが一匹。


「あの、そのスライムはもしかして……」

「ああ。この相棒……スラリーと名付けたが、こいつも女神の眷属だったんだと。アースドラゴンという脅威の監視役だったらしい。今は大事な同僚だがな」


 スラリーさんはすっかりシャチさんに懐いているようです。

 あの後、置いていかれたスラリーさんは管理者代行権限を使ってシャチさん達を追いかけたのだとか。


「そういや、あのときの報酬を貰い損ねたな」


 その言葉に、私は今から何をしようとしていたのかを思い出しました。


「……ちょうど、今からとっておきの仕事がありますよ。それに前回の分も上乗せでいかがですか?」

「ほう。内容を聞こう」

「では、仕事を依頼します。今回の仕事は……オーク殲滅陣を完成させることです!」

「心得た」


 私にもようやくわかりました。これが、働ける喜びでしょう!


 その後めちゃくちゃオークを惨殺しました。

 次の仕事は、何にしましょう?

完結済みに次話投稿できないのですね。

後日談も込みで完結です。

ブクマや評価をしてくださった方、何よりお読みになって頂き、ありがとうございました!


お仕事たっのしー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ