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ショートカットするお仕事

あと6話ほどで完結させるつもりが、時間不足に陥ったみたいです。

 

 何事もなかったように、その場にいた全員で移動しようとする。

 が、気になるのはその服装だ。


「ところでリーフ、なぜメイドなんかやっているんだ」

「これはその……王子様が無理やり……」

「僕の近くに普通の女性は置けないからね! 彼女にその服装をさせるのは当たり前のことだよ!」


 意味がわからない。

 何事にも理解の出来ない存在とはいるものだ。あまり気にしないようにする。


「……そうか。リーフ、達者でな」

「見捨てないでくださいよ! 私だって今すぐこんな場所」

「やっぱり僕なんて……」

「ああっ、違います! 違うのでセレナはそのままでお願いします!」

「……面倒くさいな」


 この王子は、あろうことか先程の性悪ハイエルフ……セレナと婚約したらしい。

 生粋のエルフ好きで、初めて見たハイエルフに一目惚れしたとのことだ。

 そうして城まで招いたはいいが、そこでまんまとセレナの誘惑に負けたとのこと。


「ハイエルフが好きな僕のために楽園をつくってくれたのは良いけど、セレナは彼らを生贄にしたかっただけなんて」

「その企みに気づいたのも俺ら騎士だけどな」

「にしても、よくハイエルフ全員が集まったな」


 リーフによると、セレナは長の二番目に強いとのこと。

 そして、厄介なのがマインドコントロールを使える点だ。

 おそらくこの王子も、長やハイエルフの全員はそれにやられたのだろう。


「じゃあ今も王子様ってのはセレナの支配下ってわけか」

「いや! セレナから一定期間離れると効果はなくなる。だから僕とセレナは離れ離れにさせられたのさ!」

「セレナには昔から人を従わせる癖がありましたが、ついにこんなことを……」


 なんでも昔から問題ばかりを起こすハイエルフというのがセレナだったらしい。

 マインドコントロールも本来なら長時間効かないはず。

 だが、何らかの手段で全員を連れてきたと考えられる。

 初めは王子や城の人間すら支配下にあったらしいが、外部の騎士がそれに気づいて助かったとは王子の談だ。


「そういや、牢屋に入れたのはあんたらじゃないのか?」

「牢? そんな場所にセレナはいたのかい? あの場所には誰もいないはずだが」

「お前さんも牢から来たって言ったな。というか、誰がそんな場所に入れたんだ?」


 その言葉を受けて王子を見る。

 静かに首を振られた。


「僕じゃないよ。彼女を見つけたのもただの偶然さ」

「私も覚えていませんが、いつの間にかこの方に助けられたらしいです。どこかに運ばれる最中だったと聞きましたが、もしかしたら他の同胞と同じ場所へ向かっていたかもしれません」

「なら、セレナがそこまでやったのか? 牢に隠れて?」


 まだ疑問は残るが、ここでは結論が出そうにない。

 最上階から問題の地下に行くため、ショートカットをすることにする。


「どうした? そっちは窓だぞ」

「そっちこそどうした。時間は有限なんだ。地下へいくまでどれだけ時間がかかるんだよ」

「まさか……」


 降りるだけだったら苦労はしない。

 下にはスラリーも待機しているんだ。俺じゃなくても死ぬことはないだろう。


「正気か?」

「時間がない。早くしろ」

「ああもうっ! シャチさんはいつもそうですよね!」


 そういって飛び降りた俺に、リーフは続く。

 彼女は風魔法があるのでどうにでもなるだろう。

 しかし、落ちながら見上げるも後の二人が降りてくる気配はない。


「きゃぁぁぁぁぁあああ!!」

「叫ぶの好きだな」

「誰のっ、せいっ、ですか!」


 落下している最中にも余裕はある。

 なんたって下にはスラリーが………………いなかった。


「ぐあっ!!」

「シャチさん!!」


 地面に叩きつけられた俺とは違い、リーフはゆっくりと舞い降りてくる。

 離れた場所からスラリーが近寄ってきたのが見えた。

 伝達しなかった俺の落ち度とは言え、確認を怠ったのはまずかったな。


 やがて俺に纏わりつくと、心配しているのか顔面を中心にウネウネと覆われる。

 かわいいのだが、呼吸ができないので今は辛い。


「フッ、お前は悪く……ゴボゴボボ」

「スラリーさん! 心配なのはわかりますが離れてください!」


 リーフの呼びかけもあってか、スラリーはすぐに離れてくれた。

 そして何を思ったか、今度はリーフの服の中へ潜り込む


「ひゃあ! ちょ、やめてくださぁい……ふぁっん!!」

「いいぞもっとやれ」

「……何かいいましふにゃぁぁん!!」


 良いものが見れたおかげか、多少動けるくらいには回復した。

 さすが癒やしとお色気担当だ。しかし、何か忘れている気がする。


「そういや、二人共来ないな」

「ちょ、やめて……はぅぅ……風魔法――」

「よしスラリーストップだ。ここからが正念場だぞ」


 仕事の士気を高めるためにも切り替えは重要だ。

 スラリーもそれをわかっているのか、最小状態でリーフに張り付き微動だにしなくなった。


「……なんか、納得いきません」


 スカートの裾を握りしめてプルプルとする姿は、怒りを堪えているようにも恥ずかしさを堪えているようにも見える。

 そして、ふと気づいた。


「リーフ、お前その姿で落下してきたのか?」

「? 何を当たり前のことを…………あ」


 今回は真っ逆さまに落下していたので、上からは丸見えになっていたことだろう。

 そして上には、こちらの様子を見ていた男が二人残っていた。


「ああっ……ぁぁぁぁぁぁあ!」

「悶えるのは後にしろ。いくぞ」


 ショートカットした時間もまた有限だ。

 まだ顔を抑えて蹲るリーフを、俺とスラリーで地下まで運搬していく。

 そして、気づいた。


「あ、レスティアが囚われていたの忘れていた」

「……そういやいませんでしたね」


 セレナを捕まえる。

 そこにようやく、忘れられていたレスティアの救出も目的に入ったところだった。


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