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平和的解決をするお仕事

 

 思わぬ再会に喜ぶ暇もなく、いきなり剣を突きつけられる。


「どういうつもりだ?」

「ここで会ったが最後だ。依頼にお前さんは含まれていないが、ここで決着をつけてやる」

「おいおい、お二人は知り合いなのか? にしては物騒だな」


 いま剣を突きつけられているのは俺一人だ。

 分身とスラリーは無事なので、なんとか逃げることは出来る。

 しかし、まずは手を出す前に話し合いだ。


「交渉しよう。お前たちの仕事は何だ? 干渉しないようなら、お互いに平和的解決をしようではないか」

「何でお前さんは上から目線なんだ……まあいい。俺じゃ勝てないしな」

「何だと! お前が勝てない相手なんて、何者だ?」


 もう一人の騎士が驚いているが、ゴズウィンの言葉には少し語弊がある。

 確かに勝てないだろうが、俺も勝てない。お互いに決着がつかないというだけだ。

 いくら土魔法を使えるようになったといっても、こいつの勘を掻い潜って決定打を与えることは難しいだろう。


「俺たちはこの城の警備だな。何でもハイエルフの嬢ちゃんを処分するための戦力らしい」

「……おい」

「そんな怒るなよ。そいつはここに前からいるハイエルフさ。人質のハイエルフが五十人もいるため手を出せないが。他にハイエルフが居れば話は別なんだが…………ん?」

「おう。多分いるぞ。一緒に来たからな」


 何でもハイエルフにしか解けない封印をされた場所が、先程のカプセルがあるという場所だったらしい。

 エルフが何十人か揃えば解除できるかと思って試行錯誤していたみたいだが、結果は芳しくなかったようだ。


 そこにノコノコと現れたリーフ。

 彼女が一人居れば、首謀者なんて処分して人質も解放できるとのこと。


「なら、お前たちはリーフを捕まえにきたわけじゃないのか」

「捕まえるという点では合っているが、目的は人質の解放だな。俺もここにきて初めて知ったことだ」

「おいおいおい、つまりどういうことだってよ」


 情報の秘匿によって、俺たちはお互いを知らずに対立していたらしい。

 つまりだ。


「要約すると、俺は味方だ」

「ふん。なら話は早いな。そのリーフというハイエルフはどこにいる?」

「俺もわからない」

「何だよ。使えねぇやつだ」


 面と向かって使えないやつと言われたのは久しい。

 ゴズウィンの言葉に多少イラついたので、ここは大人の対応でやり込める。


「俺の仕事はリーフをここまで送り届ける。そしてハイエルフに会わせることだ。それを邪魔したのは誰だ?」

「あ? 何いってんだお前さんはあの時……」

「見逃してくれたことには感謝する。しかし、俺もあの時とは違う」


 そうして、俺とゴズウィン、分身体ともう一人の騎士は対立する。


「俺は牢からでてきた。ついでに、セレナというハイエルフにも会ったよ」

「お前さん! そいつは!」

「ああ……今の話を聞いてわかった。奴をブッ倒しに行こうか。決着はそれからだ」


 レスティアは捕まり、リーフの居場所もわからない今、無駄な時間を過ごす余裕はない。

 ここは手っ取り早く勝負を決めることにする。


『アース、聞こえるか!』

『……ん? 我を呼ぶのは人間か』

『ああ! 今すぐ俺の場所へ来てほしい。それと、リーフの居場所がわかるか?』

『フン、人づかいの荒い奴め。今すぐは無理だな、コヤツらともう少し遊ばせろ』


 ……遠くの方でブレスの音がする。アースはまだまだ集まってきた人々と戯れているらしい。


『わかった。リーフの居場所だけでも教えてくれ』

『あのハイエルフのことか。ふむ……我を呼んだ魔力は、城の上から感じるぞ。細かい場所は我が友に案内してもらえ』


 そういって念話が途切れる。

 話を聞いていたわけでもないのに、さも「ついて来い!」というようにスラリーが俺から離れて先導しだした。


「おい、黙っていたかと思えば、そのスライムは……」

「安心しろ、頼れる仲間だ」

「でも魔物なんて信用できねぇだろ……」

「あ? スラリーを馬鹿にするのかお前。名前もないモブの分際で」


 ゴズウィンに隠れて空気だったが、もう一人の騎士もスラリーを馬鹿にするなら容赦はしない。


「誰がモブ男だ! これでもゴズウィンと並んで腕の立つ俺を……」

「せっかく平和的に収めたのに、痛い目を見せないとわからないらしいな」


 そういってスラリーを呼び寄せ、もう一人の騎士にけしかけようとする。


「おいシャチさんよ。それくらいで勘弁してくれ。ほら、ハンスも謝れ」

「くっ、なんだこのスライム。威圧感が半端ねぇぞ」

「何だ。ハンスさんはスライムにも怯えるのか」

「テメェ!」

「おいおい、シャチさん。俺たちが悪かった。ハンスも謝れ」

「でも俺は……」

「謝れ」

「くっ、悪……かったよ」


 心の友スラリーを馬鹿にされたため血が昇っていたが、俺も大人気なかったかもしれない。


「いや、わかればいいんだ。じゃあいくぞ」

「行くって何処にだ?」

「この城の最上階だとさ」


 そういって、三人プラス、スラリーと分身体で真上を見る。

 そこそこ高さがあるその場所は、移動だけで時間がかかりそうだ。


「シャチさんよ。お前は何処でその情報を……」

「そうだな。俺には仲間がまだいるんだよ。信用できるぞ?」


 意趣返しとして、スラリーを撫でながらハンスを見る。

 顔を逸らされた。


「ま、目的が一緒なら集まって行くか」

「だな。ゴズウィンは話がわかるやつだ」

「……はいはい、どうせ俺はカタい奴だよ!」


 その言葉を嘲笑うかのように、スラリーがプルプルと震える。

 そして、俺とゴズウィンの場違いな笑いが周辺に響き渡った。

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