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引きこもりは禍鎧を着込んで  作者: ウツウツ
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突然の来訪者

『ちょ、ちょっと!

何をやっているの、リア!!

あんた、自分が何をやったのか分かっているの!?』


ゆっくりと鎧の腹部にダンジョンコアが沈む様子をクッキーは慌てた様子で反発した。

鎧自体はビクとも動きはしない。

それが返って不自然さを増している。


異物が自身の身体の内に沈み込んでいるのだ。

何か反応をする事が自然だ。


「当然です。

ホロウ様の鎧がこれで強化されることは間違いないでしょう」


自信満々な表情を見せるリア。

そう、彼女は鎧がダンジョンコアに触れれば何か起こるだろうと予想して押し付けたのだ。

鎧にダンジョンコアが沈み込んでいても結果が良ければ良いと考えているようだ。


「リア、たしかに主の防具を強化する事には賛同したが、加工方法はこれであっているのか?」


賛同はした。

しかし、その加工方法や過程を知らないマーダはリアに確かめるように聞いた。


「そ、そうです!

押し付けるだけで加工したとは言わないと思います!

もしかして…失敗とかしたり…しちゃうんじゃ…」


ラナウィも心配そうに、そして脅えたように声を震わせた。

最後には尻すぼみしてしまっている。


しかし、3人がダンジョンコアの加工方法を知らない方が当然の話なのである。


なぜなら、彼女達はこの世界に生まれ落ちたばかりなのだから。


経験も知識もほぼ無い状態の赤ん坊と変わらない。

本能でダンジョンコアの使い方が分かるという事もあるかもしれないが、現在はその様子も無さそうだ。


『"ホロウ"!

何か異変とか異常とかない!?

ステータス上では変化は無さ…んえ!?

何これ、HPとAPに変なマークが書いてある?

これは、あたしも知らないよ。

え、どうしよ?』


クッキーが困惑していた。

鎧のステータスで自分の見知らぬマークが付いている事を見つけたのだ。


それはあり得ない事だと、自分が知らないハズがないとクッキー自身が分かっていることだからだ。


『"ホロウ"?』


その騒乱の中心である鎧は何1つ身動きをしない。

まるで意思を無くしたかのように。


しかし、状況が変化する。



ドシン、ドシン、と何かがぶつかる音とミシリ、ミシリと何かが崩れる音が部屋に響く。


「ぁ、ぁああああああ!!!

来る、来るよ!

敵がぁあああ!」


その音に気付いたのか、ラナウィが叫び始めた。

アビリティ【ノーリスク】の効果もあるのだろう。


鎧が作り出し、このダンジョンの奥へと続く扉にそびえ立つ土人形。

その土人形にヒビが入っていた。

それはまるで背後から強い衝撃が来ているような壊れ方であった。


更に音が、衝撃が増していく。


『扉を開けようとしているの?

魔物にそんな知能は無いハズ…

もしかして…』


クッキーが何かを考え込むように言った。

しかし、事態はそんな悠長な時間は残されていない。


何かが砕ける音、何かの呼吸音、何かの足音。

それは恐怖を呼び起こすには充分だ。


「に、逃げようにも入口には近付けないですよ」


ラナウィは何も無さそうな部屋の入り口を見ながらそう言った。

奥から入ってこようとする何かと同等の危険がそこにあると分かっているからだろう。


「ここで迎え討つか。

何、主の真似事をすれば良い事だ」


単純明解な答えだと言わんばかりにマーダが張り切る。

しかし、それは甘い考えだと言わざるを得ないだろう。


「それは実現的ではありません。

ホロウ様と比べては歴然の差があるのですから。

更にあの人形をこうも容易く崩すとは…

とても私達が相手になるとは思えません。

こちらではホロウ様が動けない今は危機的状況だと思います」


冷静に、そして絶望的な状況だと言う事を理解したリアが淡々と告げる。


『まだ"ホロウ"の【ロイヤルガード】は解けていないからあいつの攻撃は無視しても大丈夫だよ!

でも、気を付けて扉を開けて入って来る魔物は知性があるはずだから』


クッキーは3人に警告を発した。

鎧は(はな)っから傷付かないと分かっている為、心配のしの字も思い浮かばないようだ。


そして限界を迎えた土人形が破片を鎧と3人の前で飛び散った。


最初に見えたのは人を一振りで肉塊に変えてしまうほどの大きさの鉄の塊だった。

それがゆっくりと持ち上げられ見えた者。

そこには明らかに扉よりも大きい牛が二足歩行で入って来た。


「グモォオオオオオオ!!!」


雄叫びと共に巨大なウォーハンマーを肩に抱えた魔物が部屋へと入って来た。

それは獲物を見つけたと言わんばかりの気迫。


「いやぁあああ!!!」


「やるぞ!」


「………」


それは大きな人型の魔物、首から上が牛の魔物だった。


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