勇者
とある場所に部屋の全てが水晶で作られていた物があった。
部屋の形は九角形だ。
それぞれの壁際の水晶の中には9人の者が入っていた。
「天空神テルニーナの属神から話は聞いていたが本当に出たんだな。
俺ら全員が呼ばれるなんて魔王討伐以来じゃねぇか?」
褐色でスキンヘッドに泣く子も黙りそうな強面な男が口を開いた
上半身が筋骨隆々な裸の上に何かの動物の毛皮を羽織っただけの山賊のような風貌である。
濃ゆい緑色の目が周囲の人をおどけるように確かめた。
「そうですね、地母神の。
しかし、顔の無い神が本当に実在していたとは知りませんでした」
盗賊のような風貌の男の確認を返したのはモノクルを付けた金髪で白面痩躯、そしてアクアブルー瞳の若い男だ。
服装は煌びやかで上品な雰囲気を醸し出している。
しかし、顔付きが相手を見下したような雰囲気があるため、どこか冷たい印象がある。
「えっと〜、ブッ殺すのはこんな感じのヤツなんだよね〜」
頭に花飾りを被り、ダボダボな花柄のローブを着た能天気そうな茶髪にオレンジの瞳の女。
その女が満面の笑みで小麦色に焼けた人差し指を部屋の中央に指す仕草をした。
するとその部屋の中央に半透明の大きな全身鎧の姿が浮かび上がった。
「うわっ!
大っきいなぁ!
それに強そう!」
明らかに子供にしか見えない、ふわんふわんな黒髪で目元が隠れた浅黒い肌の者が鎧を見て年相応にはしゃぎ出す。
目は見えないがきっと輝かせているだろう。
鼻息を荒くしている。
「おぉ!
本当に強そうだナ!
腕がなるゼ!」
露出度の高い、秘部を紐で隠すように身体に巻き付けただけのような服装。
木炭のように黒く艶のある肌に細身の勝気そうなドレッドヘアーの明るい赤に黄色い瞳の少女が獲物を見つけたかのような目で鎧を見つめる。
「・・・この人と戦うのですか?」
身なりは綺麗に整えてあるが質素である。
さらに肌は青白く、顔付きはやつれて病弱そうな白髪の少女が怯えを滲み出しながら呟いた。
目には大きなクマがあり、青紫の瞳には輝きがない。
「殺す」
全身に包帯の下から火傷をしたかのような筋肉筋が丸見えの男とも女とも判断が難しい者が短く意思表明を表した。
赤黒い目が爛々とした輝きを発している。
「では、魂はアン様に捧げますね」
口から上を隠し黒いローブで全身を隠した女が嬉しそうに宣言した。
その声は老齢のしゃがれた声だった。
「それじゃ役割は変わらず、かな?
主神、地母神、海神、災神、武神の勇者は前線に。
天空神、賢神、創造神、冥神の勇者はそれぞれのサポートをお願いするよ」
その9人の中で一番小さく幼げな少年がまとめた。
しかし、一番幼い彼がこの9人をとりまとめていてる事に疑問を抱かざるを得ない。
話し方や仕草は幼い彼の見た目を裏切るように流暢である。
見た目は栗毛に茶色い瞳の丸顔だ。
「天空神の、その鎧についての新しい情報ってあるかな?」
「今は〜。
そう、『共存する獣』に居るみたい〜」
「そっか。
グラノから近いダンジョンに居るんだね。
何かする前にどうにかしたいけど、まずは情報を集めたいからそのまま監視をお願いするね」
「は〜い!」
「情報を集め次第、行動に移すから今日はこれで解散!
お疲れ様ー」
すると水晶の中に入っていた9人は次々と消えていった。




