敵か味方か
ホールメンギルド長を先頭に『群勢の巣穴』から凱旋した鎧。
町に入るや否や、冒険者達は状況を察したのだろう。
野太い歓喜の声をで迎えられた。
ホールメンギルド長からギルドの裏の倉庫に来るようにと言われた鎧は持っている毛皮の塊を抱えながら向かった。
向かいながらホールメンギルド長が冒険者達を労う言葉を聞いていた。
盛り上がる冒険者にホールメンギルド長は締めくくりの言葉を言った。
「諸君!
私達はSランクダンジョンの『群勢の巣穴』を無事に制覇した!
よって!
皆に報酬として一律に5000ドンを払おう!
ギルド員と防衛にあたっていた者と援助に来てくれた者にはさらに10パルを!
そして私と『群勢の巣穴』に向かってくれた者に500パルを!
君達はこのグラノの防衛に奮戦してくれた。
グラノ支部ギルド長として皆に感謝する!」
『群勢の巣穴』の時よりも野太い声を上げながら冒険者達の喜びの様子を鎧は聞いていた。
『ねぇ?
なんでソレを助けるの?
邪悪な存在なんだよ?』
呟くようにクッキーが鎧に問いかける。
しかし、その声に元気は無い。
むしろ、存在が希薄になったかのような声音である。
それは何度も問いかけ、鎧から答えの返らないからだろうか?
ブツブツと呪言を吐くかのような雰囲気である。
その様子に男は淡々とした様子でキーボードを叩いた。
『え?
きーぱーそん?
何それ。
わたし、分かんないよ』
クッキーは諦めたかのようにそれっきり、物を言わなくなった。
男は『群勢の巣穴』に居た巨大な蛹を倒して現れた人ならざる少女3人を見下ろした。
魔物の一種と思い、クッキーの言葉に従い倒そうとしたが、ホールメンギルド長の態度と最後の呟きが気になっているのだ。
このゲームに必要な者。
男はそう考えたのだ。
いつ必要になるかはゲームを進めていけば分かるだろう。
クッキーは殺せと言う。
何故か?
もしや、本当はクッキーの言う通り魔物の一種なのだろうか。
それなら、【ブック】の情報を埋める為に倒したい。
少女達から新しいアビリティを覚えられるだろうから。
しかし、3人だけを倒してもダンジョンボスのように情報は埋まらないだろう。
それなら群れの場所を案内させてから・・・
ーミッション《グラノを防衛せよ!》クリア
ークリア報酬・500パル5000ドン
まだ、少女達が敵だと決まった訳ではない。
敵なら躊躇なく潰す。
ホールメンギルド長の変化した容貌から何か関係があると思う。
少女達の何がホールメンギルド長をそこまでさせたのだろうか?
ホールメンギルド長の口から何か情報を得られるならば良いのだが。
男はそれだけを決めてギルドの裏にある倉庫の扉を押し開けた。
「ぅ、ぅん」
その時、少女の1人が呻き声を上げ、薄く目を開けた。
その目の前には不気味な兜があった。
少女は声もなく、静かに気絶した。
思えば、この少女達も姪と同じ三つ子だ。
偶然、ゲームの設定と重なった点。
鎧はホールメンギルド長が来るまで、いや、男が満足するまで少女達を一時的に護る事にした。
男は淡々とキーボードを操り始めた。
《予告》
プロテクション




