巨大な虫
男は鎧がダンジョン内を爆走する様子をパソコンの画面を無感情に見ていた。
ダンジョンの入り口付近で他のプレイヤーから難癖が有ったが男は鎧を好きに操作できると分かった時点で先に進み始めた。
ジョブという単語に男は興味を抱いていた。
初期ジョブでは選択肢はあまり無いだろうが上位ジョブでは選択肢が広がるだろう。
そう、もっとゲームを有利に進められる。
クッキーが説明しなかったのは、自分がまだその情報を得る前の状況だったのだろう。
ジョブの存在を楽しみにしながら男は鎧を操作した。
指は別の生き物のように動き湧き出る敵に鎧をぶつけた。
そう、【ダッシュ】を使用している鎧にはぶつかっただけで敵を倒していた。
弾けて光の粒子が鎧に追尾していく。
ぶつかって倒せなくとも一撃与えるだけでこと足りた。
【スマッシュ】を使う事さえしない。
これが悪魔教典から覚えた【ナインスシンボル】の能力の一つ、武神ベルベットのシンボルから得た戦闘時のステータス強化の影響だろう。
最初に攻略し、後から名前が分かったダンジョン『枯れた大木』。
そこではモンスタールームでの敵が出現した際にまとめて倒す為、もしくはダンジョンボスの大菌王茸を倒す際に【スマッシュ】を連打したぐらいだろうか?
重厚な外殻の虫のような、いや、虫そのものな敵を蹴り飛ばして倒していく。
敵の数は『枯れた大木』よりも少ないと男は感じた。
最初にダンジョンで何かしらのアビリティを発動させたバンバリオンが最初に敵を殲滅していたお陰なのだろう。
通路は最初の大部屋からは一本道で『枯れた大木』のように迷路のような造りでは無い。
【マップ】で確認すると、左と右の通路も表示されていた。
左は曲がりくねった道だ。
右は別れ道が多い道だ。
今回はプレイヤーが集団でダンジョンを攻略している為か同様に【マップ】に記されていっているのだろう。
その中でも中央、男が操作する鎧が一番奥に進んでいる。
ふと、最初の大部屋の方を見ると沢山の敵の印が増えていった。
そして、三つに分かれた道にそれぞれが侵攻していた。
このままでは、敵の挟み撃ちにでも遭うだろう。
他のプレイヤーと協力して戦うべきか?
それでも男は鎧を奥へと鎧を進めて行く。
男は敵を取り合うよりも、先に行ってより強く、より多くの敵を倒そうと判断したらしい。
男の暴走はモンスタールームでも見つけない限り止まりはしないようだ。
ー【バッドスメル】を入手した
草原に居た虫の敵を踏み潰すと新しいアビリティを得た。
そして、鎧はとある扉を発見した。
『"ホロウ"気を付けて!
あの向こうの扉から大量の邪悪な存在を感じるよ!』
鎧は蹴破るようにしてその扉を開けた。
そこには、大量の巨大な虫がひしめき合っていた。
扉のせいでバンバリオンのアビリティから逃れたのだろうか?
男は躊躇せずにその群勢に飛びかかった。
【ダッシュ】で立ち回りながら体当たりをし、【スマッシュ】でとどめを刺していった。
《予告》
デコイ




