シスタークライヤス
鎧がナルの指示の元、孤児院の中に入ると青の生地に白い刺繍が施されたカープを羽織った肥えた女が殴られたら痛そうな鈍器を片手に立っていた。
その優しそうな顔で物騒な凶器を持っている女にナルは話しかけた。
「シスター、冒険者の人」
どうやら、鎧の前に立つ物騒な女はこの孤児院のシスターらしい。
「まぁ、まぁ、まぁ、その方は冒険者の方なのかしら、ナル?
つまり、依頼を受けに来たのかしら?」
片手に持っていた鈍器を背後に隠しながら女は鎧に尋ねた。
鈍器が綺麗に身体に隠れた。
今だけを見れば凶器がえるかどうか分からないだろう。
『はい!
あたしはクッキー!
こっちは"ホロウ"です!
あなたが依頼主のシスタークライヤスさんなの?』
クッキーが答え、女が依頼主なのかを確かめた。
「えぇ、えぇ、えぇ。
私がシスターのクライヤスと申します。
ギルドから失せ物を探して下さる依頼を受けたのかしら?」
シスタークライヤスは丁寧に話しながら背後の凶器が見えないようにしながら鎧へと近付いて会釈した。
『はい!
"ホロウ"依頼板を出して!』
鎧は抱えていたナルを近くの椅子に降ろし依頼板を【ポケット】から取り出しシスタークライヤスに手渡した。
「あら、あら、あら。
依頼を受けて下さってありがとうございます。
では早速、探して欲しいのですけど、よろしいかしら?」
シスタークライヤスは鎧から鈍器が見えないよう身体で隠しながら依頼板を受け取り本物かを確認した。
『何を探せばいいの?』
クッキーは依頼板を確認しているシスタークライヤスにどんな物を探せばいいのかを聞いた。
何を探せば良いのか分からずには失せ物は探せられない。
本物の依頼板だと確認を終えたシスタークライヤスは依頼板から顔を上げて答えた。
「それは、教典です。
大事な教典を失くしてしまいました。
恐縮ですが教典を探してほしいのです。
この孤児院の何処かにあるはずなのですが、私と子供達では見つけられず・・・
お願いできますか?」
大きな身体を曲げ、頭を下げてお願いをするシスタークライヤス。
その背後にある鈍器が丸見えである。
『本だね!
分かりました!』
「教典ですよ。
表紙に神々のシンボルがあり中央には主神アランのシンボルが描かれています。
では、お願いしますね。」
そう言い残すとシスタークライヤスは鈍器を手にし、部屋から出て行った。
『"ホロウ"あのね・・・
上の方から邪悪な存在の気配がするの。
だから、本を探す前に上に行って!』
「うえにいく?
かいだん、こっち」
腰が抜けていたのが治ったのか、ナルが椅子から降りて階段へと案内を始めた。
クッキーの話のほとんどを理解しているだろうか?
ただ、鎧が上に向かいたいという事だけを理解したのかもしれない。
予告
《アティック》




