物理的な物流
「申し訳ございません。
こちらの完全な形の魔石をギルドは買い取る事が出来ません」
ホールメンギルド長は持っていた球体、魔石を鎧へと返した。
鎧はホールメンギルド長から素直に魔石を受け取った。
『えぇ!?
魔石としては申し分ないはずだよ!?』
クッキーはホールメンギルド長の言葉に噛み付いた。
もし、身体があれば詰め寄っていたかもしれない。
「・・・確かに完全な魔石は初めて拝見しました。
しかし、ギルドで取り扱われている物は魔石の欠片です。
完全な魔石は、ギルドでは価値が付けられない代物です」
ホールメンギルド長はクッキーの剣幕にも冷静に返した。
伊達にギルドの長をしている訳では無いようだ。
荒くれ者が多いギルドではこれぐらいの剣幕は流せなければならないのだろう。
『むぅ。
なら、この魔石を割ればいいの?
それなら、売れるよね!』
品物を割る。
クッキーの単純で商人から見れば絶叫してしまうだろう意見をさらっと言う。
「いえ!
割らずに国に売却をすれば宜しいかと思います。
国であれば、この魔石の価値も判断が出来るはずです」
これにはホールメンギルド長も強く否定をする。
鎧が魔石を掌に乗せたまま、急に掌を閉じたからだろう。
ホールメンギルド長の寸止めのおかげで魔石は無事だった。
『国ってサウスティナに?
でも、お城への繋がりなんて無いよ』
クッキーが城への繋がりがない事に落胆の声をあげる。
そこへ、ホールメンギルド長が提案を出した。
「それでは、ギルドが代わりに売却をしましょう。
仲介代として、売却額の3割をギルドが微収する事となっていますが宜しいでしょうか?」
『それで良いよ!
それと他の邪悪な存在から得た物も売りたいんだけど、良い?』
クッキーはそれに快諾し、さらに条件を付け足した。
強かな女である。
「はい。」
ークエスト《森の異変》クリア
ークリア報酬・500パル
ーミッション《ダンジョンを
5つ制覇せよ!》
ーミッション《クエストを
10つクリアせよ!》
ーミッション《グラノを探索せよ!》
『じゃあ"ホロウ"全部出して!
明日に金額を受け取りに来ます!』
「な!?」
「ひゃ!?」
「うぉ!?」
そして、倉庫は埋め尽くされた。
そう、大量の骨や肉、きのこの傘や魔石によって。
物の放流によってガンデス、ロム、ホールメンギルド長は波に飲まれていった。
『それじゃ"ホロウ"町を探検しよ!
当分の拠点はここだからね!
町の様子を知っていた方が良いと思うの!』
クッキーは面白そうに笑っていた。
そうとうな悪戯っ子らしい。
鎧は静かに倉庫から出て行った。




