グラノ
鎧は森から町の外壁だと思われる物を目指して走る。
その速さは鎧のSPDに関係しているのか全身鎧の鈍重さが見受けられない。
軽やかに走るその姿を男は感情の無い瞳に見続ける。
『やっと町に着いたね"ホロウ"
それじゃ、中に入ろう!』
途中で岩や木を避けて木で造られた壁へとたどり着いた。
森から近付いて行く間に門を見つけていたのだろう。
クッキーの言葉に従うように男は鎧を操作して門へと迷いなく進んだ。
門には槍を持った武装した者達が居た。
何名かは槍の穂先を鎧に向け立ち止まるように叫んだ。
「と、止まれっ!!
それ以上近付くなっ!!」
『な、なんですか!
突然、武器を向けるだなんてあなたたちは失礼ですよ!』
「お、女?
いや、しかし」
男はそんな武装した者達を気にせず、鎧を進めていく。
「お、おいっ!
待て、動くなっ!
このグラノに入るにはこのオーブに触れてからだ」
一人の武装した者が懐から白く濁った不透明な球を差し出した。
画面には白く濁った球がズームアップされた。
カチ。
男はマウスを使ってその球をクリックした。
しかし、球には変化が無い。
画面がズームダウンし、武装した者達が映る。
「変化・・・なしか
ならば、良しっ!
すまなかったな。
ようこそ、最果ての町へ!」
鎧は町の中へと入って行った。
ーミッション《町を目指せ!》クリア
ークリア報酬・500パル
【ダッシュ】
するとミッション《町を目指せ!》をクリアしたようだ。
『むぅ。
"ホロウ"ギルドに行こう!』
クッキーは不満そうな声を出したがギルドへと急かす。
すると奥の建物へ画面がズームアップし、また元に戻った。
男はそのズームアップされた建物がギルドと判断したようでその建物を目指して歩き始めた。
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最近、冒険者達の顔が暗い。
なんでも、森で小鬼や歩き茸が少ないそうだ。
そうすると、魔石なんかの魔物から得る物をギルドに売って生計を立てている冒険者にとっては大問題だろうさ。
『黒い翼』や『炎の剣士』なんかは他の町へと行っちまったようだしな。
こりゃ、冒険者が減っていくかもな。
あん?
なんだ、ありゃ?
森の方から何かが走ってくるぞ?
おいおい、全身鎧姿でなんであんなに速いんだよ!?
しかも、なんだよ、あの巨体は!?
他の門番の奴も気が着いたようで騒がしくなり始めた。
俺達の仕事は魔物の襲撃を報せる事。
そして、初めて会う奴には犯罪を犯していないかある道具を使って調べなきゃいけない。
今日の当番の奴は不幸だな。
あれ、今日って俺じゃね?
《予告》
ギルド