森を抜ける
間者から謎の鎧についての報告が入りました。
『枯れた大木』で謎の鎧を発見したらしいようですが、精神攻撃を受けて気を失ってしまっていたそうです。
謎の鎧の写し絵も報告と共に送られてきましたが、見覚えはありませんね。
全身鎧など、冒険者では珍しいので噂は聞くはずなのですが。
騎士だとしても、この国や周辺の国であのデザインの鎧は知りませんし。
他に考えられることは鎧を着た、もしくは鎧そのものが魔物だという場合でしょうか?
しかし、謎の鎧は『枯れた大木』を単独でほぼ攻略しているようですね。
冒険者か騎士だとすればそうとうな手練れだということでしょう。
魔物であれば、危険としか言いようがありませんが魔物がダンジョンを攻略するとは聞いた事がありません。
つまり、人ではあるはずです。
間者が精神攻撃から正気を取り戻して『枯れた大木』から出ると謎の鎧が町の方向に進んでいると報告が入りました。
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『え?
アビリティを試してみたいの?
う〜ん、そうだね。
いいと思うよ"ホロウ"』
クッキーは男の提案をのんだ。
『まずは【グロウ】からだね!
効果は植物を育てるんだ!』
男はキーボードを叩き、【グロウ】を身近に生えている植物の芽を選択して使用した。
すると芽は急速に成長した。
それは成長過程を倍速で見ているかのような早さだ。
そして、葉が増え、蕾ができ、花を咲かせたと思えば花びらが落ち、そして、いつの間にか受粉したのか、花があった場所には青い果実が実った。
『次は、【ファンジャイロード】かな?
これの効果は大菌王茸の能力を使えるみたいだね。
菌を操る事ができるみたいだよ!
ここでは使わない方が良さそうだね。
ミッション報酬で貰った【ヒール】は怪我を治してくれるアビリティだよ!
・・・今の"ホロウ"には意味がなさそうだね』
そうして、男が操作して鎧が森を進んで行くと視界が開けてきた。
どうやら、森を抜けたらしい。
遠くには木を加工した壁らしき物が見える。
『あっ!
"ホロウ"あそこだよ!
あそこが一番近い町、グラノだよ!
さぁ、早く行こうよ!』
男はクッキーの言葉に従うように鎧を木の壁の方へと走らせた。
《予告》
タウン