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幸運な男
初めまして。
『引きこもりは禍鎧を着込んで』
お楽しみ下さい。
男は昔から運が良かった。
駄菓子を買えば当たりが良く出た。
信号機の赤信号で止まった事など物心着いた頃から一度もない。
じゃんけんでも負けた事がない。
適当に書いたテストの答えが偶然にも合っていた。
幼かった男の密かな自慢だった。
こんな話を聞けば誰だって「そいつは運が良い」と言うだろう。
これぐらいの幸運ならば。
ある日、男と男の父親がお店で買い物をすると抽選券を貰った。
貰った抽選券の枚数は3枚。
お店のキャンペーンで買い物に来た客に配られる代物だった。
一等賞はなんと、世界一周クルーズ旅行!
それを見た父親は勇んでガラポンに向かった。
まず、父親が二回ガラポンを回した。
一回目、二回目共にハズレの白い玉だった。
手持ちのポケットティッシュが二つ増えた。
父親は最後に男にガラポンを回させた。
父親は男の方が運が良いだろうからもしかしたらという淡い期待からだ。
そして、男の回したガラポンから見事、金色の玉が転がり落ちた。
それは一等賞の金の玉だった。
しかし、男は禍福が過ぎた。
《予告》
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