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駆け抜ける少女
もうすぐサクラが咲きそうな三月末。そんな都会の住宅地を駆け抜ける厚着の少女がいた。彼女は追われるように先を急いでいた。タッチの差で追手をかわした彼女は自分のキャッシュカードを人に頼んで現金をコンビニのATMでおろしてもらったばかりだった。手にはそれなりの現金を持っていたけど、逃げなければいけない事情があった。
そうしてこんなことになったのかを思い出すと恐ろしくて仕方なかった。まさか、あんな風に人間の身体をいじくりまわす人たちがいたとは・・・
彼女はさっき人に頼んで買ってもらった紙パックの牛乳にストローを刺した。そのストローを持つ手は人間の皮膚ではなかった。その手は人形のようになっていた。彼女は人形娘だった・・・