4月15日
「だーれだ?」
そんなこと一々聞かなくても分かるのにと思いつつも答える。
「俺のかわいいかわいい幼馴染さんだろ?」
「当ったりー!」
俺の答えに満足したのか幼馴染は手を離し振り返ると満面の笑みだった。
「全く三年生になってもお前は変わらないな」
「ほめ言葉として受けっておくよ」
「ポジティブな奴だな~」
いつものような当たり前の会話に心を落ち着かせながら帰路をゆっくりと歩いていく。
「ねぇ」
「なんだ?」
「やっぱりなんでもないや」
「なんだよ気になるなー」
「当たり前がいいなーと思って」
「そうだな」
「じゃ私今日よるとこあるから」
そういって分かれ道を右へ分かれていく。
「また明日」
「うん!」
走って行く幼馴染を見ているとふと妙な感覚に囚われる。時間の前後が曖昧になるような、世界が揺れるような感覚。どこかでこんな…
ピッ
「…あれ?今何か感じた気がする……。なんだったか?止まったような」
謎の感覚の正体を探り足元を見ていると、視界に影が映る。
「あっ邪魔でしたか!?すいません」
通行の邪魔になっていたのかと思い謝り顔を上げる、と目の前にはロングコートを着た人がいて首を振る。
「気にしないでくれ。なにも君に謝って欲しいわけじゃない。ただ一つ忘れないでくれ。
Show must go on
だ。分かったか?」
いきなり訳の分からないことを言われて困惑していると男は続ける。
「何、別に気にしなくてもいいあくまで調整だ。もう一度言うぞ。Show must go onだ」
そんな分かりきっていること一々言わなくても分かっているのに、と思いながらも返事をする。
「はいはい、そんなこと分かってるよ」
「ならいい」
そう言って男は立ち去っていった。
「あの人結局俺に何の用だったんだろう?」
どこかでチャイムが鳴る
二話目です。