甘え
放課後
今日は朝から雨が降っていた。
ドシャブリ
陽平「はぁー」
翔「元気ねーなぁ!!!」
バシィ!!
陽平「いって!!!!」
翔「やえチャンのコトか?」
陽平「うん・・」
翔「お前、どんだけ好きなんだよ」
陽平「こんくらい」
翔「手で表すなよ;;」
陽平「俺ー、やえチャン幸せにしてぇ」
翔「幸せにするには付き合わないとな」
陽平「帰るか」
ガラガラ
先生「陽平ー、お前、今日日直だからなー」
陽平「やっべ!!!!!!」
翔「ご愁傷様!!おれ、デートだから帰るわ!」
陽平「裏切り者」
翔「まーな!!じゃあな!」
陽平「おう」
はぁ〜
日誌とかダリィー・・・
陽平「せんせー出来た」
先生「はい、帰っていいぞー」
サー・・・
陽平「天気は雨ー・・・」
俺が公園を通ろうとした時。
・・・あれ????
陽平「んー」
目を凝らして
ドシャブリの中
たたずむあの姿は・・・
陽平「やえッ!!!!!?」
バシャバシャバシャ
陽平「やえ?!」
ゆっくり顔を上げた彼女は・・・
やっぱり・・・
やえ「よう・・へ・・い?」
陽平「どうしたの?びしょ濡れ・・」
やえ「ん・・・」
陽平「とりあえず、俺ん家行こう。俺、一人暮らしだから」
やえ「え・・うん」
とりあえず
学ランをやえに掛けて
家に連れて行った。
陽平「あがって」
やえ「うん・・」
陽平「あ、風呂、そこ!大丈夫!!覗かないから!!」
やえ「クス・・うん」
陽平「あ!あと、俺のスウェットも置いておくよ」
やえ「ありがと」
俺は寒くないように部屋を暖かくした。
何が・・
あったんだろう。
キィ・・・
やえ「あ、ありがとう」
振り返れば
火照った君が立っていた。
ドキン・・・
じゃなくて!!!!
陽平「俺のちょっとでかかったね;;」
やえ「あはは、そうだね。デッカイ」
陽平「よかった」
やえ「?」
陽平「なんでもないッ」
ちょっと笑顔になってきた。
俺たちはココアを飲みながら
ソファに座った
それから
何分経っただろう・・
やえが口を開いた
やえ「ごめんね;;なんか・・・」
陽平「あー全然平気。逆にやえが風邪引いたら大変だよ」
やえ「ありがとう。優しいんだね」
陽平「ううん・・」
またやえの顔は切なくなった。
そして
ゆっくり口を開いた
やえ「あたし、振られちゃった。」
陽平「え?」
やえ「本気じゃなかったんだって。」
陽平「うん・・」
やえ「それで・・・お前のコト最初っから好きじゃなかったし、
いい女見つけたからって。。」
陽平「うん・・やえはー・・」
やえ「?」
陽平「まだ。。やえは好きなんでしょ?」
やえ「・・うん・・・」
陽平「どうしたいの?」
やえ「薄々気づいてたヶど・・本気だった。忘れられないよ・うぅ・・」
君はいつになったら
俺を見てくれる?
その気持ちと笑顔を俺に向けてくれる?
俺も・・辛いよ・・
それから
やえはまた泣き続けた。
彼氏でもなんでもない俺は
ただそばに居るコトしか出来なかった。
抱きしめる事も優しい言葉もかけるコトが出来なかった。
ただ君が泣く姿を見てるコトしか
横で寄り添ってるコトしか出来なかった。
俺はただ君の彼氏になれればいい。
そう思った。
やえ「ごめんね;;」
陽平「俺も何も出来なくて・・ごめん」
やえ「なんかスッキリしたよ」
陽平「そう?」
やえ「陽平が彼氏だったらいいのにね。」
“陽平が彼氏だったらいいのにね”
この瞬間
俺の気持ちは我慢を無くした。
ぎゅぅッ
やえ「よッようへい?!」
陽平「・・・好き」
=やえside=
いきなり陽平に抱きしめられた。
やえ「よッようへい?!」
陽平「・・・好き」
かすかに好きって聞こえた
やえ「え?」
陽平「俺、お前が好き。」
やえ「そんなこと・・」
そんなコト
今の状態で言われたら・・
あたし・・
答えられないよ・・
あなたの優しさに答えられないよ・・・
やえ「陽平・・」
陽平「・・・俺、お前が元彼を好きでもいい。かまわない。お前のそばに居たいんだ」
やえ「でも・・そんなの・・いつ、陽平を好きになるかすら分からない」
陽平の力が強くなった
陽平「俺、お前がこんな風に辛いときに抱きしめるコトも出来ないのやだ。
お前が辛いのをただ眺めるなんて。。たえらんねぇよ。。」
やえ「でも・・」
陽平「ごめん。送ってくよ」
やえ「うん」
そんなの違反だよ
一瞬でもあなたに抱きしめられたコトを
幸せと思ってしまった。
この気持ちを放棄して付き合えるなら
投げ出してもいいと思ってしまった。
だけど・・・
帰りぎわ
陽平は手を繋いできた
元彼とも繋いだことないのに・・
その温もりがすごく心地よかった。
でも
陽平?
あなたに気持ちは向いてないよ
1番は違うよ。。
2番目なんだよ。。
やえ「家、ここだから・・」
陽平「うん」
やえ「じゃぁ・・」
背を向けた時
グイ!!
!!?
ちゅッ
やえ「んッ・・」
ぎゅう
陽平「やっぱ無理」
やえ「え?」
陽平「お前が好きでたまらない。」
やえ「・・・」
何もいえなかった。
こんなにまっすぐ好きといってくれたあなたに・・
陽平「お前が誰を好きでもいい」
やえ「うん」
陽平「そばにいたいだけなんだ。わかってる。ワガママって。」
やえ「そんな・・」
陽平「俺が忘れさせるから・・」
やえ「ようへい・・」
陽平「うそじゃない」
やえ「あたしは彼氏が好きなんだよ」
陽平「かまわない。やえが好き。大好き。」
やえ「・・・」
この気持ちに甘えてしまってもいいんだろうか?
陽平は好きだ・・
だけど・・
あたしは甘かった。
陽平「付き合ってほしい」
あなたに甘えてしまった。
やえ「うん」
それから
あたしたちは付き合いだした。
あたにの中に違い気持ちを残したまま。