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貴公子の秘密

掲載日:2026/10/10

「フランソワ様は素晴らしい御方だ」

「ああ、この広大な領地を持つ大貴族の跡継ぎだ」

領地の領民達が褒めそやす


「戦が絶えない時代だが、大学から戻り、領地経営に

防衛にも関わり、昔よりずっと素晴らしい領国だ」


「ああ、綺麗で素敵なフランソワ様…今度の舞踏会で踊って頂けるかしら?」

「私も踊って頂きたいわ」

貴族の娘達も頬を紅く染め、そんな会話をしている。


城の中庭で一時の安息、東屋でお茶をしながら

ため息一つ 小高い丘にある城からは海辺も見えた。


「フランソワ様、お疲れのご様子ですね」


自分と同じか少し年下に見える長い黒髪の少年

吟遊詩人の姿をした者

「…おや、現れたね謎の吟遊詩人だ」


「ふふっ…お元気そうですね」


「領民達は素晴らしい次の当主に大喜びで、貴族のお嬢さん方にも大人気」


「そうかい?」「はい、フランソワ様」

フランソワは手元の甘いタルトタタンを吟遊詩人に差し出す


「あ、ありがとうございます」 


フランソワは嬉しそうな吟遊詩人を見ながら

言葉を一つ紡いだ。


「でも、僕は本当は…僕の本当の父親は平民か、それとも」


「……」

「その事は良く知っているはずだけど、亡き僕の母親が幼い頃から付き合いのある吟遊詩人くん?」

「良く幼い時は遊んでくれた」


「この国の主には、本当なら血縁者が継ぐべきだ」


「貴方の父親は可哀想な貴方の母親と結婚して、貴方を息子にして

そして、貴方は既にこの領地を護り、導き豊かにした

それで十分なのでは?フランソワ様」


「私は長い長い年月の果てに滅んだ国々を沢山見ました

豊かに繁栄させるのは容易でなく、国が滅び去れば意味などない」

「民が略奪、暴行されて…更には奴隷として連れ去られた時代も」


「案外と…ね 

それにその事、その秘密は父君も承知されてます」


「秘密か…そうだね、僕が父親の実子でない事は父親も知る秘密」


「はい、フランソワ様」


「ねえ、吟遊詩人…君、本当の年齢は?」

少年の姿の吟遊詩人をじっと見つめるフランソワ


「奴隷として連れ去られた?いつの時代?

 数百年前以上じやないか!

かなり昔の話だよね、吟遊詩人くん」


「ふふっ、でも、略奪行為は今も変わらいですねフランソワ様」


「勿論、秘密です…まあ、魔物なので忘れました」


「一曲所望されますか?フランソワ様」

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