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3/4

邂逅

「ランチ、どうしようかな」


午後一時半に差し掛かろうとしている土曜の昼間。

授業が午前で終わったので、久方振りに街に繰り出して店を探しに来たのだ。


「新規開拓か、それともド定番か」


体験したことないジャンルに挑むのも悪くない。

しかし、変わらぬ味も素晴らしい。

うむ、悩ましい。


「・・・・・あぁ?テメェ、今ぶつかったよなァ?」


呆れる程に平穏なことに思考を巡らせていると、遠くから罵声が聞こえてきた。

声の方を見ると、碌でもなさそうな輩が誰かに絡んでいた。

三人が一人を囲んでいる。

誉とか無さそうだ。


「いえ、貴方がたが勝手に打つかった・・・・・」

「文句があるっててかぁ!?加害者意識がねぇみてぇだなぁ!?」

「こりゃあ、少しばかし恵んで貰わねぇと割に合わないよなぁ!?」


何という事だ。

こんな白昼堂々に当たり屋なんて。

しかも、古典的な方法だ。

治安と品性を疑うぞ。


あのまま放っておく訳にもいかない。

ズカズカと早歩きで三人と一人の下へと向かう。


「少し良いですか?」

「あ?テメェ、急に割り込み・・・・・何だこのテレビ野郎は!?」


ああ、身体的特徴を貶められた・・・!

何方かと言うならばファッションセンスではあるが。

でもなぁ、これ無いと心が震えるんだよ。

幼少期とか自分の知らない内に凄いことがあったか分からないが、被ってないと手ぇ震えるぞ。


それにこれ、カッコよくない?

カッコよくないかな?

カッコよくないかもな・・・・・。


「えっと、警察を呼んだので今の内に逃げないと、大変な目に合いますよ?」

「・・・・・・はァ???」


うお、とんでもなぇくらいガン飛ばしてきてる。

怖い・・・・・。

あと、本当にちゃんと警察呼んでおけば良かった。

感情に任せて突撃したことによる弊害が・・・!


「おおじゃあ、コイツがオレに打つかってないと証明できんのかよぉ?」

「・・・少なくとも、他の通行人の方々が証明してくれるかと。それに監視カメラもあるでしょうし」

「・・・・・ぐっ!」


良い塩梅に苦しんでくれている。

このまま撤退してくれれば助かるのだが。

喧嘩とかって良くないし、争いとか嫌いだし。


此処で改めて、被害者らしき人の様子を見る。

パーカーにマスクをしており、瞳だけが見える。

夏空よりも爽やかで綺麗な色をしており、宝石を想起させた。

身体付きと声色により女性だと理解するのに時間はあまり必要でなかった。

さして怯えてないようだが、それでも寄ってたかって虐めるなんて、マジで許せぬ。


「そーかそーか、警察を呼んだのか」

「ええ、はい。なので、出来ることならば彼女から離れて貰えると・・・・・」

「だったらァ!ソイツらが来る前に痛めつけりゃあ問題無いよなァ!?」


ニヤけ面で大振りの右を仕掛けてきたので、両手で受け流し、アッパーをブチ撒ける。

顎を押さえながら涙目で悶えている。

どうしてそんな酷いことするの・・・・・?


「な、何でそんな事するんですか・・・!?」

「て、テメェ、よくも・・・・・!」

「あぁどうしよう!?貴女、ちょっと退がってて下さい!」

「りょ、了解ですわ」


彼女が少し離れたところで、三人に囲まれる。

彼女と立場が逆転してしまった。

喧嘩自慢相手なら負けぬと自負しているが、囲まれているのが厄介。

ワンチャン死ぬかも。


「ガキが・・・舐めてると潰すぞ・・・・・!」

「変な被り物してるクセによぉ!」

「ぶっ殺して鳥の餌にしてやるからなぁ?」

「そんな、此処って治安悪かったかなぁ・・・・・・?」


平凡な治安をしていたと思うのだが、こんな人間を見掛けてしまうなんて。

全く以って悲しい限りだ。

・・・・・でも、こんな感じだったかもしれない。


「顔面へこませてや・・・・・らぁっ!?」


ナイフを取り出して掴み掛かってきたので、足を引っ掛けて転ばせる。

無防備な背中に踵落としを喰らわせると、カエルのような声を漏らした。


「背中がガラあ———」

「危ないじゃないですか、刃物なんてッ!」


背後からの刺突が飛来してきたが、ノールックで腕を掴む事で静止させることに成功。

素早くもう一つの手で掴み、一本背負いを行う。

えらく不恰好な形での猿真似だが、上手くいったらしい。


落ちてたナイフを手に取る。

所謂、バタフライナイフというヤツだ。

このナイフ使ったトリックが中々にクールであり、昔ドラマでも使われたと聞く。


「な、何だコイツは・・・・・!?」

「テレビマンですよ、物理的な」


残り一人もナイフを持っていたので、今しがた手に入れたナイフを投擲して弾き飛ばす。

手が大きくブレたことによる隙を見逃さず、急接近。

胸倉と腹の辺りを掴み、万力が如き力を込めて無理くり回転させて引っ繰り返す。

地面へ勢いよく落ち、そのまま悶え始めた。


「さて、これで大丈夫・・・・・」


何とかかんとか、無事に争いを終えることができた。

これで彼女も一安心だろう、

息を深く吐き、振り返る。

そこには衝撃的な映像が広がっていた。


「三割痛ダダダダダ!?」

「・・・・・えっと、これをこうすれば」

「五割痛ダダダダダ!?!?」

「あら、上手くいきました!」


被害者であった彼女、踵落としを喰らってダウンしていた人に関節技を決めている。

しかも、雰囲気的に締め技初心者らしい。

ルーキーで此処までの締めを・・・・・!?

才覚クソデカガールだ。


「あの、終わりましたよ?」

「・・・・・あ、ええと、はい!離しますわ!」

「は、ハァハァ・・・!クソ、テメェらズラかるぞ!」


苦しんでいたのはリーダー格らしい人だったようで、二人を連れてそそくさと逃げていった。

此方側は完全なる無傷だし、平和的解決といっても差し支えないぞ。

勿論、冗談であるが。


「・・・・・それじゃあ、気を付けて下さいね」

「ま、待って下さい!」


このまま帰るとしたが、呼び止められてしまう。

やはり、ではあるが。

何となく止められるとは思ってはいたが。


「お、御名前を!」

「・・・・・名前、ですか?鬼灯堂名花です」

「名花さん、とお呼びしても?」

「構いませんよ」


どうしたのだろう。

御礼でもしてくれるのだろうか?

そうだな、菓子なら嬉しいが、あまり受け取りたくは無い。

絡まれている人を助ける、人間として当たり前の行動だぞ。


「あの戦い方は何処で学んだのですか!?」

「え、えっと、こういう人助けをしてたら自然に」

「詰まり、独学ということですか!?」

「は、はい」

「それは、素敵ですね・・・!」


興奮しながら手を掴んで、次々と言葉を並べていく。

思ってたのと違うぞ。

別に大丈夫だが、どうしたのだろう?

こういう戦闘を始めて見たのでテンション上がっちゃったのだろうか。


確かに生のバトルなんて、普段肉眼で見る機会は無い。

しかもテレビを被った青年によるもの、だ。

そりゃあ色々気になってしまうか。


一通り話し終えると冷静になったようで、慌てて手を離して頭を下げる。


「申し訳ありません、はしたない真似を・・・・・」

「いえいえ、好奇心は人間が持ち得る素晴らしい感情の一つですから」

「そ、そうですか・・・?あ、それと何が何でも御礼をしなくては!」

「何が何でも?」


聞き捨てならない台詞だ。

何が何でも、なんて言われてしまったぞ。

恐る恐る、彼女の顔を確認してみる。

めっちゃキラキラしてる。

マジだ。

マジで何が何でも御礼するつもりだ、彼女。


これは不味い。

あんまり重過ぎなくて、明日以降に響かず、インスタントに終わる御礼を考えなければ・・・・・!

エゴによる人助けでこんなに感謝されると、めちゃむず痒いし・・・・・!


えーと、そうだな。

適度な感じの御礼か。

・・・・・よし、思い付いたぞ。

今にピッタリな礼を。


「何が何でも御礼をしたいと言うなら、そうですね・・・・・」




—————————




「お待たせ致しました!ツインチーズバーガーセット二つです!」

「ありがとう御座います」

「有り難く頂戴致しますわ」


店員からトレーを受け取り、各々の取り分を分配する。

最も短絡的でインスタントで重くも軽くもない礼、それは昼飯代だと考える。

時間帯も相まり素早く礼を返すことができ、丁度いい重さの感謝を伝えることができる。

故に、ランチを奢って貰うという行為を礼として頂いたのだが、大丈夫であろうか?


ちらりと、彼女の方を観察してみる。

拙い手付きで包装を開き、ハンバーガーをじいっと見詰めると、意を決して齧り付く。

五度目の咀嚼を終えると、笑顔を満開にさせた。

・・・・・初心者なのだろうか?


「ハンバーガーは始めてですか?」

「あっ、はい!わたくし、このような御店にはとんと縁が無くて・・・・・」


ふむ、成る程。

端的に言えば、彼女は御嬢様なのだろう。

気品さが隠しきれていない言動に先程の台詞。

箱入りの令嬢だと考えれば、この怪しげなスタイルにも合点が行く。


とすれば、何故彼女はこのような恰好をしているのか。

答えは簡単。

御屋敷を抜け出したのだ。

よくある話だろう。

閉じ込められるのが嫌になって、飛び出して外界を楽しみにきた。

そして、このような事態になったと。

支払い時にカードを出した時点で気づくべきだったか?


「美味しいですか?」

「はい、とても!機会があれば幾度でも訪れたいです・・・・・!」

「それは良かったです。そうだ、ナゲットのソース交換しません?」

「シェアですね!勿論です」


自分のはマスタード、彼女はバーベキューソースだ。

ナゲットをバーベキューソースにディップし、口へ運ぶ。

超旨し。

この酸味が堪らないのだ。


さて、どうやらこの御嬢様は俗世に疎いようだ。

習い事が辛いとか、単純に外の世界が気になったとか。

理由はともあれ、彼女は此の世界へ舞い降りた。

であるならば、少しでも多く楽しんで貰おう。

最たる問題は、どうやって今後の遊びに付き合うかだが・・・・・。


「ところで、えーと、名前を聞いてませんでしたね」

「・・・・・あ、藍杏(アイアン)サクラと申します。藍色の杏子で藍杏です」

「サクラさんですね、改めて宜しくお願いします」


分かりやすく口篭った。

つまり、偽名だ。

藍色の杏子か、素敵な感性だ。

パッと思い付かないぞ杏子なんて言葉。


「サクラさんは格闘技とかに興味があるんですか?先程、根掘り葉掘り聞こうとしていたので気になってしまって」

「恥ずかしいところを見せてしまいましたわね・・・・・。締め技も見られてしまいましたし」


恥ずかしい、とは言うが。

趣味を持つのは良いことだ。

人生的に大きなプラスだ。


「でもサクラさん、綺麗な締め技でしたよ」

「・・・そうでしたか?」

「リップサービスと御世辞はしない主義なんですよ、経験者ですか?」

「いえ、プロレス番組の見様見真似で締めましたわ」

「センス大アリですね!?」


一応聞いてみたが、やはりルーキーらしい。

にしては筋がアリアリ過ぎる。

毎日のように視聴でもしてないと普通は出せないぞ?

超絶ファン、或いは。

武術の天才。

もしかすると、自分は原石を見つけ出してしまったのか?


「・・・・・で、でも、わたくしは御母様と御父様から淑女たるように言われてるいるので———」

「レイピアとか、とっても品ある女性に似合うそうじゃないですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・ふむ」


顎に指を置き、考え始めたぞ。

すっごい良い案が出てしまった、といった様子だ。


「名花さん?」

「はい」

「もし、もしもですよ。わたくしが、武術を習い始めたらと考えて下さい」

「考えました」

「・・・・・どうですか?」

「スッゴイ素敵だと思います、貴女ってレイピアとか似合いそうですし。それに、淑女とは作法や外見、趣味で決まるものではないでしょう?」

「!!!!」


実際、スマートな武器とかが似合うスタイルをしている。

レイピアや杖剣、後は蛇腹剣。

武芸の才覚もあるように見えるし、成長したらクソ強御嬢様になるぞ。


彼女、如何やら両親の教えもあって自身の欲を抑制していたらしい。

それを少しでも合法的手段で解放できれば良いなと考えての助言をしたつもりだが、上手く行っただろうか?

あまり真に受け過ぎないと良いのだが。


「名花さん!」

「はい」

「わたくし、思い至りましたわ!」

「何をですか?」

「淑女とは魂の在り方だと!」

「・・・・・そうですね!」


あれ?

何か雰囲気変わったな?

風向き、ヤバいことになるかな?


ちょいとばかし自信無さげの様子だったのに、どんどんと瞳の綺羅星の光が増していく。

良い傾向だと信じたいが、信じたいのだが。


「故に、どれだけ強者を求めても問題はありません!心に品位を宿していれば!」

「・・・・・まあ、そうですね。他人に迷惑を掛けない範囲であれば!」


概ね大賛成だ。

うむ、うむうむ。

どれだけ、という言葉が引っ掛かるものの精神に重きを掛けるという意見には賛同しかない。

まあしかし、プライベートくらいは自由でも良いのではないだろうか。


確かにバトルジャンキー候補生であるが、それでも御嬢様だ。

常識や良識は習得済みだ。

それに、立ち振る舞いも綺麗だ。

あまり心配すべきでは無いかもしれない。

彼女のこと、信じよう!

・・・・・もしかすると、両親は彼女の此の狂気性を看破していたから、淑女を命じていたのかもしれないけど!

心の底から信じよう!


「ふふ、何だか楽しくなってきましたわ・・・!家に帰ったら二人に相談してみます!」

「そうですね。人生は一度切りなんですから、やりたいことをやらなきゃ。勿論、良識に沿う形で」


再三、さりげなく安全性を説く。

一応、一応だ。

セーフティだ。

まさか、全国から強者を集めて地下コロシアムで大会を開くなんてことしないと思うが。


「・・・・・いつか、です」

「サクラさん?」

「いつか、わたくしと」


手を包み込むようにし、顔を覗き込む。

上気しているように頬を赤に染め、潤んだ瞳で自分の瞳孔を埋め尽くす。

半ば熟した空気を吐き、極限まで柔らかく語る。




「死合って下さいますか?」




最後の頁が間近だというところで、漸く察した。

彼女は根っからの戦闘好きである。

抑圧されていた欲望はいつか悪しき方法で爆発していたかもしれないが、兎も角としてそれを解き放ってしまった。


「ま、前向きに検討します!」

「!!!!!!」


断るわけにいかない。

とすれば、曖昧な言葉で誤魔化す他ない。


「・・・・・ああ、曇天が消えたような、木漏れ日と微風を浴びるような、真夏の雨に濡れるような、素晴らしき心持ちです。今ならわたくし、何でも出来そうです!」

「そ、そうですか。それはまた、良いことですね」


不味い、本当に不味い。

まるで因習村の祠の上でタップダンスしてる気分だ。

何処かで暴発する筈だった御嬢様のベクトルが此方に向きかけている。

こ・・・こんなことが許されてええんか・・・・・!


待て。

まあ座れ。

あくまで彼女は戦闘に興味がある可愛らしい御嬢様。

そして、俗世間に疎いという属性がある。

であるならば、どうにかなる方法は只一つ。


戦闘へのクソデカデザイアを消す程の面白いことを体験して貰う・・・・・!

ゲームセンター、カラオケ、ボウリング、その他エトセトラ。

如何なる手段を使ってでも異なる趣味を作ってやる。

でなければ、クソ雑魚の自分と才覚アリの彼女が戦うことになってしまう・・・!

今は良いものの、いつかボコボコにされてしまう!


「・・・・・・さて、サクラさん!そう言えば凄い楽しそうな施設が近場にあるのを思い出しましてね!時間があれば共に行きたいのですが!」

「!? そ、それは、逢引きということでしょうか・・・?」

「そうなり、ますかね・・・・・?」


細かい事はどうなっても良い。

今の最大目標は彼女に新たな世界を見せること。

残ったハンバーガーをコーラで流し込み、決意を固める。


自分の物語は、此処からだ・・・・・!




—————————




「・・・・・という事で、気掛かりな戦闘欲を誤魔化す為に初の外へ出向いたわたくしを名花さんは見つけ出し、共に逢引きをしたということです」


クラスメイトに囲まれた彼女が馴れ初めを話しているのを眺めつつ、昔の事に思いを馳せる。

彼女との再会時は色々有り過ぎて思い出す暇が無かったが、このようにして彼女は戦闘狂として目覚めたのだった。


あれ?可怪しいな?

これ、半分くらい自分の所為では無いか?

でもあんな衝動持ってたら、いつか何処かで爆発すると思うし・・・・・。

是非も無し!

人生四十五年で考えよう!


「貴女のお陰で完全完璧に思い出せました」

「ふふ、光栄ですわ。次の死合はいつに致しましょうか?」

「それは後で協議するとして。ツバキさん、貴女嘘ついてましたね?」

「はて?何のことでしょうか?」


しらばっくれちゃってぇ・・・・・!

キラキラ瞳で訴ってきちゃってぇ・・・・・!

自分が彼女のこと知らなかったら、騙されてるぞ。


「流石にゲームセンターでチェーンデスマッチはしてません!」

「プリクラは本当ですわよ?」

「・・・・・確かにそれは撮りましたけど、カラオケで電撃デスマッチはしてません!」

「デュエットは本当ですわよ?」

「・・・・・歌いましたけど!皆さん、彼女に騙されてはいけませんよ!」


クラスメイトの方を向き、熱心に語り掛ける。

幾ら超絶可愛いとは言え、信頼に関しては此方に利がある。

二ヶ月程だが、それでも微かな絆とかがある。



「うわぁ・・・マジかよカップル確定じゃん・・・・・」

「アイツと付き合う?男選ぶ目ぇ無いんじゃないのあの子」

「ヤバいやつ二人だし、お似合いなんじゃなーい?」

「オレの初恋が終わった———」



あぁ、何か駄目かも。

騙されてはないけど、カップルだと信じ切ってる。

クソォ・・・!

ちょっと三、四時間くらい一緒に遊んだだけでしょうがい・・・・・!


「ところで、死合の方は・・・?」

「約束は破れません、以前と同じ曜日と時間に会いましょう。命を失うのは基本無しで!」

「・・・・・!!」


流石に契りを反故にする程に落ちぶれてはいない。

それにだが、成長していく彼女を見ていくというのも悪くない。

毎週一回程度であれば適度な運動済むやもしれぬし。


自分の台詞に反応し、蕩けた表情になる。

あまり外行きではないような姿だ。

顔に両手を添え、骨の髄まで喜んでいるようだ。


「わたくし、これ程までに幸せで良いのでしょうか・・・?」

「人間には幸せになる義務があるんですから、それくらいが丁度良いですよ」


私立珪碓(けいうす)学園一年生、鬼灯堂名花。

人生十六年目にして、とんでもない人に目を付けられてしまった。

だが、少なくとも何も映らないテレビよりは楽し気な学園生活になるだろうし、案外良いのかもしれない。






まさか、これを切っ掛けとして。

あんな悲痛な喜劇が起こるとは想像もしていなかった。

ことね・・・・・

興味深い・・・・・

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