第6話 ギャルと令嬢が水着を着る。俺はサングラスをかける
七宮さんが〖水着を一緒に買いに行きましょうか〗宣言をした直後。
タイミングを見計らったかの様にお高そうなリムジンの車が俺達の前に止まり。車のドアが開いた。
そして、車から出てきたのは七宮さん専属のメイドさん達だった。
俺と葵は突然現れたメイドさん達に車内へと押し込まれ。都内にあるショッピングモールへと連れて来られた。そして、現在はというと……
《七宮ショッピングモール》
「行ってらっしゃいませ。雪乃お嬢様。お帰りの際、お出迎えに参ります」
「はい! よろしくお願いしますね。西蓮寺さん」
七宮さん専属メイドの西蓮寺さんという人がお辞儀をするとショッピングモールのスタッフ専用ドアから立ち去って行った。
「七宮ショッピングモールって……ここもしかして七宮グループが経営しているショッピングモールなのか?」
「あら? 気づいちゃいましたか? 汐崎。流石ですわ。汐崎が仰る通りです。ここのテナントは七宮グループ所有地。テナントの殆んども七宮の関係のお店ばかりなんですよ」
七宮さんは周辺にあるお店を何件か指差しながらそう教えてくれた。
「へー、凄いな。七宮グループって本当に大きな財閥なのな」
「……なによそれっ! 殆んどアウェイ。敵地に放り込まれちゃったんじゃない。私達。どうするのよ。光」
隣では俺の右腕にしがみ付きながら慌てふためく金髪ギャル幼馴染みが、半泣きになりながら俺の体を揺らし始めた。
それにしてもわざとやっているのか。葵の奴。胸当たってんだよな………2年前よりやっぱり成長してる? Dはあるか?
「雪乃。親の力を使うなんてアンタ卑怯よ」
「フフフ。卑怯ではありません戦略です。逆に葵さんの方が卑怯では? 2年も放置してたくせにいきなり急接近を計ろうなんて。図々しいにま程があります」
「なんですってー! このムッツリ令嬢」
「は、はぁー? だ、誰がムッツリ令嬢ですか。妄想ビッチ」
「また始まったよ。レスバトル……つうか2人共。俺から離れてからバトルしてくれ」
葵の奴。学校で五月女相手に散々罵り合いをしていたろうに、今度は七宮さんとレスバトルをおっ始めた。
何故か2人共俺を両腕に手を挟んでの罵り合い。
「モテ女っ!……エヘヘ//// ありがとう。嬉しいわ」
「凄く可愛い娘……い、いえ。こちらこそいつも優しくして頂いて……ありがとうございます」
数分後にはお互い罵倒する所が無くなったのか。お互いがお互いを褒め合い2人共デレデレしていた。
この2人仲悪そうに見えて無二の親友同士なんだよな。時たまさっきみたいな謎の口喧嘩を始まるがどうしてなんだろうか?
◇
「いらっしゃいませ~! 水着専門店ハレハレへようこそ~」
葵と七宮さんのデレバトルが一段落つくと、七宮さんに水着専門店なるお店へと案内された。
「若い女の子しかほぼいないだと……おい。ここ良く見たら女性専用の水着ショップじゃないか?!」
「はい? その通りですが。どうかなさいましたか? 汐崎君」
何を当たり前の事を言っているんですの? みたいな顔で可愛らしく小首を傾げる七宮さん。
「だ、大問題だろう。店員さんもお客だって殆ど女の子で……男の客なんてカップルで来てる人しかいないだ。明らかに浮いているだろう。俺」
「はぁ~、では私が彼氏役になって差し上げますわ。汐崎君……その様にすればこんな女性専用の水着ショップに居ても一切浮く事など……」
七宮さんはそう言うと俺の両手を握ろうと距離を詰めて来た。
「そう。なら彼女役ならちゃんと水着を試着して見せびらかしてあげなきゃ彼氏役君が可哀想よね?」
そして、それを阻止するかの様に葵がガシッと七宮さんの右手を掴み───
「な、何ですか? 葵さん。私と汐崎君の間に割って入るなんて何を……」
「喜びなさい。ムッツリなアンタに似合う際どい水着を用意してあげたわ。雪乃。一緒に試着室へ行って着させてあげるわよ。来なさい」
葵は右手には結構大胆な水着を、左手には七宮さんの手を掴み試着室へと入って行った。
「ちょっと! ま、待って下さい。試着室には汐崎君と2人っきりで入りますから~、手を離して下さい!」
「黙りなさい。ムッツリ令嬢、そんなの阻止よ。阻止っ! それよりと早く脱ぎなさいよ。それとも脱げないのかしら?」
「は、はい? ぬ、脱げます! 制服くらいなら……多分」
「その口調。さては普段はメイドさん達に着替えをしてもらってるの……ねっ! まずは下からよ」
「てっ! キャアア//// な、なにするんですか。なんで変た……」
試着室は意外と距離があり最後の方は何を離しているのか聞き取れなかった。
なんか楽しそうにしている様だし着替え終わるまで待ってるかな。
「結局。1人で待ちか……ん?」
俺はなるべく店内に飾られている水着を視界に入れないように雑貨コーナーの方をボーッと眺めていた。
すると紫外線防止サングラスのコーナーに興味を引かれ近付いて何個か手に取った。
「へー、色々種類あるんだな。また集めようかな」
陰日向者の俺に光を遮断するサングラスは合うかと趣味で集めてた時期があったな。
……というのは建前で呪術○戦の五條がかけていた黒の丸サングラスがカッコ良くて気に入ったサングラスを集めていた時期があったんだ。そう中二病的あれだ。
「丸いのもあるのか……似合うかな? デザインも気に入ったから買うかな」
俺は黒の丸サングラスをかけ、近くにあった鏡でどんな感じに見えるのか確めた。
「……良いな。買おう」
俺が購入を決断した瞬間。
「そ、そこの君っ! ちょっと良いっ! 雑誌のファッションモデルやってみない?」
「はっ? 」
突然、スーツ姿の女性に話しかけれた。
◇
《数分後……》
「……こ、こんな格好恥ずかしですのに」
「大胆なのが光は好きなのよ。キラキラした今の私の様にね。光。お待たせっ! 私達の水着の御披露目タイムよっ!」
試着室のカーテンが開いた。するとそこには大陽の様に眩しい笑顔で手を振り。上下白色のワンピースの水着を着た金髪ギャルの葵が俺へと近付いて来る。
一方。七宮さんは黒色のビキニ水着を着ていた。顔を赤面させながら両手で身体を隠して恥ずかしそうに俺の方へとやって来る。
「お、おう……ズズズ」
そして、俺は2人の姿を見た瞬間。先程、あの人から貰った黒の丸いサングラスをかけ視界を塞ぎ。鼻血が鼻から出ない様に頭を上へと向けた。
一瞬しか見なかったがこの2人の水着姿はヤバイ。想像以上の破壊力と可愛さしかない。
次に2人の水着姿を見たら確実に鼻血の鮮血が店内を汚す自信がある程に2人の水着姿は可愛い方。
「……何でサングラスしてるの?」
「いや。お構いまく。気にするな」
「気にするわよ。サングラスなんてかけてたら私達の水着姿見れないわよ。取りなさいよ」
……くそ。葵の奴。本当に2年前の清楚可憐な大和撫子でなくなったんだな。
こんな言いたい事を言うギャルになってしまうなんて。成長してるんだな。良かった。
「何が良かったよ。良いからさっさとサングラス取りなさいよー!」
「は、 心の声漏れてたのか?……てっ! おい! 今、そんな水着を着た状態で俺の身体に密着するな。葵」
葵の奴。俺の顔に手を近付けて無理矢理サングラスを奪おうするなんて……ち、近い。胸当たってんだよ。胸がぁー!
ムニュッ!
……? なんだ後ろからも柔らかい感触が。
「そ、そうですっ! せっかく私が葵さんに水着を着させてくれたんですからちゃんと見て下さい。汐崎く~ん! それとさっきの女性の方について聞かせて下さい!」
七宮さんめ。俺と葵がやりあってる間に背後に回って俺の両腕を拘束してくるとは。簡単に抜け出せるが胸が当たってんだよ。胸がぁー!
「はぁー? 光。アンタまたナンパされてたの? いい加減にしなさいよね。昔からアンタはそうやって私をやきもきさせてえ~! その女の人の事を詳しく教えなさい。光!」
前も後ろもぎゅうぎゅう女の子達に圧迫され。俺は何も考えられなくなってきた。そして、一瞬の隙を突かれてしまった。
「よっとっ! ほら。外してあげたわよ。サングラス……そして、ちゃんと見なさい私の水着姿をね」
そう告げる葵にサングラスは奪われ。葵の胸に頭を抱き寄せられた俺は……
「ぐぉ! お前が可愛いのは昔から知ってるから。こんな大胆な事は止め……ブシュッ!!」
水着を着た葵の胸に大量の鼻血を吹き出し。葵の胸の中で意識を朦朧とさせていた。
「ひ、光。だ、大丈夫? しっかりしてぇー!」
俺が吹き出した鼻血で買う予定の水着は俺が鼻血を吹き出す瞬間に葵がお腹へずらしたお陰で汚れず無事だった。つまり今の葵の状態は……いや。考えるな! 殺されるぞ俺。
……それから俺を凄く心配してくれる葵は昔から変わらない葵のままだったので少し安心した。
その後俺は御詫びとして葵が気に入って着ていたワンピース水着は俺が購入してプレゼントしてあけだ。
勿論。七宮さんの黒ビキニも一緒に買ってあげた。そうしないと不公平に思ったからで、再び七宮さんの黒ビキニを見たいから意図して買ってあげた。わけでは決してない。
◇
「わぁ~、ありがとう。光。大好きよ……友達としてね!……」
「私の分までありがとうございます。大事にしますね。汐崎君……」
「「それでさっきの女の人って誰よ?」誰ですか?」
ハモって聞かれたぞ。くそっ! 水着を買ってあげればさっきの事はうやむやになる作戦がパァーだ!
ちなみに2人の水着の代金は大量に貯まってるヘイヘイポイントで支払った。
「……雑誌のファッションモデルを頼まれた。なんだか知らないがな」
俺がそう告げてさっきのスカウトの件の詳細を2人に教えた。




