第22話 金髪ギャルの幼馴染みを改めて観察する
《光の部屋》
「浴衣の帯が無いから買ってくる?」
「ええ。そうよ。だから今から一緒に呉服店に行くわよ。光」
現在、下着姿葵が俺の方を見ながらウィンクして来た。
因みに何故葵が私服に着替え中のなのでかというと、葵は7月になってから俺の部屋のタンスの一部を占領し。
自分の部屋に入りきらななくなった衣類をその中へと入れ始めたからだ。
そして、何故か下着と夏服がメインに入っており。最近は俺の部屋で着替えをする場合も多々ある。
「つうか……ここ俺の部屋なんだぞ。なんでそんな大胆に下着姿で着替えなんてしてんだよ。たくっ」
俺は目を覆い隠しながらそっぽを向いて葵の姿を見ない様にした。
「良いじゃない。減るもんでもないだし……それに中3までは一緒にお風呂に入って身体洗い合ってた仲なんだしさ~」
エアコンの効いた涼しい部屋で。更に冷たい質感の人肌が俺の膝と首元に広がった。
それは一瞬だった。葵の奴が下着状態でベッドに座る膝の上へと向かい合うように両足を広げて座り、両腕を俺の首元へと絡め。その美乳な胸を押し当てて来ていた。
「お前。何してるの?」
「見てわからない? 光の事を抱き締めてるんだけど? 駄目? 私の事嫌いなの?」
葵は恥ずかしいそうな表情で俺の瞳を見詰めてくる。そして、どこか挑戦的で気恥ずそうな今の彼女はとても魅力的に見えてしまった。
夏は人を開放的にすると良く言うが。葵のこの行動もその一瞬のそれなのだろうか?
しかし、何の為に? 確かに中3までは一緒にお風呂に入っていたし葵の身体は見慣れている。
でもそれは2年前の話だ。葵はこの2年間で金髪ギャルへと変貌し。とても可愛らしい女の子へと成長した。
そんな姿を至近距離で見せられ。あまつさえ下着姿では反応するものもバッチリ反応してしまう。
「……つっ! 鼻血が……出っ……葵。離れろって……」
俺は葵の両肩を掴むと引き離そうするがびくともしない。コイツこんな華奢な身体のどこにそんな力が隠れてんだよ。
「光のその反応。2年前は雪乃にしかしなかったのにね。2年たった今は私の水着や下着姿にも反応する様になっちゃうなんて……もしかして光君って私の事を異性として意識しちゃってるのかな?」
それはあまりにも突然だった。俺の耳元で2年前の大人しかった頃の葵の口調でそんな事を言ってくるなんて。
そして、葵は俺の頭を自身の胸元へと寄せていくと。強く抱き締めた。
「お前……何してんだ? 俺達は幼馴染みなんだぞ」
「幼馴染みならこの位のコミュニケーションは当然よ……本当。光って最高ね。ねえ? 今直ぐにしたい? したくない?」
甘えた声でそんな事を聞いてくる彼女。何を?………いや。幾ら鈍感な俺でも今の葵が何を言いたいのか理解出来る。
こんな状況でするといったら───いや。それをしたら俺達の関係は仲治りした幼馴染み関係でいられなくなってしまう。
「……夜まで待てよ。葵の為にせっかく用意した物もあるんだしな。今は我慢してくれ。夜にそれを渡してからさっきの葵への質問にちゃんと答えるからさ。秋月神社でな」
「へ?……私の為に用意した物?……外で渡してからやるって事?……へ? ふええぇ////光ったら始めてのあれを外でやろうだなんて大胆すぎよぉ////」
さっきの余裕そうな態度はどこへやら。赤面しながら俺の膝で口をパクパクさせてやがる。
外で葵の頭を撫でてやるくらいの事で何をそんなに恥ずかしい事があるんだろうか? よくわからない奴である。
「それよりもTシャツとズボン履けよ。浴衣様の帯買いに行くんだろう?」
葵は現在も俺の膝の上で綺麗な両足を広げて抱き付いている。いい加減離れてほしいんだがな。
「……夜まで待ってあげるわ。その代わり私に服を着させてよ光。私、この時だげ着せ替え人形になってあげるんだから」
「着せ替え人形ってお前。どこのマリンさんだよ……漫画の見すぎだ。ほれ。両手上げて……」
「んっ! ありがとう。光~、大好きよっ!……なんちゃって////」
6月のエアコンが壊れたあの日から。俺と葵は疎遠になっていた2年間の溝を埋めるかの様に1日1日日々が経つに連れて仲が深まっていく。
それはお互い昔からの幼馴染みだから当然だ。という共通認識だからだろうか?
だからこんなお互い身体を触れ合わせてドキドキしながら会話を楽しんだり。一緒に居るのが当たり前な関係になっている。
夏はまだまだ続く。夏休みになれば葵と過ごす日々は増していくだろう。
俺にとって理想的な女の子が大胆な行動で本気で迫って来たら。この夏。俺は自身の理性を保てるのだろうか?
◇
《七宮ショッピングモール》
「葵。ナンパには気をつけろよ。お前帽子とか眼鏡付けないと目立つんだから。俺の近くに……」
「分かってるわよ。光~! 光の腕にずっとくっ付いて離れないからあんしんしなさい、エヘヘ////」
今日は私の誕生日。光を朝からずっと独占出来るのよ~! そ、それにしても光ったら。私のあの誘惑に負けて夜はお外でなんて……普段は素っ気なくて鼻血しか出さない無反応男と思ってたけど違ったのね。光~!
「………」
私は光の横顔をジーッと見つめる。
「………どうした? 葵?」
くぅ~! なによ。その黒い丸のサングラスから覗く綺麗な眼と綺麗な顔は~! それに性格も優しくて紳士的なのよ。もうっ! もうっ! もう~! 貴方は私のドストライクの理想の王子様よ。
そんな顔向けられたらどんな女の子でもドキドキしちゃうじゃないっ!
わ、渡さないわ。雪乃やカレンなんかに私の光を渡さないっ!
………今夜で全てを決めるのよ。織姫 葵っ! そして、明日からは光と甘々で爛れた熱々の夏をエンジョイするんだから。
「フフフ……」
「あ、葵。口から涎足らしてるぞ。ほらハンカチ。大丈夫か? 熱中症じゃないと良いんだけどな」
「へぅ?! あ、ありがとう。光。やっぱり優しいわね……光」
今日で終わらせるわ。作戦《葵レクイエム》の始動よっ!




