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第2話 ギャルの幼馴染みが部屋に侵入して来た

中学生の頃、あおいはおしとやかで清楚なん黒髪美少女だったんだ。


《2年前の6月頃 光の部屋》


ひかり君。進路先の高校は決まったのかな?」


「んー……黎明れいめい高校かな」


「黎明高校? あそこって進学校で入るの凄く難しいんじゃなかったっけ?」


「そうそう。だけどあそこには七宮ななみやさんも受けるって言ってたからな。俺はあの人と同じ高校に行きたいんだ。それに難しい事に挑戦した方が人生は楽しいだろう? 俺も今から頑張って勉強出来る奴に生まれ変わってみようと思うんだよ」


「……七宮さんって、あの茶髪の転校生の? なんで私と一緒って言ってくれないのかな? 光君は」


「葵?」


「決めた、私も行くよ。黎明高校に。そこで私も生まれ変わるからね。光君」



 なんて事が2年前の夏の始め頃、俺は憧れの七宮さんと同じ高校に通う為に、必死に勉強し黎明高校に合格した。


 そして、葵も同じ様に合格しビッチギャルとして高校デビューを果たし、性格も陽キャへと変貌した。


 そのルックスと明るさで黎明高校のマドンナ的立ち位置まで確立していった。


 そんな美少女をほっとく男子などいるわけもなく黎明高校中の男子が葵へと告白していったとかなんとか……噂では今は学年が1つ上の金持ちのイケメン先輩と付き合っているとかなんと。まぁ、俺には関係がない話だな。


 しかし、女の子というものはいつ何時なんどき別人に生まれ変わるものだよな。ほんの2年前まではあんなに大人しかった葵が……


「……ふぅー、涼しい。やっぱり窓を開けて正解だったな」


「ちょっとっ! 私の話聞いてるわけ? 何を無視してるのよ?」


 清楚可憐な幼馴染みが自己主張が強いギャルへと変貌するなんて誰が予想できるんだよ?


「うるさ……(だから部屋の窓を開けたくなかったんだよな)」


 葵の部屋と俺の部屋は隣の同士だ。その気になればお互い部屋を簡単に行き来できる位の近さをしている。


 疎遠ではなかった頃はしょっちゅうお互いの部屋を出入りしていたけど。


 それも思春期真っ只中になり葵を1人の女子として意識し始めてからは止めた。


 なんでも適切な距離というものがあるんだ。俺は凡人で大概の事は人よりも凄まじい努力をしないと成果は出せない。


 でも葵は違った見た目通り頭も良く綺麗な女の子だ。俺と彼女とでは釣り合いが取れない。だから適切な距離を置く必要があった。


「……何よ? うるさいってっ! せっかく心配してあげてたのに」


 本当に明るく喋る様になったよな……それに身体もあんなに成長してしまって。部屋着なのだろうが。


 タンクトップってショートパンツってっ! 黎明高校の男子生徒が見たら興奮しまくりだろうな。


「な、何? その変な目線は? 何で黙ってるのよ?」


「んー、いや。久しぶりに見た葵が凄く綺麗になっててビックリしてただけさ」


「わ、私が綺麗に言って……な、何言ってるのよ。全く光は……もうっ! エヘヘ////」


 綺麗になったと本音ほんねを言っただけなのに何故か嬉しそうだな。


「葵。悪いんだけど。エアコンが直るまでのしばらくの間部屋の窓開けとくからよろしく……それじゃあ」


「エヘヘ//// もう。光は本当にもう……仕方ないんだからぁ」


 俺の話は聞こえていたんだろうか? 顔に両手を当てて嬉しそうに笑っているんだが。


 ああいう。褒めると人の話を聞かなくなるのは変わっていないんだな。


「部屋も涼しくなったし勉強するか……」


 俺は小躍こおどりし始めた葵を放置して、今日分の勉強を再開した。


 黎明高校は進学校だ。俺みたいな凡人は日頃からちゃんと勉強していないと直ぐに置いてかれてしまう。


「来年の三年生分の学習は殆んど終わらせたから。進路先の問題集を解いてかないとな……」


「いやいや。私達まだ高校二年生何ですけど? どこまで先の勉強まで進めてんのよ。光は」


「何を言っている。勉強というのはどんどん覚えて先に進んで行くもんだろう。それに俺は入学当初から成績が悪かったからな」 


「それが今じゃあ。学年10位位まで入ってるからじゃない」


 何だ? さっきから近くで葵の声が聞こえるぞ? 葵の奴。まさか俺の部屋に侵入して来ているのか? いやいやそんな非常識な行動高校生になってまでするわけないか。


「だけど頑張らないと七宮さんに追い付けないんだ」


「相変わらず。七宮さんの話……まだ好きなの?」


 俺はそのいきなりの質問に同様し、葵の声がする後ろの方へと振り向いた。


「いや。好きとかではなく。七宮さんは俺の憧れの人で……何で俺の部屋に居るんだ? 葵」


「窓開いてるからに決まってるじゃない……でも、ふ~ん。七宮さんは憧れの人で好きな人ではないんだ~、ふ~ん。良い事聞いちゃったな~、な~んだ。今までは私の勘違いだったって事なの? エヘヘ////」


 葵はニヤニヤしながら俺を見詰めている。何だ? 何でそんなに嬉しそうなんだ?


「それよりもこんな所三久みくに見られたら誤解されるだろう。早く自分の部屋に戻……うぐ」


 葵の奴。何で人差し指で俺の唇に手を当ててんだ?


「な~に言ってるのよ。これからはどんどん入り浸ってあげるんだからね。光っ! 今年の夏は私と楽しい夏休みを過ごしなさい! これは命令よっ! ニヒッ!」


 彼女はそう告げると明るい夏の大陽の様な眩しい笑顔で笑った。


 

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