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第18話 陰日向者の親友と金髪ギャルの邂逅

昼休みの間。彩葉いろはに小説のネタはないかと聞かれた俺はここ最近の出来事を彼女に話してあげていた。


 ただ昼休みだけでは時間が説明し足りなかった為、放課後に合流し。本屋に立ち寄った後どこかの喫茶店で昼休みの話の続きをそこでする事になった。


《光と葵の所属クラス A組》


(とういうわけで。放課後は友達の彩葉いろはと過ごす事になったから。先に帰ってるわ。葵)


 俺は葵に目線を向けるとスマホ連絡し。放課後の件を伝えたんだが……なんか俺の事睨にらんでないか? 葵の奴。


ピロン~!


 返信早っ!


「………」


〖何であの美人の秋月さんと放課後デートなのよ? 何? 2人は付き合ってるわけ?〗


「何でそうなる。返信返信っと……〖彩葉いろはとはただの親友だ。何でもかんでも色恋沙汰に結びつけるのは葵の悪い癖だと思うぞ〗っと」


「なっ?! なによ。それ~、光の癖に……」


ピロン~!


〖それを確かめる為に私も一緒に本屋と喫茶店に付いて行くわ。色々と確かめなくちゃいけないもの〗


 またまた返信が早い……いや別に付いてくるのは良いけど。ただの雑談や本の感想会だから。今時ギャルの葵にはつまらない時間だと思うんだがな。


《黎明高校 校門前》


「まぁ、秋月さんですわ~、相変わらず。お綺麗な方」

「綺麗な黒髪に美人なお顔立ち素敵です……」

「秋月 彩葉先輩。なんでこんな所に? 声掛けてみるか?」

「アホッ! ファンクラブの人達に拷問されるわ」


 彩葉は目立つ。黎明高校でも優秀な成績で知られ。その見た目も葵や七宮さんレベルとくれば皆が見惚みほれるのも当然だ。


 そんな娘が紫外線避けの日傘を差してボーッとしているのだから男子生徒が声をかけたくなったりするんじゃないだろうか?


「済まん。彩葉、遅れた」


「…………随分と遅かったわね。汐崎君と……その隣は織姫 葵さんかしら?」


「ええ。光の幼馴染みで一番仲が深い織姫 葵よ。秋月さん。よろしく」


「あらそう? 私は汐崎君の一番の親友の秋月 彩葉よ。よろしくね。織姫さん」


 葵は何故か喧嘩越しで。彩葉はその正反対に自然体のままだ。


「汐崎君と一緒に織姫さんが入るって事は織姫さんも本屋と喫茶店に同行するって事かしら? 汐崎君」


「おっ! そうそう。流石、察しが良いな。彩葉は。わざわざ一から説明しなくても。こっちの事を言いたい事を分かってくれるのは助かるよ」


「フフフ。当然じゃない。貴方と私は親友なんですもの」


 俺と彩葉はそんな会話をしつつ本屋に向かって歩き出した。


「な、なによ。その熟練夫婦みたいな落ち着いた雰囲気は? 私の時と話す時はもっと騒がしく騒ぐじゃない。アンタ……」


「お~い。葵。付いてくるんだろう? 置いてくぞ」

「……暑くてボーッとしてるじゃないかしら? 私の日傘の中に入る? 織姫さんに……七宮さんも一緒に行くの?」


「はぁー、はぁー、はいっ! 是非、御一緒致しますわ」


 彩葉が突然、後ろを振り向いた為、俺と葵もそれにつられて振り向いた。すると全身汗まみれの七宮さんが息を切らせながら立っていた。


「七宮さん? なんでここに?」

「へ? 雪乃? なんでアンタがここに居るのよ?」


「……葵さん。抜け駆けは許しません。私抜きで汐崎君と放課後デートなんて」


 七宮さんは葵の両肩を掴むと葵に何かを聞き出し始めた。2人との距離があって何を話し合ってるのか上手く聞き取れない。


「違うわよ。アホ雪乃! それを阻止する為に私は付いていくのよ。アンタも付いて行くなら心強いわ。私とアンタであの2人の真の関係を確かめるのよ」


「あの2人の関係?……話の方向性が全く意味不明なんですけど? 汐崎君と秋月さんはただのお友達じゃないんですか?」


「それを確かめる為にあの2人に付いていくのよ。男女で親友関係になれるなんて……そんなの出来るわけないんだから~!」


 葵は何かを決意したのか。ガッツポーズをしたまま暑い真夏の空に吠えてた。


《駅前本屋》


「ダレユウとリゼルの新刊ね。買って帰らなくちゃ……それにミステリーコーナーも見て行きたいわ」


 七宮さんが一緒に付いて来ることになり。俺達合計4人は駅前の大型本屋にやって来てた。


「彩葉って本当に本が好きだよな。それに良くそんなに本を買う金あるな。バイトでもしてるのか?」


「私が使っている投稿サイトの収益よ。他には土日だけ秘密のバイトを数時間だけしてるのよ」


「収益に秘密のバイト? なんだそれ?」


「フフフ……秘密」


 彩葉はそう言うとクスッと笑った。彼女とは親友ではあるが自分の事はあまり話したがらない。


 まぁ、俺も同じ様なものだからお互い様といえばお互い様なのだが……彼女はどこかの謎めいた不思議な雰囲気がある女の子なんだよな。



「なんか。普通に会話しているだけね」


「当然じゃないですか? 汐崎君と秋月さんが良く図書室で会話をしているのは有名ですし。噂ですと秋月さんにはお付き合いしている先輩がいるらしいですよ」


「へ? そうなの? 私。そんな話全然知らないわよっ!」


「………普段から汐崎君の事で頭がいっぱいだから他の情報がシャットダウンしてるんじゃないですか? 葵さんの脳内のお花畑は」


「な、なんですって?! 雪乃~!」


 ……葵と七宮さんの方はやけに盛り上がってるが何かあったんだろうか?


 駅前の本屋での買い物を終えた俺達は本屋を出た隣に古びた喫茶店が丁度あった為、暑さから逃げる様に入って行った。

 

《喫茶店 カンデラ》


カラン~! カラン~!


「オシャレな喫茶店ね」

「だろう。亭主はいかついけどな」

「なんか不思議な雰囲気の喫茶店ね?」

「西洋風のお店ですか?……並んでるアンティーク風の置物も素敵ですね」


「4名様ですね~、いらっしゃいませ~! お好きなお席へどうぞ~! パパ。久しぶりのこっちでのお客様よ~」


「おうっ! アイナ。いらっしゃい。今日は久しぶりにこっちに来ててな。好きなの頼みな。何でも作ってやるぜ」


 可愛いウェイトレスと厳つい亭主が出迎えてくれた。


「ん~、じゃあアイスラテで……それでな。彩葉。昼休みの話の続きをなんだけどさ」


「ええ。あのカメラマンの人が筋骨隆々だったって話よね」


 俺と彩葉は昼休みの話をし始め。


「……また。2人だけで話しし始めたし。このバニラアイス美味うま

「ですから。この2人はただのお友達ですとなんだも言っていますでしょう……まぁ、この抹茶ラテ。美味しいですね。このお店気に入りましたわ」


 葵と七宮さんは喫茶店カンデラで出されたスイーツを気に入り夢中になって食べていた。


《数時間後》


カラン~! カラン~!


「ご馳走様でした。また来ます。ラテさん」

「「「ご馳走様でした」」」


「おうっ! また俺達が来る機会があったら来てれや。じゃあな」

「またご来店して下さいね~、皆さん。ではではさようなら~」


 可愛いウェイトレスと亭主は俺達に手を振りながら店の扉をゆっくりと閉めた。


「凄い。スイーツが美味しいお店じゃない。なんでこんなお店があるって、今まで教えてくれなかったのよ。光」


「いや。俺もたまにしか来ないし。葵とはこの間まで疎遠だったろう。それにこの店は確か……」


 葵は俺に詰め寄りながら。何故かあの店を今まで葵に紹介しなかった事を怒り始めた。なんて理不尽な幼馴染みなんだろうか?


「気に入りましたわ。このお店。明日にでもまた来店しましょう」


「………明日の来店は無理なんじゃないかしら。だって本屋の隣に喫茶店なんてそもそも存在しないもの」


「へ?……そんな筈ありません。だってさっきまであんな素敵な建物がここに……立って……無い?」

「はい? そんなわけないでしょう。さっきまであんな陽気そうウェイトレスさんと亭主さんが手を振ってくれていたじゃない………本当に店が無くなってる」


 葵と七宮さんは青ざめた顔になり。俺と彩葉を交互に見てくる。


「俺の姉さんの知り合いがやってる幻の喫茶店なんだと。今日はたまたま出店するとか連絡来たから。来てみたんだ。彩葉の小説ネタの為に」


「フフフ。夏だけにホラーな体験が出来て良かったわね。2人共。顔を悪そうだけど大丈夫かしら?」


 俺と彩葉は恐怖に青ざめた葵と七宮さんに向かって語りかける。


「「……い、い、いやーー!!!」」


 葵と七宮さんは叫び声を上げ。俺と彩葉にいきなり抱き付いたのだった。


 しかし姉さん曰く。あのウェイトレスの人とはマブダチであの喫茶店が現れる時は連絡もらえるとか言ってたけど。


 あの店の人達明らかに俺達とは違う何かだよな? そんな人達と知り合いな姉さんっていったい何者なんだろうか? 昔から不思議な人だったが。


 普段は何してんだろうな?……俺の姉さんて。


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