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第17話 陰日向者の学校での日常+図書委員の友達

 7月に入り夏本番。リア充達のがもっとも活発化する時期に突入し、黎明高校のクラス中でも夏休みの予定の話題で盛り上がっていた。


 まあ、俺は陰日向かげひなた者のクラスでは存在感が薄い人間なので関係ない話なのだが。


「ねえ? ねえ? 汐崎君に会いたいって飛鳥あすか学園や天上高校の女の子達に言われてるだよね。葵汐崎君と葵って同じ中学校出身でしょう? お願い出来ない?」


「へ、へ~、他校の女の子達が光を?……駄目よ。駄目。絶対に会わせてあげないんだからっ!(ただで際競争率が高いのに。なんで更に上げていかなきゃいけないのよ。こんな事になったのも全て五月女さおとめのせいよっ! アイツ~、いつか分からせあげるんだから)」



五月女さおとめっ! この夏。他校の女子を誰か紹介してくれ。頼むっ! 俺達。この夏をエンジョイしたいんだ」

「「「そうだ。そうだ」」」 


「うむ。全て我に任せておけ。我が友達ともたちよ。我が親友たる汐崎しおざきひかるを紹介しこの学校を始め。他校の女子生徒と合コンをセッティングしてやろうではないかっ!」


「「「うおおぉ!! 五月女さおとめっ! 五月女さおとめっ!」」」



雪乃ゆきの様。今月神楽様のお屋敷で行われるお茶会に是非、汐崎様をご招待したいと神楽様ご本人からご相談を受けたのですが。可能でしょうか? 良いご返事を頂けると嬉しいのですが」


「そ、そうなんですね~、後で汐崎君にそれとなく聞いておきますね(……不味いですね。汐崎君が葵さんと話し始めてから。汐崎君の魅力に気付き始めた人達が日に日に増えて来ています。これはなんとかしないといけませんね)」


 葵、早乙女、七宮さん。クラスの中心人物達の周りに人が集まり夏の話題で盛り上がっている。


 その光景を俺は葵から返してもらったサングラスを掛け。耳にはイヤホンを付けた状態でボーッと眺めていた。うっすらとしか聴こえなかったが俺の名前が聴こえ来たのは気のせいだろうか?


 しかしこの高校は学業成績せえ落とさなければ本当に自由度が高いよな。


 紫外線防止と理由をつけて教室内でもサングラスは掛けて良いし。休み時間中なら音楽も聴いて良いなんて本当に進学校なんだろうか?


「……今日も今日とて騒がしくも楽しい我がクラスだな。暇だしどっか行くか」


「…………(じーっ)」


 ん? 何だ? なんで葵の奴。俺をずっと見詰めているんだ。俺の顔に何か付いているんだろうか? しょうがない。ここは幼馴染みの絆。アイコンタクトで気持ちを読み取ってみるか。



(何だよ? 葵。俺に見惚みとれてんのか? しばらく学校では俺に近付かないとか言ってたくせに。もう我慢できなくなっちゃったのか?)


(ち、違うわよ。おバカっ!……教室を出てどこ行くのよ? 暇なら私と少しお話しなさいよ。こっちは焦り始めて形振なりふり構ってられなくなってきてるのよ)


(ん~? 無理。葵の友達。皆、怖いから無理。陰キャにはまぶし過ぎる存在だから遠慮するわ)


(は、はぁー? リア充のアンタが何を言ってるのよ。いいから来なさいよ。皆もアンタともっと仲良くなりたいって言ってるのよっ! 光)


 この間のやり取りった数秒なり。う~ん。流石、俺達幼馴染み同士。相手が考えてる事が手を取る様に分かるな。


(いかんはアホ。俺は1人。昼休みをとある場所で満喫するんだよ。ではな葵また会う日まで)


「なっ?! こらっ! ちょっと待ちなさいよっ! 光っ!」


「何? いきなり騒いでどうしたの? 葵」

「ケンカ中とか言ってましたよね? 葵さん……」



 陰キャの俺にも最高の場所ベストププレイスという場所が存在する。


 それが親友が図書委員を務める図書室だ。


 何故、昼休みの週に何回かは足を運び。読みたい本を探して借りるのかというと。普段の騒がしい喧騒クラスから離れ、静かで落ち着いた場所で過ごせるからだ。


 なによりここには親友の彩葉 《いろは》がいつも居るからだろう。


《図書室》


「よう。彩葉いろは。来たぞ」


「…………あら? 光君。久しぶりね。何しに来たのかしら?」


「本を借りに来たんだよ。新刊何かあるか?」


「そこの棚に幾つか飾ってあるわ。好きに見て良いわよ」


「おう。サンキュー……」


 味気無い会話だ。だがこれくらいが俺にとっては良い塩梅あんばいだ。


 普段、高カロリー《葵》との騒がしいやり取りと違い。マイペースに会話が出来る。


 図書委員。秋月あきづき彩葉いろはは俺の高校入学当時から親友だ。 


 高校入学当初、五月女さおとめの毎日の遊び誘いに付き合わされ。同級生の女の子や他校の女子生徒等と放課後連日の様に遊んでいた時期があった。


 友人との付き合いとはいえ俺は日に日に遊び疲れ果ていた。


 そして、とある日の放課後五月女さおとめの誘いを断り。久しぶりに1人で学校から帰ろうとしている時に図書室で本を読んでいる彩葉いろはに出会ったんだ。



「こんな場所に図書室があったのか? ん? 誰かカウンターに座ってるのか?」


「…………あら? どなた? 珍しいわね。放課後の図書室に人が来るなんて」


 その時、図書室内に風が吹き込み。彼女の綺麗な黒髪がたなびき。彼女が読んでいた本が数ページめくれた。


 そんな彼女は俺を静かに見詰めて優しく微笑んでいた。それが秋月あきづき彩葉いろはとの最初の出会いだった。


「ん? ああ……心と身体を癒せる本でもないかと思って立ち寄ってみたんだ。何かないかな?」


「ん~? そうね。三国志とかどうかしら? 漫画の方の。全巻あるわ」


「今日中に読みきれないだろう。しかもなんで小説じゃなくて漫画を勧めてくるんだよ」


「……ノリかしらね? フフフ」



 そんな初対面から時は流れ。用事がない昼休みや放課後なんかには時たま本を借りに来るようになり。


 その流れで彩葉いろはとも会う様になり。今では五月女さおとめをも凌駕する親友となった。


「おっ! 《負けインはロシア語で薬屋のバイトしながらデレちゃいますけど。》の新刊か。借りてくかな。これ今流行ってるよな。今」


「そうね。大人気よ。それと何か面白い小説のネタはないかしら? 最近、何か面白い事はなかったかしら?」


「……まだ諦めず小説投稿してるのかよ? 彩葉いろは


「人生で最高の趣味よ。それよりも何か面白いエピソードを教えてくれるかしら? 参考にしたいのだげと」


「参考か……ならこの間。都内でさあ……」


 味気無い会話だがこの子とは自然体のままで話せる。いや、葵ともそうなのだが。同じ本好きとして趣味の話が合うのだろう。


 会話をしていて楽しい。それに彩葉いろはは俺の事を1ミリも異性として見ていないらしから気軽に話せるんだよな。


 俺は昼休みが終わるまでの間。撮影スタジオでの出来事を彩葉いろはに面白おかしく話してやった。


《図書室 入口》


「うぅぅ! 光の奴~! いきなり居なくなったと思ったらあんな美人な娘と密会してるなんて~! 放課後になったら覚えていなさいよーっ! 光~」


 そして、何故かその光景を目撃した幼馴染みの怒りを知らず知らずのまま買っていた事を俺は全然知らなかった。

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