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第6話  素材集め 7

「あの~。すみませんが、竈のお掃除させて貰っても良いですか?」

 ブリュックは近所の家を回っていた。

 そう言われた人は、みんな驚く。

「何だってそんな事をするんだい?」

 竈の掃除なんて、煤だらけになるから嫌がって、滅多にやらない。だが、やらないと煙突がつまる。煤が部屋を舞うようになる。部屋の隅や壁が黒くなる。

「いや~。僕、今学校の研究課題で、煤が欲しいんですよ」

 そう言って、バケツに貯まった煤を見せると、みんな気の毒そうな苦笑いを浮かべて、竈の掃除をやらせてくれる。

 

 エドが言うとおり、ブリュックは掃除が得意なので、煤を飛び散らせること無く、竈の中を綺麗に掃除していくので、みんな大喜びだった。

 お礼にお菓子を貰ったりして、ブリュックとしても実に喜ばしい結果となった。

 だが、終わった後でブリュックはちょっと後悔する。

「う~ん。パインさんの依頼で掃除をしているって言った方が、ダンさんの狙いに沿っていたかなぁ・・・・・・」

 しかし、すぐに首を振った。

「いや。それじゃあ、パインさんに不信感を持っている人たちは、掃除をさせてくれなかったか」

 恐らくブリュックの考えた通りの事になっただろ。

 ブリュックは、論理的に考える事が出来て、しかも発案者の狙いも考えて行動できる。補佐役としての才能があったのだろう。




 ダンとネルケが河原に着くと、そこではレオンハルトが釣りをしていた。

「やあ、ダン。ネルケ」

 レオンハルトが釣り竿を手にしながら爽やかに笑う。

 ダンたちが遠回りで坂道を登ってくる間に、レオンハルトは階段から先に河原まで来ていたのだ。

「やあ、レオン。釣れた?」

 ダンが尋ねると、レオンハルトは肩を竦める。

「他のは釣れたけど、さすがに女王シトメイワナは難しいね」

 

 シトメイワナは、体長が40センチになる魚で、初夏に海から川に入り、夏になると上流に登り始める。そして、秋になる頃に産卵する。

 今は一番シトメイワナが元気な季節である。それだけに身もしまり、まさに旬ではあるが、とにかく警戒心が強いので、中々釣り上げることは出来ない。

 本来は、もう少し後の時期に、もっと上流で仕掛け罠で捕まえたりする。

 捕まえる難易度の高さから、「渓流の女王」と言われている高級魚で、大きなシトメイワナの腹の中には、希に金色の玉が出来ると言われている。


「レオンは結構釣り好きだもんな」

 ダンが笑う。ネルケは釣りの様な静かにしたり、ジッと待つような遊びは苦手なので、何が楽しいのか理解できない様子だった。

 ドワーフの女性は、大抵自由奔放な性格なのだ。だから戦闘力は強くても、軍隊には向かない。自由な冒険者にこそ向いている。

「ボクはエルフだからね。自然と一体となるような釣りは、正に愛すべき趣味だよ」

 そう言うが、普段は海の堤防で釣り糸をたらす方が多い。民家も多いし、釣り人も多い。

 自然云々では無く、単純にレオンハルトは釣りが好きなのだろう。

 

 そんなレオンハルトが、ダンとネルケを見ると、柔らかく微笑む。

「でも、そうだね、うん。ダンとネルケが来たなら、僕はもう少し上流でシトメイワナを狙ってみるよ」

「ああ。そうだね。僕らはこれから石集めでうるさくしちゃうからね」

 それに対しては、レオンハルトは何も言わずに手を軽く挙げると、空を飛ぶように、岩場を飛び跳ねて、上流に消えていった。





 ダンとネルケの石集めは順調だった。

 ダンが石を見つけてネルケに見せると、後はネルケが大活躍で、石を的確に見つけては、台車に放り込んでいく。

 ドワーフだけに石を見る目は確かで的確だ。

 石の声が聞こえるそうだ。

 ダンはあれだけ探しに通ったと言うのに、初めてのネルケの半分も集められなかった。

 

 途中では、ネルケの作ってきたおやつを食べる。

「すごいな、ネルケは!あんな短時間でおやつまで作ってきたなんて!」

 ダンは感激する。甘いパンケーキをほおばる。

 ネルケはニコニコ嬉しそうにして、ダンのほっぺに付く蜂蜜を拭き取ったりしている。

「ネルケは良いお嫁さんになるね!」

 ダンの言葉に、ネルケは盛大にむせてしまった。



 帰り道は、ダンがブレーキを操作しながら台車を転がした。かなりの重量になったのに、パインの作った車輪は、少しも性能が変わらず、スムーズに石畳の坂を転がる。

 ブレーキを離したら大惨事間違い無いのだが、このブレーキも、ダンが考えて、パインが作った魔法道具である。

 だから、直線の坂になると、ネルケも荷台に乗って、ダンはハンドルに寄りかかるように乗って、らくしながら降って行く事が出来た。


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