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ある死神の日記1

楽しんでいただけたら幸いです。

私は、人が呼ぶには死神というものです。

「死神」とはいっても、私がしているのはまもなく死を迎える命が、その躰から抜け出したときに迷わないように迎えに行くこと。

つまり道案内をしているだけであって、私が命を奪っているわけではありません。

あぁ、ほら!今、人の手の中で、1つの命が躰から飛び出てきましたよ。

私の今回の担当はコバエさんですか。

初めまして、さぁ、おいで、小さなコバエだった命、私があなたの案内人です。

道すがら、あなたの虫生で楽しかったことツラかったことなど聞かせてもらえませんか?

私はそういうのを聞くのが楽しみなのです。

ただ黙って案内だけするのは私には退屈すぎてたまりませんからね。


いいんですか!やった!どうぞどうぞ。


ほぅ?あなたは1週間はおひとりで?


あぁ、アピール合戦が!


へぇ!射止められた恋人が?


あぁぁー先に!それはツラかったですねぇ…。


恋人は3日前に…そうですか。


あぁ、それで今日はあなたが…?なるほど、2週間の命だったと…そうですか。

死ぬ瞬間は全身打撲みたいなものでしたからやっぱり痛いんですか?

いえ、お気を悪くしたなら申し訳ない。死神というのは一度なってしまうと死神として活動するのに必要な感覚以外はなくなってしまうんです。

それで時々どんなモノだったのか思い出したくなってしまうんですよ。


え?私ですか?鋭いですね!死神の前があるんですよ。

私、死神になる前は人間だったんです。

そう、あなたの仲間を殺したこともありましたね。申し訳ない。


あぁ、そうですか?赦していただけてよかった。


私がなぜ死神になったか、ですか?死神になれる命となれない命があるみたいなんですよ。


えぇ、生きることに未練があるか、ないかで命の色が違うそうです。私、未練がなかったみたいなんですよ。


私の道案内に来た死神さんが、人間で死神になれる命の色を持ってるのは珍しいって言ってましたね。

あなたは……恋人が先にいってしまったことで、未練ができてしまったようですね。


なんでわかるのか、ですか?死神の目にうつるモノだからですね。

死因、未練の有無、呪いや怨念や祝福の有無、その原因と理由…そういったモノは見えるんです。

でも、先ほど語っていただいたような主観で得られたモノや想いは、案内に必要ないので見えません。

正しく道案内するのに必要なモノは見えるんです。

あなたは…あぁ、もう着いてしまいましたね。


私がご案内できるのはここまでです。

この先はあなた一人で進んでいただくことになります。

さぁ、この虹の橋に乗ってください。


さようならー!!この先は、命のリフレッシュ場ですよー。

よかったですねーきっと3日前でしたら恋人さんもまだいると思いますよー。


…あなたを覚えているかはわかりませんが…ね。


リフレッシュ場は全ての記憶を一度消し去って、また違う姿になるための準備をする場所ですからね。

新たな命の旅へ楽しんでいってらっしゃいませ。


さて。次の私の担当はどんな命でしょうかねぇ。

貴重なお時間を拙作に割いていただきありがとうございます

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