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アルベルト
アルベルト
アルベルトは最前線にいた。装備は兜、甲冑、剣のみである。
母国であるカメール王国は度重なる戦争により国力が疲弊し、兵も武器も食料も窮していた。アルベルトは全くなじめない行軍中、ひたすらアリシアのことだけを考え続けていた。
アリシアに生きて、もう1度会いたい。その思いだけを胸にカメール王国の学徒動員として戦っていたのだ。
アルベルトは身長こそ高かったが、痩せており剣術の腕前も並、決して強くなかった。
そこでアルベルトは、学園において剣術を修得しながら“居合”の研究を独自に行っていた。居合とは最初の一太刀に全能力を集中させ、一瞬に勝敗を決めるため、凡人である自分が生き残るためには必要な技術であると考え、日夜一人修行に取り組んでいたのだ。