手術
手術
仮設テントの中、キャスターは忙しく動き回っていた。
「誰がこんなにしたんだ。どういう神経してんだ。ふざけるな。俺の最高傑作を。」
簡易手術ベッドに横たえられたアルベルト。まわりの施術台にはレッドだったときのパーツおよびプロテクターの数々が所狭しと並べられていた。
キャスターが手術をはじめて、すでに5時間が経過した。
ほぼ、全身の修復が終わったが、目を直すことが出来ないでいた。
キャスターはアリシアを呼んだ。
「レッドの目だが、修復することは“あるもの”を調達すれば可能だ。そこで提案だが、
あんたの目をくれ。彼に移植してやる。」
アリシアはアルベルトを見た。体は元のように動けるようになる。しかし見えないのでは戦えないだろう。キャスターほどの手術の腕を持つものはこの世に他とはいない。
私はどうしたい。私が望むことは何。
「わかりました。私の目を使ってください」
キャスターは感心していた。こんな重大なことをこの短時間で決断できたこの女性を。
しかも、今後、光が永遠に失われるのを覚悟しているのだ、この王女は。
「おやめください。それはいけません。」必死にダリアが止めに入ったが無駄だった。
それほどまでに、アリシアはアルベルトを愛していたのだ。
移植手術は成功した。このあと治癒魔法を掛ければ三日もすれば全快するとのこと。
ブラック将軍からは、7日後に決闘することを約束させられていた。
手術後4日目、ダリアはアルベルトの眼を覆っていた布を外した。そして目は開かれた。
そこにはアリシアの瞳が確かにあった。
「ああ、見える。見えるぞ。」「体も元通りだ。」レッドが意識を取り戻した。
レッドは意識がなかった時、アリシアが常にそばにいてくれたことを感じ取っていた。
「アリシア、アリシア。どこにいる。」
「アリシア様にお会いになりますか。」
「早く合わせてくれ。お礼が言いたい。」
ダリアが一瞬、暗い表情になったことにレッドは気が付かなかった。
「アリシア様、こちらです。」
ダリアに手を引かれ連れてこられたアリシアを見た。
どんなにかその顔を見たかったことか。
「アリシア・・・・」言葉が続かなかった。アリシアの両目が包帯で巻かれていたから。
「どう、レッド、調子は。」キャスターが声をかけてきた。
「キャスター・・・お前!」
「あれー、お礼の言葉もないわけ。ほとんどスクラップ状態のお前を助けたのは私だよ。覚えてないの?」
レッドであるアルベルトは意を決して鏡をのぞき込む。
そこにはアリシアのグリーンの綺麗な目を持つ俺の顔があった。
(ああッ!やはりアリシアは俺に目をくれたのか。)
信じたくない現実だった。
ダリアによると、アリシアは自分の目を躊躇することなく使ってくれとキャスターに申し出たとのこと。あと三日もすればブラック将軍との決闘が行われること。今回の手術の条件であり、ほかの選択肢がなかったことが説明された。
レッドは一連の説明を受けてしばらく考え込んでいた。
その頃ツタン帝国では、ホワイトの妹が人質から解放されたのだが、その後の行方は誰も知らない。




